「ロイロノート」は、タブレットで授業をするためのアプリである。生徒の書いたものを教員に提出・生徒間での共有やプレゼンができる。
その中に、シンキングツールがある。
これは、答えよりも、考える過程を「見える化」するためのものだ。
これを使って、中1の定番教材・ヘルマンヘッセ『少年の日の思い出』の授業を実践した。
目標は、「出来事と心情変化の関連に気づくこと」。
「エーミールがクジャクヤママユを手に入れた」と聞いた主人公が、エーミールの家に行き、盗みを働くシーン。主人公の行動とできごとをカードに箇条書きして、生徒に配信する。
生徒は、主人公の心情が読みとれる表現を本文からピックアップし、新しいカードに書きこむ。カードは背景色が変えられるので、プラスの心情ならピンク、マイナスの心情なら水色のカードに書く。プラスでもマイナスでもない、判定しづらいときは白と指定する。
その心情を書いたカードと、予め配信した行動・できごとのカードを結びつける。
そして、ストーリーの順に並びかえる。
すると……。
盗むまではピンクのカード(プラスの心情)だったが、階段を下りるときに誰かの足音を聞いた瞬間、「良心が目覚め」、そこからは青のカード(マイナスの心情)が続いていく。
これで、明らかに「足音を聞く」(誰かがやってくる)というできごとが、主人公の心情を180度転換させるきっかけになっていることが、一目瞭然になる。
これが小説の心情変化というものだ。教員が黒板に流れを書いてそれを生徒がノートに写すよりも、生徒が考え、その過程を「見える化」するので、定着度が高いのではないか。
ICT機器の簡単な使い方の一例である。
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