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COPE (KU Plankton Lab)

絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

我が研究室のあるビルは、水産学部5号館になります。このビルは数十年ぶりに改築(リノベーション)となり、確か2013年から利用されていると記憶しています。私が赴任した頃のオフィスは劣悪で、ウェットラボだったせいか床はコンクリート、壁材はひび割れ、湿気が著しい部屋でした。あまりにオフィスとしてはひどいので、別の部屋に引っ越ししましたが、そちらもタイルがボロボロでコンクリートがむき出しで、いまのオフィスの半分くらいほどの広さでした。それどころか、実験室として使えるスペースはほぼ皆無で、自分のオフィスに顕微鏡を置いて検鏡するくらいしか仕事ができませんでした。

リノベーションをしてくれたおかげで、耐震がしっかりしただけでなく、台風・豪雨などにも耐えうる窓サッシが入り、エアコンも省エネタイプとなりました。このため教務・事務仕事がしやすくなり、研究のための高度な実験も可能となり、研究成果も蓄積するようになりました。改めておもいかえしてみると、昔は研究なんてできる状態でなかったなぁと涙が出そうです。

しかし、改築後3年目くらいから懸念することが起きました。研究室で主に利用する実験室の床面が、3年目くらいからひび割れはじめたのです。実験室には靴を履き替えて入室してもらっていましたし、特に床面を損傷させるようなことはやっておらず、床面全体や触れもしない棚の下までもひび割れるので、床面材の問題(初期工事の問題)であるとおもいました。これは施設担当部署が解決すべき問題なので相談したのですが、財源がなくかつ優先順位が低いとのこと。しかし、コンクリート面がむき出しになるようになっているので、早めに補修しないと躯体自体を損傷するだろうとおもいました。たぶん、他大学であれば絶対に全体の財源から補修するとおもいますが、これが認められないので、研究費の間接経費で補修することにしました。私としてはできれば大学の財源を供給してほしかったのですが、この実験室では高精度な生化学分析・遺伝子解析などをするので、致し方なく間接経費にて急遽対応することにしました。

これが補修前の状態。ひどいですよねぇ。ひび割れのところをシーリングしてもらいましたが、次々の床面材が割れたり剥がれたりして悪くなる一方です。工事のやりかたとか床面材の選定とかが悪かったのだとおもいます。

こちらが補修後の状態。柔軟性のある床面材にしてもらい、おそらくもうひび割れ・剝れなどはないかとおもいます。かなり高額でしたが、学生さんたちには普通の環境で研究をしてもらえそうです。

ただ、次から次へと懸念事項が・・・猛暑だったせいか、培養室・冷凍庫室のエアコンが壊れました。5号館南側の部屋を冷やすエアコンも故障とのこと。このセクションには、実験室だけでなく学生居室もあります。この猛暑下でエアコンなしの環境は、最悪ですよね。とりあえず、エアコンが故障していない部屋で仕事をしてもらうように案内しています。できるだけ早く改善します。

こんばんは。主宰です。

 

学生~若手研究者時代に、研究や在外研修でお世話になった方々がいます。10年前ほどに日本で国際学会があって参加されたので、旅程を延長されて鹿児島にも来てくださいました。その時には、城山・指宿・桜島などを観光案内したほか、大自然が好きな方々だったので屋久島へおつれしました。

既に世界遺産登録されていたので、白谷雲水峡へおつれしてトレッキングを堪能していただくことにしました。ビルは開胸手術後だったにもかかわらず、このトレッキングを堪能してくれたみたいで、ガイドの私も嬉しかったです。その晩には山小屋風の宿にみんなで宿泊し、飛び魚などの地魚・郷土料理を楽しみました。

この夏はいそがしいということを報告したばかりですが、会議があって屋久島を再訪しました。まだ娘たちが生まれる前にも嫁とふたりで来たことがあるし、小さい娘たちをつれて家族で来たこともあるので、私にとってはとても懐かしい場所です。

 

こんばんは。主宰です。

 

学校って夏休みに入ると、教職員も夏休みになるか時間ができると想像している人もいるかもしれません。でも、そんなことはなく、かなりいそがしい毎日です。ことしは特にいそがしく、備忘録として残しておこうかと思いました。

 

8月5日:大気海洋研究所(遺伝子データ解析研修)

8月6日:大気海洋研究所(遺伝子データ解析研修)

8月7日:東京海洋大学(海洋観測会議・脂肪酸分析研修・投稿論文改訂)

8月8日:東京海洋大学(脂肪酸分析研修・投稿論文改訂)

8月9日:東京海洋大学(脂肪酸分析研修・投稿論文改訂)

8月10日:移動・水産学部(出張事務処理・投稿論文改訂)

8月11日:水産学部(脂肪酸分析プロトコル作成・投稿論文改訂)

8月12日:水産学部(研究費申請書作成・投稿論文改訂)

8月13日:水産学部(研究費申請書提出・投稿論文改訂)

8月14日~15日:休日(投稿論文改訂)

8月16日:水産学部(オープンキャンパス・実験室整備・成績確認提出・学生面談)

8月17日:水産学部(漁協訪問準備・投稿論文改訂)

8月18日:水産学部(漁協訪問準備・投稿論文改訂)

8月19日:屋久島漁協(スマート化協議会)

8月20日:屋久島漁協(スマート化協議会)

8月21日:水産学部(共同研究会議・研究室訪問対応・投稿論文改訂)

8月22日:水産学部(研究科入試・改訂投稿論文再投稿)

8月23日:屋久島高校(出前授業・投稿論文査読)

8月24日:水産学部(出張事務処理・投稿論文査読・集中講義準備・研究費申請書作成)

8月25日:休日(投稿論文査読)

8月26日:水産学部(集中講義・成績評価・事務処理・機材準備)

8月27日:水産学部(共同研究会議・組織運営会議・学会発表練習)

8月28日:水産学部(事務処理・漁協訪問準備)

8月29日:東町・北さつま漁協(スマート化協議会)

8月30日:水俣病研究センター・水産学部(共同研究会議・研究室月例報告会)

8月31日:水産学部(出張事務処理・会議資料準備)

 

いろいろと多岐にわたるので、デジタルスケジュールに記録しておかないと忘れてしまいそうです。卒論査読・修論査読・相談や事務メールも同時進行するので、即座に仕分けするようになってしまいました。この仕分けから漏れると、すでに忘却のかなたとなり、時々学生から「あれどうなりました?」という問い合わせがきて「あれって何?」という状態です。ひとりごとのようなメールもやってくるので、1日200件以上もメールがあり、放置するとメールボックスがパンクして受け取れない状態になりました。もはや、パンク状態です。有能な秘書とか助手を雇いたいものです。

こんばんは。主宰です。

 

脂肪酸組成を分析するために東京海洋大学を訪問したのですが、こちらには共同研究者の長井さんもおられます。長井さんは、10月に予定されているかごしま丸の海洋観測乗船実習2に参加されるので、観測内容・スケジュールの協議をするために研究室を訪問しました。

以前もここで紹介したかもしれませんが、長井さんは乱流の発生メカニズムとその生態系への影響について研究されている研究者です。たいへん精力的に研究をなされており、国内・海外の学会で多くの報告をなされているだけでなく、著名な学術誌における論文もたくさんお持ちで(私も共著者としていくつかあります)、海洋物理学では世界的に著名な研究者です。長井さんの研究室には海外から来学した学生が在籍されていることは知っていたのですが、今回の訪問でかなり国際色豊かな研究室であることを実感しました。日本人学生のほうがマイナーで海外からの学生のほうが多いし、出身国もペルー・アイスランド・カナダ・中国などとのことで、英語だけでなくフランス語・スペイン語が飛び交います。グローバル化のための英語教育を強化するといっている、どこかの大学のお偉いさんに見せたいものです。英語は、グローバルスタンダードではない!

訪問後、研究室の懇親会にお誘いを受けました。何でも、セカンドセメスターが修了となり夏休み前の懇親会とのことです。へぇ~、「暑気払い」とは違って大学教員として紳士的ないいわけになるなぁと感心しました。学生さん主体の懇親会ですが、長井さんが一生懸命料理をしてくれました。このあたりも、だいぶグローバルなのかな。でもこれは、もっとジャパニーズのほうがいいかな。

さすが国際色豊かで、サルサ・トルティーヤに加えてなま春巻きでした。具材を準備すれば、あとは勝手にやって、が一番楽なパーティスタイルです。

こちらは、ペルーの伝統料理だそうです。とっても海外な香りがするのですが、豚肉・たまねぎ・トマトを塩・にんにく・ビネガーだけで味付けするとのことで、不思議でした。長井さんの料理はうまいと、ペルーから来た学生たちも褒めてました。

こちらは、たぶん焼豚。味付けはほぼ一緒でしたが、これもぺルー料理だそうです。これも長井さんのお料理。焼豚とちがって、軟骨を使っているところが面白いです。

 

かごしま丸の観測が終わったら、みんなで飲み会しようねと約束してきてしまいました。観測実習2に乗船されるみなさん、乗船中しっかりと作業して、実習が終わったらみんなで盛り上がりましょう。

 

こんばんは。主宰です。

 

遺伝子解析の研修後、次は東京海洋大学で脂肪酸分析の技術研修を受けましたので報告します。

我々の研究室では、黒潮パラドックス解明に向けた様々な課題に取り組んでいます。これまで、仔魚の餌量について注目した研究課題がほとんどでしたが、質的な点については全く評価されてきませんでした。そこで、この質的な指標として、動物プランクトンの脂肪酸に関する研究課題を遂行しています。幸い、うちの水産学部には養殖飼料の質について研究している方がおられたので、分析機器をお借りして動物プランクトンの脂肪酸組成について測定してきました。これまでに知られていない新しい発見が多くあったのですが、さらに謎を解明するためには、非常に微量な脂肪酸を測定しなければなくなりました。一方で、黒潮の動物プランクトンはとても小さいので、脂肪酸分析するには数千~数万個体を分別回収しなければならないという壁があり、研究がなかなか進展しませんでした。

そんな中、国際学会に参加した時に、動物プランクトンの脂肪酸組成を個体レベルで測定している研究をみました。これには衝撃を受け、どのように測定しているのかを研究者におたずねしました。会話をしていると、我々の測定感度が低く設定されているだけで、測定感度を高くするようにプロトコルを変えれば測定可能であるということを教えてもらえました。これにはたいへん驚き、ぜひこの方法で測定してみたいと考え、すぐさま技術研修と脂肪酸分析の機会をいただくお願いをしました。その研究者が、東京海洋大学の壁谷さんです。壁谷さんは仔稚魚に最適な脂肪酸組成を有する天然餌料を探索する研究をなさっており、我々の研究課題と類似している点があるということでご関心をいただけました。とても有難い貴重な機会です。そこで、卒論から脂肪酸組成解析をしてもらっている修論生を連れて、海洋大に技術研修と検体測定をしに訪問することにしました。

これは、粉末検体に有機溶媒を入れて脂肪酸を抽出した後、粉末の検体を濾紙で除去するための準備をしているところです。このあたりは、これまでの方法と同じです。

こちらは、有機溶媒に溶解した脂肪酸を精製カラムで吸着させようとしているところです。ここに至る過程では、我々の方法とは異なる薬品を使ったり、やりかたが異なってました。ただ、初心者の我々でもさほど難しくなかったです。

精製した脂肪酸は、最後に分析機器で測定します。我々が使っているものよりも新型で、パソコン操作もさほど難しくありませんでした。来月には修論生が独りで分析するのですが、たぶん大丈夫そうです。

 

壁谷さんとは、初めてお会いした時にその研究内容に衝撃を受けましたが、プライベート面でもかなり衝撃を受けました。学会やメールでは伺っていたものの理解していなかったのですが、この海洋大訪問でかなり納得しました。個人的にも、今後、長くお付き合いさせていただきたいとおもっている研究者です。今後ともよろしくお願いします。