こんばんは。主宰です。
明日から、私と久米さんが担当する海洋観測乗船実習Ⅱが始まります。この実習では、黒潮パラドックスの解明に向けた海洋観測データ・海洋生物標本を採取をしに、黒潮流域へ練習船かごしま丸で向かいます。黒潮パラドックスの研究を始めてもう10年が経過しようとしていますが、研究室に配属された卒論生・修論生だけでなく、この実習に参加してくれた実習生・船舶職員のみなさまのご協力あって、世界的にも注目される研究成果が続々と発表されてきました。黒潮パラドックスの研究はフェーズ3に移行しましたが、その根幹をなす研究データ・標本となるとおもいます。
この実習では、様々な機材をたくさん使用するだけでなく、時化で揺れる中でもしっかりと固縛され、かつ長期的(数週間)にわたって使いやすくする必要があるため、ただ機材を並べればよいというわけではありません。研究室における失敗・苦い経験を通して培われた先輩たちのノウハウが、細部のあちこちに溢れています。そういったノウハウを次の世代に伝えていくという役割もあるため、終日かけてしっかりと確認します。そうやって出来上がったものが、下の画像のとおりです。
ウェットラボの様子。洋上培養実験や観測機器の校正で必要なサンプルを採取するため、濾過機材をこのようにセットします。単に担当者が考えてセットするのではあまりよくなくて、経験を踏まえて人の動線も考えて機材を配置する必要があるため、先輩たちの意見がとても重要です。
クロロフィル蛍光を測定する機器です。海洋観測に使用する機材の中では、比較的高額な機器(200万円ほど)なので、時化の揺動で机から絶対に落ちないように、がっちりと固縛します。使うガムテープ・貼りかたにも意味があって、貼りつける部分の塗装が剥げないところには、粘着力が強い布ガムテープを使います。機器と机に横方向でガムテープを付けるとガムテープも設置時間も節約できるのですが、それだと粘着力が弱く、途中ではがれやすくなるので、このように何か所も貼り付けます。
サイズ分画してクロロフィル蛍光を測定するために、フィルターホールダーを何層にも積み上げる必要があります。そうなると不安定になるため、うちの研究室ではフィルターホールダーを固縛するためのワイヤーラックを組み上げ、このラック自体を固縛した後、フィルターホールダーを固縛します。時化で揺れているときには、みんなたいへん。そんな時のために「備えよ常に」です。うちの研究室のモットーの1つかもしれない。
大部分の艤装が終わったところで、ランチ。かごしま丸での艤装時には、定番のトラックターミナル食堂です。今の学生さんたちも大盛メニューに挑戦してくれましたが、やっぱり昔の大食漢男子学生にはかなわないかな。あの時には、桜島コースだったもんね。来年、この艤装に参加する新卒論生・修論生のみなさんは、ぜひ大盛シリーズに挑戦してみてください。二人で食べてもよし、おもちかえりでもよしなので。
明日からは時化模様も収まる方向なので、よかったなあとおもっています。乗船に参加するみなさん、楽しんでください。