レプト航海@南星丸 | COPE (KU Plankton Lab)

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絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

先週は週末を含めて5日間、北部薩南海域でウナギ目魚類のレプトセファルス幼生に関する研究を南星丸にて行ってきました。ニホンウナギに代表されるウナギ目魚類の生活史は、多くの研究機関が参画する大型プロジェクト研究によって解明されつつありますが、まだまだ多くの謎が残されています。その1つに、レプトセファルス幼生やそこから発育したシラスウナギがどんな餌を食べているかという謎があります。先ほど説明した大型プロジェクト研究によって、マリンスノー(沈降粒子)がレプトセファルス幼生の餌らしいということは判明したものの、マリンスノーとは様々な生物から構成されているため実体が定かではありません。プランクトン研究室と魚類生態研究室では、遺伝子を使った消化管内容物解析と洋上での実験を組み合わせることによって、レプトセファルス幼生の餌に迫りつつあります。おおよそこれらしいというものが判明し、今回の南星丸航海では最後の証拠集めとなりました。

台風接近のために航海中止も覚悟したのですが、5日間ずっと順調に調査を実施でき、予想以上の試料と実験回を確保できました。特に、前半3日間では全員が忙しく各自の業務をこなし、後半2日間の仕事がだいぶ楽になりました。船舶職員のみなさん、学生さんのみなさん、ご協力ありがとうございました。我々の研究室では、各自が責任感をもって協働体制で進めるので、乗船経験が多いほど学生の成長が著しいです。この時期になると総監督交替なので各自の責任と作業量が増えますが、半年前・1年前よりもずっと信頼感が出てきて頼もしく感じました。

前半戦では私もかなり忙しかったので画像撮影できませんでしたが、乗船した学生さんたちが撮影したものを置いていきます。

 

動物プランクトンの摂餌実験を行うための、採水作業。容器類を共洗いする他に、100リットル以上も汲み上げるので、腕力が鍛えられます。海上自衛隊に就職希望の卒論生に、やってもらいました。

前半戦では山川港に寄港しました。閑静な田舎の港ですが、虹がかかるとまた違った港のような感じになります。

山川港にはよく寄港しますが、今年はまき網船が多く係留しています。今までは日本の大手水産会社のまき網船が係留していることは知っていたのですが、今月は中国船籍のまき網船が係留していました。こんな田舎の港に外国船籍が寄港するとは、びっくりしました。

いつもお世話になっている山川にある旅館からの風景。夕焼けが素晴らしかったです。そろそろ南星丸でも船内宿泊航海が復活しそうなので、お世話になった旅館の女将さんともしばらく会えなくなりそうです。

レプトセファルス幼生を確保するための大型リングネット。南星丸の船尾から降ろして曳網します。

ネットの末端に集まったものを回収しているところ。多様な動物プランクトンが大量に取れます。

採取されたサンプルから、レプトセファルス幼生を探して分別しているところ。最初は苦労しますが、目が慣れればレプトセファルス幼生は形態が奇妙なので判別できます。珍しいので、発見した時には歓声があがります。今回は、孵化して間もないプレレプトセファルス幼生が数匹確保できました。

今回の航海では、なんとプランクトンネットにこんなに大きなレプトセファルス幼生が入りました。やっぱり、レプトセファルス幼生は、他の仔魚とは存在感が圧倒的に違います。大型のリングネットには入らなかったのでとても不思議です。

今回の乗船中には、他大学でプランクトン画像解析している共同研究者のために、分類群別の動物プランクトンを識別・分別していました。こちらは、黒潮域でよく採取されるサフィリナ科カイアシ類です。キラキラと黄金色に輝いていて、とても綺麗なカイアシ類です。

とある日の昼ご飯の様子。コロナウイルス感染防止のため、対面にならずに、マスクを外したら黙食でいただきます。以前は、食事の時間にはいろんな雑談をしながら食べれたので、楽しかったなぁ。早く以前ような生活スタイルに戻りたいものです。

とある日の昼ご飯のメニュー。若い司厨長が作りますが、味付けが繊細で優しく、彩りも綺麗です。暖かいものを暖かく、冷たいものを冷たく食べれるので、なお美味しいです。学部生は、実習参加費が無料なのでおトクだよね。

後半戦の乗船者たち。真ん中が、レプトセファルス幼生の摂餌生態を研究テーマにしている修士課程の学生です。たくさん乗船をしてきましたが、今回がおそらくラスト航海になることでしょう。