こんにちは、主宰です。
またまた乗船実習ネタです。水圏科学分野では、物理系と生物系の乗船実習科目があり、生物系の乗船実習では黒潮流域の海洋環境と生態系に関する実習を行います。これまで、黒潮流域は貧栄養であるため生産力が低いとされてきましたが、多くの回遊性魚類が産卵・仔魚輸送を行っているという不思議な現象があります。これが黒潮パラドックスと言われているものであり、その実態についてはよく分かっていません。水圏科学分野の海洋環境グループ(中村・仁科)と海洋生物グループ(鈴木・小針・久米)では、この解明に向けた共同観測を行っています。
最初の画像は、水温・塩分・クロロフィル蛍光などをリアルタイムで測定する機器がCTDです。この観測機器は採水も行えるため、表層だけでなく中深層の海水も採取することができます。次の画像は、微小な生物を採取するプランクトンネットです。CTDと比べると随分と安っぽい機材に見えますが、100年以上も前から活躍している機材で、ワイヤーが長ければ10000m以上もの深海から生物も採取できる機材です。3番目の画像は、水温・塩分・クロロフィル蛍光などをリアルタイムで測定しながら、微小な生物を採取するMOCNESS(環境センサー付き多段開閉式ネットシステム)です。CTDとプランクトンネットが合体した観測機器で、様々な生物を深度別に採取することができる機材です。
いずれの機材も、ウインチを制御したり、潮流に流されないように操船したり、機材を安全に取り扱う船舶職員の協力があってこそ使える機材です。私たちの実習は、多くの人の協力によって成り立っていることを忘れてはなりません。


