Neocalanus plumchrus | COPE (KU Plankton Lab)

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絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

どうも主宰です。
ご無沙汰すぎたので今までの記録を眺めていたところ、プランクトン研究室のブログなのにプランクトンの解説が少ないことに危機感を覚えました。なので、これから少しずつ真面目に解説をしていきたいと思います。
初回では、私の学位論文の研究対象であったNeocalanus plumchrusをご紹介します。実はこの画像、度々登場しており、個人的に愛着のある動物プランクトンです。北部北太平洋と近隣海域に広く分布し、動物プランクトン群集の中でも優占するカイアシ類です。成長が進むと赤みが増してきて、とても綺麗です。初めて乗船してサンプリングした時には、大きくて鮮明な朱色なこのカイアシ類に一目惚れしてしまいました。深海で餌を食べずに産卵しますが、春から夏にかけて表層で成長し、体内に大量の油をため込むと再び深海へ潜り休眠するという不思議な生活史を持っていることを知って、更に惚れ込んでしまった私です。サンマ・サケ・マスの主要な餌となっており、これらの魚類の脂がのることに貢献しています。授業でも紹介していますが、好漁場で漁獲され適切かつ迅速に輸送された新鮮なサンマだと、お腹の中からこのカイアシ類が形を残したまま見つかることも多々あります。小さな動物プランクトンですが、私たちの食卓に上がる魚類を支えているだけでなく、地球規模の物質循環にさえにも多大な貢献をしている生物です。
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