指揮者は曲の構成を知っている。
モチーフがどのような展開を見せるのか。
あるいは和声的にどういった動きをしているのか。
まず、ざっと頭に入れる。
しかし合唱団員がすべてそうだとは限らない。
楽譜の順番に歌ってはいるものの構成にまで頭が回らない団員も多い。
とくに楽譜を持って歌っていると音符と歌詞を目で追うことになる。
慣れてくると曲全体の構成を体が覚えてくるのだろう。
妙に飛び出すことなどはなくなる。
しかしステージで初めて披露する曲になると、そうでもないのかもしれない。
急に何小節か飛ばしてしまったり、リフレイン(繰り返し)を忘れてしまったりと、練習ではまず見られないミスをする。
しかもミスは不思議と連鎖する。
では、全体の構成をレクチャーすればよいのではないかという話になる。
学生なら、それで良いだろう。
しかし趣味で歌っている面々は、歌いに来ているのであって説教を聴きに来ているのではない。
歌う時以外に集中してもらうことは案外難しい。
そこが指導者の知恵をいうことか。