この時代にあって、
バダイにいろんな新店が増えてきたことを、歓迎したい。
唐突に自然薯に「庵」と名乗り、
蕎麦と称して、客単価吊り上げるダメダメなチェーンより、
個人経営者の仕掛ける勝負は、大きなインパクト、心意気を感じる。
年間千人規模の定年退職者が量産される、このバダイ。
そのご隠居は、そもそも地元に知人が居ないのが多い。
この私も、そうだ。
贔屓にしている幾つかの飲食店は、
電車で5つも上らないと辿り着けない、たまプ周辺だ。
地元の飲食店にはほとんど通って来なかったことになる。
閉店してしまった居酒屋幹、
バー・アンティクアリー、
バー・スモーク、
DORAGO、
ひいらぎ(≒紀助)、
焼鳥福助、
やなぎ(釜飯)
など無き後、
私が地元バダイで行くのは、数軒に絞られてしまった。
かつては歩いて出向いた博多ラーメン「もえぎ野」が、
今年バダイの駅近くで復活を遂げたことは、大ニュースだった。
以前は酒も飲める店であったが、
この再復活の店舗では、ビール程度で、ひたすらズルズルやって食べたら店を出る、
滞在時間のきわめて短い、立ち食い蕎麦級の、黙って食べろ、食ったら帰れ、
という、芯のある店、と称賛すべきである。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210722/14/kobacabana/58/8b/j/o1080060714975763523.jpg?caw=800)
このバダイがパスタ王国なのは世界が認めるところだが、
いよいよラーメン激戦区になったことは、この奥地を再開発させる起爆剤になると観ている。
高いだけのパン屋も要は小麦粉商売であり、
マダムたちの息抜きの場として「おしゃべり可能スペース」としての機能で客単価を上げている。
一方、この豚骨ラーメン屋は、小麦粉商売ではあるが、
食うだけの店、であり、連れ合いの悪口や、遠まわしに実家が裕福だとか、
そういう低俗な連中は、巣食わない。
丼を抱え、ズル、ズルっとだけやったら、お代を払って店外へ出る。
男は黙ってサッポロビール、という名コピーと等しく、
黙ってさっさと町に消えるのが、このコロナ時代こその、
上流階級なら身に付けたい作法だと言って良い。
ピザにトッピングがあるように、
豚骨ラーメンにも自分で味変できる裁量が与えられている。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210722/14/kobacabana/a7/61/j/o0607108014975763529.jpg?caw=800)
胡麻擦り得意なサラリーマン卒なら、たくさんの擦りごまを。
賛否両論ある紅ショウガを、「俺は好きだけどね」と、
独り言を言いながら食べるのは、クールだ。
高菜漬けを前に、
辛いのがニガテなんていう軟なことはこの店では言えない。
麺は「ハリガネ」と注文し、いつ消化されるか心配になるほどの固め、で行く。
恋も二度目なら、少しは上手に。。。。。
替え玉、という飛び道具が、豚骨ラーメン屋の最大の武器である。
一回目の恋では、スープを飲み干さず、たっぷりと温存しておき、
替え玉コールで届けられた麺を、さぁ、どのように味わうか、
は、二回目の恋だもの、同じ失敗は繰り返さない、という心構えが求められる。
何をトッピングしてもいいし、トッピングレスで、素のままの替え玉を
ただ楽しむのも、悪くないのだ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210722/14/kobacabana/a2/df/j/o0607108014975763533.jpg?caw=800)
私はお代を払い、そして、外に出ると、まだ真昼のバダイ、である。
ここに、仲のいいバーのオーナーの愛車が止まっている。
あれ?さっきまでなかったのに。
私はこの車が遮ている店のドアから店内を覗くと、
そのオーナーが床板を剥がす作業をしている。
「よっ!」
「9月になりますかね、店を開けるのは。それまではこうして自分もできる作業はしないと。。。。」
と、同じ世代のオーナーが腰を手に、笑った。
私の夢描く「マダム層からバダイを奪取する」計画、着々と、侵攻(≒親交)中。