第一級総合無線通信士 無線従事者免許証 一総通の受験体験記
最近、初めてカード型の無線従事者免許証を入手したんです。
そしたら、過去に例のない、ていうか見たことのないすんごいカッコイイのが来たんです。
ホログラムとかで、富士山とか、サクラとか、総務省の印章とか。
今までの紙っぺらとは大違いww んま、法で定めているところの携帯性が、やっと追いついたといったところか・・・
今までの手帳タイプのほうがいいという人が散見されるが、私はこれのほうがとっても満足♪
一総通では、裏面もなんかごちゃごちゃ書いてある。
ついでに、無線従事者国家試験の得点開示請求してみた。
思っていたより、欧文の受信が点数低かった。
やっぱり 『品位』か。 おれ、字ぃ汚ねーもんなー (´・ω・`)
逆に、よく読み取ってくれたよ。採点者。
仕事とはいえ、もうしわけね。
ところで、忘れないうちに電気通信術の受験にあたって留意しておかなければならないことを記しておこう。
まず最初に、
採点基準
ここのサイトをまず確認してほしい。 http://www.gato.st/menu3/saiten.html
特に注目したいのが、『減点法』であること。これを理解しておかないと落とし穴にはまることになる。
合格基準は、和文、暗語、普通語合わせて300点満点中210点。つまり7割だ。これをそのまま解釈してしまうと、受信は10文字中7文字書ければ
合格となる。 (これ、超楽勝!!)
いくらなんでもそれは・・・ と思ったあなたは正しいです。
間違った文字を書いて -3点
1文字書けなくて -1点
抹消/訂正 3文字ごとに -1点 *これは気にしなくていい。実際はそんなことやっている余裕もないし時間もない。
これらを合計して、科目あたり30点以内であれば合格圏。 ということです。
具体的に言うと、欧文普通語なら100字/分 ×5分間。 誤字なしの脱字だけなら30文字まで許される。つまり470文字を正しく書かなければならない。
先ほどの表現を用いるなら、470/500で、10文字中 9.4文字を書かなければならない。(実際は電報間の間隔、5秒間は符号が送られてこないが)
*誤字や品位の減点が加わると、その時点でアウト。
後述するが、業務で行うには何よりも正確性が求められる。(最低でも)これらの条件がクリヤできなければ、業務に就いてはならないということの表れでもある。
あくまで乱暴なイメージだが。前述の数字を考えた場合、合格の基準は送られてきた符号はすべて書き取り、あとは採点者が、書いた人の意図したとおりに
読み取れるか?くらいで考えたほうが良いかもしれない。
次に送信だが、送信スピードさえ誤らなければ特に問題はないだろう。(合格点で、という意味)
モールス送信
アマチュア無線やっている人は特にだが、これは甘く見ないほうがいい。
トランシーバーを用いた場合、自分の送信中は一切の雑音は聞こえてこない。つまり、自分の送っている符号以外の音は耳から入ってこない。
だが、試験会場では状況が全く異なる。
東京の会場での話だが、複数の受験者が思い思いに近隣から雑音を発してくる。 力いっぱい電鍵たたきまくる音。 元気いっぱい『あるふぁー』『ブラボー』
これらに惑わされていたら、瞬く間に自分の減点要素が加算されていく。 つまりこれらに惑わされない鋼鉄の精神力が求められる。普段から雑音の
多いところで練習することをお勧めする。習熟とは、『できることの確認』 ではなく 『できないことをできるようにする』 ことなのである。
意外と盲点なのが、会場に設置されている低周波発振器。ホントに微妙だが、打鍵より若干遅れて聞こえてくる。普段なら気にならないが、緊張状態で
高速モールスを送信する際は意外と ?(゚д゚)? となる。 これのせいで何回か訂正を連発してしまった。 エレキーを用いる際は会場設置のヘッドホン
(低周波発振器)ではなく、エレキーの出力を直接イヤホン等でモニターすることをお勧めしておく。
そして、送信速度。
ミスを怖がってエレキーの速度を遅く設定しようものなら、待っているのは地獄だけ。 遅くてもミスる時はミスる。訂正に要する時間もそれだけ長くなる。
試験官の『やめ!』の声がかかった時には、信じられないほどの量が未送となる。 → ミスを怖がった結果(´・ω・`) 笑わば笑え・・・
しかるに、速度の目安は、試験と同じ量の電文を訂正なしで10秒程度残して送信しきるスピード設定が最良かと。
また、エレキー使用で注意したいのが、備え付け電鍵への接続だ。当然並列に接続することになるのだが、できれば備え付けの電鍵からケーブルを外した
ほうがいい。また、持ち込みエレキーから、モニター音が出ないようにしておく必要がある。(試験官にそのように指示された)
エレキーの出力がリレー等の機械的なスイッチだったら気にしなくてよいが、オープンコレクタ等の半導体スイッチであれば低周波発振器からの極性に
注意する必要がある。
+-逆につないでしまうと、エレキーの出力が試験官に伝わらない。エレキー接続後に、備え付けの低周波発振器が鳴っていることを確認したほうが
いいだろう。
送信のコツは、文字ごとでなく、ワード(数文字)ごとにまとめて目と頭そして指で処理する。 これにつきる。(欧文の場合)
モールス受信
*符号はすべて覚えており、アマチュアのQSOができるレベルという前提。これから符号を覚える人が、この資格受けるとは思えない。
A1ABreaker を用いるのが最良と思う。
これは、聞いたものを書きとる『単純作業』なので、コツというコツは存在しないが、習熟にあたり留意しておかなかればならないことがある。
アマチュアの交信では、符号をいちいち紙に書いたりはしない。頭で文字を連想し、頭で『言葉として』理解するだけだ。
しかしながら、通信士のそれは目的がはっきりと異なる。自身が最終受信者であることはあまりなく、『正確に』『紙等に記録し』『第三者に伝える』のが
目的である。これらを考えた場合、アマチュアの交信ができるといっても、それはよもや役に立たない技能である。
また、無線機から聞こえてくるきれいな正弦波の音と違って、試験では700Hzほどの『台形波』がスピーカから流れてくることも付け加えておく。
(『ブー』に近い印象)
よって、ソフトの出力音波形の設定は、台形波に設定することをお勧めする。
なお、国家試験受信用紙のフォーマットは、前述のソフトで印刷できる。一枚印刷し、(会社で)大量に両面コピーすることをお勧めする。
以下、試験と同じ順序で
和文:
なんといってもネックになるのは電報形式(額表)(細かいことはググってください)。
何がネックかというと、書く欄や単語間の間隔や目印もなく、その符号のみから書く欄を判断しなければならない。これがキツイ
だが、送られてくる順番は決まっている。そして、国家試験では送られてくるものも決まっている。(とされている)
これを頼りに書く欄を判断することになる。
本文字数・・・数字(2桁か3桁)
発信局名・・・(ハツ で始まれば数字)*つまり、数字以外が送られてきたらここに書く。 ただし、『ダイ82キョウエイマル』のように
数字が混じる場合があるので、あわてて次の欄に移ってしまわず、内容をよく読み取る必要がある。
番号・・・数字(タナ で始まっても数字)*つまり、数字が送られてきたらここに書く。
受付時刻・・・午前は『セ』、午後は『コ』 あとは略体数字。*つまり『セ』または『コ』が送られてきたらここに書く
名あて・・・段落記号『┗』は、書いてから次の行へ。
本文記号・・・ホレ
本文・・・60字ごとに問符がくる
繰り返すが、書く欄や単語の間隔は一切ない。とにかく額表で受信練習を繰り返し、書く欄の移動が自然にできるようになるまでひたすらやるしかない。
前述のソフト A1ABreaker での話だが、設定速度は毎分80字/分で練習するとよい。この速度での完コピを目指す。最初にゆっくり、取れる速度で
始めても、それは自己満足に過ぎず上達には至らない。最初は取れなくとも、しつこくしつこく、取れるようになるまで書きまくる。これこそが上達を目的
とした訓練と思う(私は)
欧文暗語:
特筆することは何もない。 和文モールスと同じ速度感で送られてくる。
送られてきた文字を、ただ機械的に紙に書くだけ。英単語になっていないので、極端な遅れ受信(覚えておいて後で書く)は不可能。送られた直後に書く、
ただの書き取り装置になること。
欧文普通語:
前述2つと違って、明らかに符号の速度が速い。心の準備が必要。
私は筆記体が苦手なので、小文字のブロック体で臨んだ。やはり、『a』や『d』、『n』『w』が苦手だ。通常では何でもないが、筆記の速度を上げると
どうしても字が崩れてしまう。
筆記体に慣れた人は、迷いなく筆記体で臨むべきだと思う。また、書く文字は気持ち小さめのほうがいい。スピードが速いので、筆記に割ける時間が
あまりない。そして本文の最後に、『署名』が来ると思っていたほうがいい。 -・・・- (=と書く) の後に名前が来ます。(yamashita とか)
特に欧文普通語の話だが、本文が1枚に書ききれない。 記入欄いっぱいになっても情け容赦なしに符号が送られてくるわけで、いつかは2枚目の紙に
書かなければならない。
これをどう乗り切るか。要点は2つ。紙捲りと捲っている間の受信。
紙捲り:
まず最初に用紙の左下をつまみやすいように少し距離を空けて折っておく(ドッグイヤーみたいに)。ホチキスは外さない。
最後の行に達したら、そのドッグイヤーを左手の指でつまむ。
記入欄の最後まで書こうとしない。行の半分ぐらいでスパッと2枚目に書き始める。2枚目は半分も書かないうちに終わるので、
1枚目を目いっぱい書く意味がない。
それに、最後の単語が長かったりしたら、目も当てられないことになる。
捲っている間の受信:
あわてず騒がず、いつも通りの作業をこなすことが肝要。いつも通りとは、耳はきちんと符号を聞き取り頭では文字を連想すること
(左手の動きが追加されるだけ)。
あとは、上記の紙捲りを練習しておけば、ただ2枚目の書き始めだけ、筆記速度を少し上げればいいだけ。
ホチキスを外して最初から縦や横に紙を並べておくのもいいかもしれない。ただし、いつもと筆記の体制が微妙に変わるはずなので、
神経質な人にはお勧めできない。紙移動の際、1枚目の紙を机の外までかっ飛ばす危険性があることも付け加えておく。
共通事項:
欧文暗語には当てはまらないが(Preambleを除く)、
絶対に次の文字を予測しないこと。
言葉として受信していると、次に送られてくる文字が分かってきたりする。例えば、『センパク』と来たら、次の文字は反射的に『キョク』と思ってしまう。
『キ』を待っているところに、『マタハ』と来てしまったらそのあとがパニックになり、平気で5文字以上落としてしまう。欧文普通語でも同じだ。
『whit』と来たら、あ、次は『e』ね。 と思っていたところに続いて『man』がきたりする。 またまた平気で5文字以上落とす。
次の文字を頭に浮かべた瞬間に、脳は受信処理を停止してしまう。よって、想定外の符号が聞こえた瞬間にその文字は書き取り不可能となる。
脳の受信処理を再開させるまでに、平気で5文字以上は流れて行ってしまう。 この連鎖は、試験では絶対に避けなければならない。
確かに受信が終わった時に、言葉としてつながった電報文が目の前にあると、ある種の達成感は得られると思う。しかしながら、その達成感や充実感と
試験で書きとる実力の向上は、必ずしも一致しない。
誰でも本番では極度に緊張します。練習時の9割ほどしか書けません。よって練習速度は、試験の速度+5文字毎分で練習するのが望ましい。
最初は全く書けないだろうが、気にすることはない。徹頭徹尾これで行く。
しかしながら、この速度で練習しまくると、本番がびっくりするほど遅く聞こえる。 変な余裕が生まれ受信中にいろいろな雑念
(色気を出して、前の文字を見て次の文字を予測して外れ、悲惨な結果となってしまう)が生じてしまう。前日に数回、試験と同じ速度で耳慣らし
するのもいいかもしれない。
速度を落とすことによる実力低下の心配はいらない。それによってこれまで積み上げた実力が落ちてしまうことなどありえない。
方々の受験体験記的な記述があり、筆記具についていろいろな意見が散見されるが、そのような細かいことで結果が左右されるようであれば、
合格のレベルに達していない証でもある。固い芯のシャープペンシルや万年筆は紙が破れてしまい論外だが、ボールペンの種類にまでこだわる
ようであれば、結果はあきらめたほうがいい。
印刷電信
名前はすごいが、ただのキータイピング。 ただ紙に書いてあることを、キーボードで打つだけ。 普通にパソコンやっている人は楽勝。何も考えなくていい。
しかしだ、どんなものにもそれなりに障壁があったりもする。
問題文と違う文字をタイプすると、『ピンッ!』 って音がするようになっている。打ち間違わなければこんな音はしないわけで、問題なのはそこではない。
東京での話だが、8人が密集して同時に受験する。 もうお気づきだろうか。自分は間違えた入力をしていないにもかかわらず、不規則に 『ピンッ!』
『ピピピンッ!!』が、あたかも自分のPCから発しているかのように聞こえてくる。 反射的に手が止まる。でも自分は間違えていない。 軽いパニックに
なったりもする。
ここでも、前述モールス送信ほどではないしろ、鉄の意志が必要かもしれない。 ま、事前の心の準備があれば問題ないか…
総じて:
いくつかのサイトで、最近はやりの携帯プレーヤー等でモールスを聞いて練習するという意見がある。
これについては、百害あって一利もない。ずっと聞いていると当然に文字は頭に浮かぶ。そして、『俺できる』状態になる。ここが落とし穴。
モ-ルス受信の冒頭でも触れたことだが、誰でも読める字で紙に書いて初めてゴールであることを失念してはならない。
紙に書く実力が上がっていないにもかかわらず、気分だけ上達した状態。紙に書く時点になってそのギャップに苦しむことになる。
とはいうものの、人情としては一分でも時間を無駄にしたくはない。どうしてもという人は、イヤホンでモールス聞きながら、
他人に見られたら恥ずかしいので右手をポケットに突っ込み、
『エアー筆記』!!
だが、電車の中でこれやると、
近くの女の人にお巡りさん呼ばれてしまうリスク
があるので十分気を付けること。
番外編:
練習なぞ必要がないと思っている電話の試験だが、スピーカーから聞こえてくる試験の音声。 思いっきり発音(イントネーション)がおかしい。
びっくりするほどだ。私は会場の後ろのほうに座っていたが、おそらく初めて受験するであろう数人が、これを聞いたときにうろたえ戸惑い、
首をかしげているのが見て取れた。これについては心の準備が必要かも??