7.第3章 遡上(そじょう)1 | 開運とファンタジーの扉

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ファンタジー編 



惑星神話シバルバ
第7部 ウタ族の大河
第3章 遡上(そじょう)1

 

 

 

 

翌朝、日の出と共にゴ族は活動を始めていた。

 

 

馬上に乗り

全軍に指示を出しているシュバランケと

やはり馬上に乗り

それを補佐するカコウがいた。

 

この場で陣をとどめ

出陣しないヒエンとリコウは

シュバランケの準備を手伝っていた。

 

忙(せわ)しなく動くリコウに向かって

シュバランケが馬上から言った。

 

 

「マント族に

まんまと一杯食わされる所だったぞ」

 

「気が付かなかったか? リコウ!」

 

「いったん西北に出て、それから

東北となるウタ族の村を攻めろ! だと」

 

「あのサルめ!

西北で陣を張ったら

その隙に、さらにその先にある

マント族の村へ逃げ帰る魂胆だったのだ!」

 

「そして、我々を東北に向かって攻撃させるようにして

変化を呼んで

厳しい戦況となる様に仕向けたのだ」

 

「サルが考え付きそうな、浅知恵だ!」

 

 

リコウは地上にいて

シュバランケに返す言葉が無かった。

 

ただ馬上のシュバランケを仰ぎ見て

小さく頭を下げた。

 

 

「いいか!リコウ!」

 

「マント族とコミュニケーションが取れている事は良い事だが

あのマント族は策士だっ!」

 

「その言葉に振り回されるで無いぞ!」

 

「サルが言葉を発すると言う事は

自分に有利に物事を進める為に発するのだ」

 

「あのサルの言葉を

全面的に信用する事はするな!」

 

「よいな!」

 

「はっ、肝に銘じておきます」

リコウが頭を下げて言った。

 

 

 

バルルルル バウッ バウッ

シュバランケの乗った

ガタイの大きな黒い馬がいなないた。

 

ドウッ ドウッ

「さあ、準備は万端だっ」

 

シュバランケのドクロの面が朝日を浴びて

黒く光った。

 

「我らゴ族!」

「騎馬種族の偉大さを見せてやれっ!」

 

「出陣だっ!」

 

シュバランケの号令のもと

全軍が馬を駆って、進軍を開始した。

 

「出陣だっ!」 「出陣だっ!」 「出陣だっ!」

 

 

小川のわきを

一気に北上していくゴ族の軍団。

 

ゴ族の登り旗がたなびく。

皆、手に手に長槍を持ち。

弓の準備、矢の替えも十分にある。

盾も馬の鞍に結び付けてある。

黒いマントが風に泳ぐ。

兵士の腰にある剣が、ガチャガチャと音をたてる。

錐(きり)のようになった隊列の先端にはシュバランケがいた。

 

ドドドドド ドドドドド ドドドドド

 

 

回りの風景が

あっと言う間に、後ろに遠ざかって行く。

 

ドドドドド ドドドドド ドドドドド

 

 

 

先陣を切っていたシュバランケの馬が足を止めた。

 

 

ザーザーザー  ザーザーザー

そこは、目の前に壁のような崖が広がっている場所だった。

 

崖の上部からは大量の水が流れ、滝が出来上がっている。

 

 

シュバランケが呟いた。

 

「支流の小川が、ここで本流と交わったか」

 

「この左側の広い川が、北の大河だっ」

 

「この北の大河を遡(さかのぼ)れば、ウタ族の村だっ!」

 

「奴らは水の中に潜んでいる!」

 

「見つけ次第、殺しながら進んでいけ!」

 

カコウがシュバランケの言葉を受けて言った。

 

「シュバランケ様の今の言葉を

後ろに伝えながら進め――っ!」

 

「おーーっ!」 「おーーっ!」 「おーーっ!」

 

 

シュバランケは深さの無い北の大河に馬を入れた。

 

 

バシャッ バシャッ バシャッ

 

 

 

 

 

 

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まとめて読めます。

 

 

 

本日も 最後までお付合い下さり ありがとうございました。