犯罪により取り残された動物たちの世話をする警視庁いきもの係シリーズも書いている大倉さんの今回の主役は犬。黄金色の毛を持つゴールデンリトリバーのピーボ。警察病院のファシリティドッグ。患者に寄り添い、恐怖や苦痛といった精神的な負担を和らげるために働く犬。動物介在療法のスタッフでもある犬。

そんなピーボの相棒は看護師経験もある警察官、笠門。捜査一課を追われた過去を持つ。

そんな彼らにはもうひとつ秘密の任務がある。警察病院の最上階には、死期の迫った囚人が入院していて、ピーボの癒しの力で、彼らが墓場に持っていく秘密の一端を手にいれようとする。ピーボだけを病室に残し、制限時間の30分以内に、彼らから何事かをしゃべらせようとする。首輪に仕込まれた録音装置て保存し、それが再捜査のきっかけになる。

ピーボと笠門のコンピによる再捜査の事件簿。最後には警察内部の秘められた事件をも解明する。

秘密の任務と同時に、ピーボは重い病に苦しむ入院する子供たちの癒しにも寄与する。

かつて所轄から警視庁へ異動して活躍したこともある女刑事魚住久江。彼女は殺された人の捜査することはむなしく感じられ、まだ殺されていない人々を救う捜査の方がいいと、所轄に異動して、あちこちを回ってきた。今は練馬署の刑事組織犯罪対策課の巡査部長。

そんな彼女が直面する事件を描いた短編集。華やかな事件はないが、いろんな犯罪があり、そこには表面には現れていない秘密が、真相がある。

幼児が溺死し、母親が行方不明の事件。

帰宅途中の女子大生が襲われ、腹部を刺された事件。

帰宅途中の女子大生が抱きつかれた事件。

印刷工場内で社員が二人傷害された事件。

妻に刺されたと救急車で運ばれた男の事件。

酒気帯び運転で友人をひき殺しかけた男の事件。

わずかな手がかり、違和感から、事件の真相にたどり着く魚住刑事の活躍を描いた作品。なかなか面白かった。

三連休の初日の土曜の朝、ようやく一冊読了。金庸の七冊を読んでから、まるで読めなかった。これを一章読んだきり。それをようやく読み終えた。


恋人に料理の下手さで、あいそをつかされた女子大生の理央は、一念発起して、料理学校に行くことにする。家族が長年お世話になってきた料理研究家の大河弘子の簡単レシピ。大河が創業した料理学校へ。

理央は次第に料理に目覚めると共に、弘子のことも知りたくなる。レシピ本はたくさん出ているが、生い立ちなどは不明の弘子。日本の近現代史専攻の彼女は、卒論に弘子を通して、料理の変遷を調べたいと思う。

料理学校で事務員をしていた同い年の翔吾。弘子のひ孫で、料理の才も受け継いでいるらしい翔吾。そんな彼も弘子のことを調べたいと言い出す。

あいにくと、理央と知り合ってまもなく弘子は百歳で永眠。

だから二人は、弘子の知り合いなどに話を聞いて、弘子の過去にせまっていく。

各エピソードにはちょっとした謎があり、弘子はちょっとした探偵でもあった。

そんなエピソードにより、理央は弘子にとってかけがえのない人たちの孫であることがわかる。

戦前から今に至る百年に、弘子はいかに料理に目覚め、家庭料理を研究し、レシピを書いてきたか。

なかなか興味深い話だった。