江戸時代の絵師、安藤広重の生涯を描いた作品。

定火消し同心である、後家人の家に生まれたものの、絵を描くのが好きだった広重。早くに両親をなくしたものの、まだ若い祖父が若い後妻を迎え、男子が生まれたことから、その子が成長したら家を譲ることにして、絵に邁進。

歌川豊広に師事し、見込みがあると言われ、広重の画号を受けたものの、流行りの美人画も役者絵もまるで認められず、長くくすぶった広重。

そんな彼を陰から支えたのか、同じ同心の家から迎えた妻、加代。

最初は渋ったものの、頼まれてかいた東海道中の名所絵で、ようやく世間に認められた頃に、加代はなくなる。

普段から江戸の町を歩いては、気に入った風景を描いていた広重は、それによりようやく絵師として認められる。

なかなか面白かったか、前ほど江戸の絵師に興味が持てなくなった。

早朝まで降った雨はやみ、曇り空の一日。まだ梅雨明けにはならないな。


仕事帰りに、市立図書館分館へ。

六冊返却。うち一冊はあまり読めなかったが、返すことに。

新たに、四冊借りた。

今日借りた本


古内一絵

「百年の子」

小学館、202308


大倉崇裕

「ゾウに魅かれた容疑者  警視庁いきもの係」

講談社、2021


宇佐美まこと

「夢伝い」

集英社、2022


伊岡瞬

「冷たい檻」

中央公論新社、2018


シングルマザーの美和は、風邪だと思っていた五歳の息子の容態急変で、喘息とわかり、入院。幼児のため、付き添うことになる。一週間で退院予定が延びるかもしれないと聞き、入院をいやがる息子の説得にも、仕事ができないことにも不安を感じていた。

深夜近く、食べ物を求めて近所のコンビニに向かった彼女は、向かいのビルにある立て看板に気づき、不安ながらも入ってみる。三階にある、こじんまりしたカフェらしき店。カウンター席が五つしかない。三十になるかどうかの若い店主は、タメグチの明るい女性。

それでいて、人の気持ちを察するのが魔法のように鋭く、それに会わせた料理を作ってくれる。久しぶりの同年代の女性との会話、そしてうまい食事にありつき、美和は心を癒され、明日への元気をもらう。

そんな深夜カフェ、ポラリスに集う客たち、常連さんや初見さんの悩みを癒し、明日への活力を与える店主、朱里の会話と料理を描いた短編が四作。

医者一族の落ちこぼれ受験生は、三浪中で成績は下がるばかり。ひょんなことからポラリスに来て、近くの病院の医師と同席になることで、自分の気持ちを改めていくことになる。もちろん朱里の作る食事も後押しする。

身勝手で、共働きなのに妻に頼りきりの夫に腹を立て、プチ家出した果穂。いつも使う駅の反対側のビジネスホテルに泊まることに。空腹で近くのコンビニにはいる。おりわるく、そばを通った姑に見つかり、つれていかれたのが、ポラリス。義母は高校教師、舅も夫そっくりで、たまに夜の散歩に出てはポラリスに立ち寄る常連とか。夫の母親だから敬遠していたが、話してみれば、同じような境遇で、意気投合し、友人となる。息子と別れるように勧められてしまう。

結果、彼女は離婚し、仕事も充実し、ポラリスの常連となる。

町工場社長の勇治は、病院でショックなことを聞き、落ち込む。残業のあとに偶然見つけたポラリス。体型は違うが、店主の朱里は、名前も雰囲気も若くしてなくなった妻にそっくり。思わず会話が弾み、出された食事にも満足する。彼女に説得されて、医師に勧められた教育入院に前向きになることができた。

病院で医師を勤める琴音も常連だが、実は朱里とは高校時代からの友人。琴音が病院に勤めたあとに、格安でビルの一室を借りられた朱里が近所に来て再会した。今では朱里にとっては唯一の友であり、愚痴をこぼすことができる人。琴音にとっても、仕事の愚痴を話し、相談相手になっている。

人の気持ちを怖いくらいに察する能力を持つ朱里は、そのために怖がられたりして、まともな友人に恵まれなかった。