山本さんには、「ひなた弁当」とか「ひなた商店街」など、ひなたシリーズと言える作品があり、これもそれに繋がる。夢やぷれた中年男が違った土地で、年下の女性と新たな生き方を見いだす、そんな感じの作品たち。

今回の舞台は佐賀県の田舎にある民宿ひなた。祖父が始めた民宿を両親が経営していたが、趣味の釣り好きが高じて、プロの釣りライターになろうと家を出た主人公、古場粘児。一時はそこそこ有名にもなったが、連載していた釣り雑誌二者が共に廃刊となり、仕事を失った。アラフォーだし、恋人になったシングルマザーと一緒になることも考えて、実家の民宿を引き継ごうと考え、帰郷。しかし、民宿は客足が減り、あとを次がせるまでもないといわれてしまう。

しかたなく、あれこれ仕事を探すが見つからない。おりしも板前だった父親がしばらく入院することになり、調理士免許をもつ彼が代わりを勤めることに。

同じ頃、恋人も腰を痛め、入院。中学生の娘が民宿に行ってみたいと言い出し、預かることに。いじめが原因で不登校だった娘、希美。それまでは気まずい関係だったが。

釣りに興味を覚え、民宿に出入りするどら猫が気に入った希美。彼女は古場にとっては救いの女神となる。二人でとった釣りの獲物を民宿の食材にすることで、新たな道が開けていく。ブログを作り、宣伝もして、民宿は評判となり、新たな出会いやチャンスが生まれ、民宿復活の起爆剤となっていく。

なかなか面白かったが、正直なところ、釣りにあまり興味がないから、釣りのあれこれの部分は少し退屈だった。

第54回江戸川乱歩賞受賞作。

戦後間もない昭和21年に起きた誘拐事件。犯人を取り逃がし、身代金を奪われ、誘拐児さえ取り戻せなかった警察の汚点となった事件。

母と二人で暮らしていた良雄は、ガンでなくなる前に漏らした言葉から、自分は誘拐児ではないかという疑いを持つ。母も犯人の一人か?五歳までの記憶がなく、得体のしれない記憶を持つ彼は、親戚を知らずに育ったが、母の残した手帳にある住所録をたよりに、母親の過去を調べていく。母の世話をしていた看護師の幸子は恋人になり、彼を助けようとしていた。

そんなときに、総菜屋と家政婦をしていた平凡な女性弥生が襲われて残虐に殺された。しかもアパートの部屋にはなにかを探そうとしたあとが見つかる。殺される直前に不振な動きをしていた弥生。警察は彼女が誰かの秘密を見つけ、脅しで金を得ようとして、返り討ちにあったと考える。ではそれはどこで見つけたのか?

良雄と弥生は昭和21年に起こった誘拐事件こそが良雄ではないかと、当時を知る人物を訪ね、調べていく。

警察内にもそれに気づき、かつての捜査官に話を聞いたり、かつての容疑者たちを調べ始める。

二つの調べが交わるとき、良雄らと警察は犯人にぶつかり、事件は見事に解決する。

最近の作品に比べると、いまいちな点もあるが、なかなか面白かった。

シリーズ第三作。

今回のタイトルの照応は恋敵と恋歌。

冬子に言い寄る外科医笹森が登場する。人を庇って胸を刺された彼女を手術した執刀医。バツイチの彼が彼女に一目惚れしてプロポーズ。冬子は迷う、揺れる思い。恋敵の出現に行介もゆれるが、自分の生き方を変えるとは言わない。どうなるのか?二人の恋の行方は?

ヒーローに憧れる問題児を集めた自由塾の大樹。モンスターママの出現で、生徒と共に立てこもるが、どう決着をつけるのか?

コンビニ風の店を切り盛りする若夫婦。妻には秘密があった。そのときの相手と思われる男らしきホームレスが近所に現れ、揺れる思い。

冬子の将来が気になる母親の典子。笹森と行介にゆれる冬子の気持ちなはじめはわからなかったが、ついには理解できたようだ。

夢だった古本屋を開いた草平だったが、客もなく、将来が不安な妻は、ひとつの提案をする。二人が探していた乱歩の本が見つかったら、店を改造して客を呼び込もうと。それが見つかったとき、草平は姑息な手段でさえぎり、妻は家出する。しばらくして離婚届と共に、腹の子と二人で生きていくとの知らせが。笹森はどうする?揺れるおもいに手をさしのべる行介。

行介が刑務所で世話になった刑務官の先生が退官して近所に。受刑者の自殺がきっかけで、その妻と関係を持ち、妻に言われて、その女と暮らす先生。そんな先生のもとに、妻が来るとの連絡があり、揺れる先生。行介の店で会うことに。

行介の幼馴染みで店の常連の島木。商店街のプレイボーイを自認していたが、半ば本気の浮気が妻にばれ、自粛させられる。どうする?相手の女が気になり、店で会い、人物を見定めようとするが。はたして?