珈琲屋シリーズ第二作。

今回のメインは商店街のおでん屋の店主になった美人木綿子かな。このシリーズでは最初と最後の話のタイトルが呼応することになっていて、今回は特等席と指定席。美人の女将が評判になり、繁盛する店から話は始まる。他にも刑務所で行介と一緒だった時計職人や、息子に暴力を振るうシングルマザー、中学生同士の淡い恋、不規則な豆腐屋生活に疲れた奥さん、優秀な兄に比べられ不良になりかけた高校生が出会った女神のような女子高生などの、エピソードが珈琲屋を介して描かれる。

評判の美人女将は実は暴力を振るう夫に傷害を与えて、指名手配を受ける女性だとわかる。その夫が現れて、ナイフで刺そうするのを庇って、冬子が刺されて、救急車に乗る場面で終わる。

本当の悪人はいないが、ちょっとした気の緩み、きっかけで、心ならずも悪いことをしてしまう、心優しき人々が集う商店街。珈琲屋のマスター行介と常連で幼馴染みの冬子は、それらにどう対していくのか?

新宿花園裏交番シリーズ。

コロナのため緊急事態宣言が発令され、人の姿がなくなった新宿の街は、交番勤務の坂下にはまるで未来都市の印象。人気がなくなり、事件もなくなるかと言えばそうではない。新たな事件が増え、忙しさは変わらない。

からすが増え、通りかかる人を脅すように襲っているとの通報を受け、古いビルにある保育施設に自転車で向かう二人が、途中で宅配業者とぶつかりそうになる場面から話は始まる。

そして、隣のビルの屋上テラスで、白骨化された死体が見つかり、管轄の東新宿書の刑事による捜査が始まった直後に、異常な事態が起きる。自粛するように言われていたのに、なんと東新宿書の幹部たちが宴会を開いていて、その中にコロナ感染者が出たために、署員全員が半月の自粛をすることになってしまう。代わりに近隣の警察署から応援を受け、事件に対処するなか、様々な事件が起こり、坂下たちは翻弄される。

置き配達の宅配便を盗む二人組、中国人女性が襲われ、病院へ。二つの敵対する暴力団で、食中毒とコロナ感染がおきる。引きこもりの息子が、コロナと食中毒の細菌と拳銃を持って街中へ。暴力団とつるむ刑事の怪しい動き。政治家や有名人が集う秘密のパーティ。

わずか一昼夜に様々な事件が起こり、翻弄される坂下と内藤。


二年前に読了しているが、所々しか覚えがなく、また楽しめた。


むごい殺人を犯しながら、死刑ではなく無期懲役を受けた殺人犯。その家族が犯罪と同じやり方で殺された。現場には犯人によると思われるネメシスの言葉が残されていた。ギリシア神話の復讐の女神。正確には義憤の女神で、片手には刃をもう片手には罪の重さを図る天秤が握られている。

犯人はかつての犯罪の被害者遺族による復讐なのか?犯罪者への裁きが甘すぎると感じる市民の義憤から生じた犯罪なのか?

埼玉県警の刑事、渡瀬警部は捜査を始めるが、後者だと容疑者を絞り込めず、捜査は進まない。

二件の事件のあとに、かつての犯罪者の遺族から、ストーカーの恐れがあると通報がある。ネメシスの使者と呼ばれる犯人に狙われているかも。決め手を欠く捜査を進めていた渡瀬は、彼らをおとりにして、ついにネメシスの使者を逮捕。

なんと捜査を指揮する次席検事のもとではたらく事務官だった。司法に対する不満と彼独自の倫理観から、ネメシスの女神に代わって、裁いたのだと。

これて一件落着かと思わせて、最後にひっくり返す中山さん。

今回も意外な展開と結末が待っていた。

社会派ミステリーというか、死刑について考えさせる話だったが、正直言えば、その分楽しめなかったかな。