北海道警、札幌大通署シリーズ。

肌寒くなった十月末、深夜の同じ頃に起きたと思われる、三件の遺体が見つかる。

釧路の港で浮いていた男。函館の病院の屋上から転落死した病人。小樽の浄水場の近くで燃えた車。なかにはおもちゃの手錠をはめられた男の焼死体が見つかる。

事故と思われる二件と殺人と思われる一件。無関係に思えた。

機動捜査隊に応援を頼まれた津久井は小樽に向かう。

佐伯は最近起きている車上あらしを追っていた。駐車場に置かれた車の窓をハンマーで割られて、座席においてあったパソコンが盗まれた。本体ではなく、中のデータが恐喝の材料にされたらしい。

小島百合は小学校前から車にのせられていなくなった少女を、誘拐かと調べ始めた。あとで母親と連絡がとれ、急用で家族で出掛けることになったとわかり、誘拐ではなかったが。何か不審を覚え、気になっていた。

一緒に昼職を食べた佐伯たち四人。佐伯はその父親の名前を聞いて驚く。先輩から譲られたエス、警察協力者だった。連絡がとれない。何者かから逃げたのか?

のちに、三件の被害者たちもみなエスだったとわかる。同じ犯人による犯罪か?

郡司警部の事件の直前に起きた暴力団の幹部を逮捕する事案にかかわったエスたちだった。折しも服役した幹部らが出所する。それに関連する復讐なのか?

今だ行方不明のエスの家族の追跡を始める佐伯と津久井たち。

エスは警官個人のかかわりで組織には知らせていない。その秘密が漏れていた。誰がどのようにして漏らしたのか?密売人は誰なのか?

なかなか読ませる展開だった。

北海道警、札幌大通署シリーズ二作目。

前回の百条委員会での証言により、津久井は警察学校の雑用係に左遷され、佐伯は盗犯係はそのままながら、大きな事件には関わらず、部下の新宮と二人だけの部署に。

警察庁からキャリアの監察官が訪れ、道警本部と大通署の生活安全課の監査をするという。その内容がわからず戸惑う上層部。

海外のニュースでも広まった北海道警察の不祥事、暴力団との癒着を推定させる二件の事件。それを調べに来たようだ。

人身売買で日本に来て働かせられていたタイ人の少女が逃げ出し、交番に飛び込んだが、暴力団の追っ手に引き渡された事件。少女は別の地に売られ、そこを抜け出して、大使館に保護され、帰国し、警察などに事情を話したらしい。

すすきののぼったくりバーの客が五階の非常口から転落して死亡。店の者が関わった事件の疑いもあったが、事故死で処理された。店は暴力団の息がかかっていた。

佐伯はホテルの部屋の侵入事件に向かう。客は転落死した男の父親で、事件の再捜査を申請に来ていた。暴力団か警察が関与しているのか?

捜査しながら、かつてのおとり捜査が失敗した原因は、佐伯と津久井の身元がわかったためではないか?それは警察と暴力団の癒着が招いたのではないか?

一見誰も金をためていないし、怪しい警官たちの繋がりもわからず、監査の調査が難航する。パソコンが得意な女性警官小島百合が参加して、繋がりを見つける。所属署も担当もばらばらな警官たちは野球部とOB会による繋がりだった。

溜め込んだ金は、警察学校長が管理しているとわかり、預金額を調べようとしたら、学校長が金を引き出して逃走。仲間の警官が暴力団に連絡してあとを追わせた。二人の携帯の電波を追い、佐伯ら警察官と監視官があとを追う。どうやら千歳空港に向かっているとわかり、急行する。暴力団の殺し屋が一歩先について、学校長を殺害し、金を持って逃げようとするのに、警察は追い付き、包囲する。

そして、どうにか逮捕。

以前の郡司警部の不正は、上層部の裏金作りが原因だったが、今回はノンキャリアの警官たちが退職後の保証を得るために、金をためようとしたらしい。目的は納得できるが、手段が間違っている。暴力団と共同で金を作り、一般人に迷惑をかけた行為は許されるものではない。

これで少しは道警はよくなるのかどうか?


北海道警、札幌大通署シリーズの第一作。

生活安全部の郡司警部の暴走事件の煽りを受けて、大規模な人事異動が行われるようになった北海道警察。おかけで現場には不馴れな警官ばかりとなり、捜査もままならない。

そんなときに起こった婦人警官殺し。津久井が付き合っていたことがわかり、ろくな捜査もしないで、津久井を犯人と決めつけ、指名手配する上層部。郡司の部下にいたことがあることから、薬物をもち、銃も所持しているから、銃殺してもかまわないという、指示まで出る始末。

佐伯は以前警察庁が行ったおとり捜査で、津久井と参加したことがあり、彼が犯人とは信じられない。

佐伯は密かに、婦人警官殺しを、信頼できる警官数人を集めて、捜査することに。真犯人を逮捕して、津久井の無実を明かそうと。

しかも津久井は北海道議会の百条委員会の証人に選ばれていた。

上層部はそれをも阻止しようとしての暴走らしい。

最後には佐伯は真犯人を見つけ、自首を勧めるも自殺してしまう。キャリアの安全部長だった。

議会への出席を阻止しようとひしめく警官たちをあやつり、佐伯は機略を使い、津久井を無事に議会に送り出す。

なかなか面白かった。