第一部では三人の所轄の新米刑事たちが描かれる。才能はありながら、失敗したり、自信をなくしたりしていた三人。そこへ季節外れの新人刑事が異動されてきて、彼らの相棒として捜査に加わり、捜査上のあれこれをアドバイスして、彼らに自信を持たせていく。
警部補となり本庁から所轄の係長になったばかりの女性刑事、益山瞳は管理職になったものの、率先して現場に行こうとして混乱させていた。そんな彼女の前に現れたのは中年の刑事向井。本庁の人事課からの異動というが、捜査にも堪能なベテラン刑事。
所轄の刑事所は、取り調べのベテラン刑事として本庁で活躍することを目指していた。しかし、乱闘騒ぎを起こした大学生を取り調べるも、自供させられず職場で肩身の狭い思いをしていたが、そこに現れた向井が彼に取り調べのノウハウを教えることになる。
有名な窃盗犯の動向監視を命じられた西条だが、尾行を見破られる失敗を繰り返していた。ひとつには人並み優れた高身長のために見破られやすいからだ。そんな彼に向井は尾行のテクニックを教えるとともに、高身長の利点も教えてくれる。
そんな三人が期せずして本庁に異動となり、同じ班となるのが第二部。主任となった瞳の班に加わったのが所と西条だが、本庁がはじめて二人のために開いた飲み会の席で、三人は共に向井の指導を受けていたことがわかる。彼の正体を知りたくなる三人。
折よく起こった女子大生暴行殺人事件。過去にもにた手口で侵入された女子大生殺人事件があったと知る。調べてみると、そのときの被害者は向井の実の妹だった。ベテラン刑事だった向井は捜査をはずされた上に、結局迷宮入りとなり、荒れた。そのために現場から事務職の人事課に異動されていた。しかし、彼の能力を惜しんだ上層部が、新人刑事のコーチとして、向井をあちこちの所轄に短期間だけ派遣していたらしい。
もしかすると、向井の妹の事件も同じ犯人かも知れない。そういう口実をつけて、向井を捜査本部に入れて、一緒に捜査をしようと画策した三人。
結局、同一犯ではないとわかったものの、向井はいまだ刑事魂を持っていることを確信した三人は、その無能のために異動となった班の補充として、向井を仲間に迎えることに成功する。