気になりながらも、最後まで読めなかったこれをようやく読了。
人生を考えさせてくれる良質なファンタジー。
三十五才のノーラは何もかもがついてなくて、絶望していた。そして自殺しようと睡眠薬をのみ、死にかけていた。
そんな彼女が目覚めると、真夜中だった。時計は0時のまま動かない。もやに包まれた石造りの四角い建物の前にいた。中へ入ってみると、そこにあるのは書架だった。壁中に並んでいて、通路が無数にある。本が無数にあるが、様々な緑一色で、タイトルはない。何なんだ?
不審におもっていたら、一人の女性が現れる。司書と名乗る老女が現れる。高校時代の図書室の司書だったエルム夫人だった。そして、この不思議な図書館の説明をしてくれる。
ここに並ぶ本はすべて、ノーラがなり得た可能性のある人生が書かれた本なんだと。人生には無数の選択がある。選択次第で変わる人生、それが書かれた本がここに並ぶのだと。ただ一冊だけ、選択により後悔した思いが綴られた後悔の書があり、エルム夫人は最初にそれを見るように告げる。手には持てないほどの重量のそこには、ノーラが今まで感じてきた後悔がすべて、載っていた。
水泳に優れ、父親にオリンピック選手になることを期待されていた十代のノーラ。その期待に押し潰され、挫折したときに父親をがっかりさせた子とへの後悔。兄か始めた音楽活動に加わり、メジャーデビューしかけたバンドが、ノーラの脱退で解散して、兄たちをがっかりさせたことの後悔。いまだに彼らとはぎくしゃくしている。恋人のダンと婚約したものの、母親の病死をきっかけに取り止めて、別れたことへの後悔。いまだに未婚で、子供もいない。親友に誘われながら一緒にオーストラリアへ行かなかったこと。いまだに忘れられない人生の岐路の選択の後悔。
ローラはエルム夫人に勧められ、それらの選択をやり直すことにする。それにより新たな人生を体験する。今よりもよい面もあるが、悪い面も出てきて、どれにも満足できず、図書館に舞い戻るノーラ。はたして、彼女は本当に望む人生を見つけ出せるのか?