昨日までは暑い日が続いたが、今週から雨のようで、九州は梅雨入り。今週にも東海の梅雨入りが出るかも。


仕事帰り、市立図書館分館へ。

土日に読み終えた五冊を返却し、新たにまた五冊借りた。

本棚を見ていくと、小路さんの未読本を三冊見つけ、借りることに。新着書籍として掲示してあった海外文学に目に留まり、借りることに。あと、森見さんの新作を。

今日借りた本


森見登美彦

「シャーロック・ホームズの凱旋」

中央公論新社、202401


小路幸也

「花咲小路二丁目中通りのアンパイア」

ポプラ社、202412


「A DAY IN YOUR LIFE」

徳間書店、202502


「キャント・バイ・ミー・ラブ」

集英社、202404


ギーターンジャリ・シュリー

「砂の境界」

エトセトラブックス、202504



都会で暮らす、一風変わった青年の物語。仙台郊外の田舎街から上京し、都内の外れで暮らし、派遣でコールセンターに勤務する青年。恋人もなく、親しい友人もいなくて、ただただ余裕がない暮らしをしている。そんな彼に田舎の兄から、なくなった伯父の部屋の整理を頼まれる。一族の長男の癖に上京し、家庭も持たず一人暮らした伯父は変わり者と言われていた。祖父の葬儀の時に言葉を交わしたことしかない。 

川向こうの下町の雑居ビルの一室に暮らしていた伯父。他人屋という何でも屋をなりわいにしていたらしい。一人暮らしの老人の部屋なら、簡単にすむと思った部屋の整理は雑然とある様々なもので簡単にはいかない。業者に頼む金もない。大家の女性から、事故物件だからと格安の家賃を提示され、彼がすむことに。

ある日、ベッドの足元に長い髪におおわれて、顔もわからない女性を見て、ビックリ。伯父の残した日記に時々出てくる幽霊らしい。部屋の合鍵をもち、自由に出入りし、部屋にある食べ物を食べている。最初は本物の幽霊かとびびるも、どうやら人間らしい。伯父が出入りを許していたらしいが、彼にはそれは認められない。

管理人から聞きただすと、昔、この部屋で起きた一家殺人事件。両親と姉は殺されたが、お泊まり保育で留守だった次女が生き残ったらしい。幽霊の正体はそれらしい。

死んだものはいつか戻ってくると伯父から聞いた幽霊は、この部屋から去ることを拒否。始めはなんとか追い払うつもりだった青年は、やがて彼女が部屋に通うことを許すようになる。世間的には変わっていても、ただ生きてるものなら、生きる権利はある。むやみに排除すべきではないかと。

久しぶりの森沢さん。

今回も癒された。

ゼネコンに勤めていた忠彦が、山村の神社の前で、嵐の中で遺体で見つかる。そんなエピソードから物語りは始まる。孤独な老人の家族の物語。

趣味の釣りで通うようになった山村。そこで知り合った同い年の青年浩之。彼の家族とも仲良くなり、村が第二の故郷となった。そんなときに知った勤務するゼネコンも加わった開発計画。無理な開発が引き起こす事故を恐れていたが、ただの社員の忠彦にはなすすべもない。そんなときに起きた地滑りを目撃し、親友の家屋や家族を含めた多くの犠牲者がでたショックで、失声症と鬱になった忠彦。やがて、彼は会社をやめ、一人山村に移住。幼い子を抱えた妻は離婚してしまう。

声がでないまま、村の雑用係として生活して、村の名物の古木の桜の世話をし、村外れに桜の植樹をし、世話をして生きた忠彦。

父親を恨み、忘れようと懸命に生きてきた妻と二人の子、兄妹。そんな彼らのもとに、父親の死の訃報が届く。葬式には出なかったものの、墓参りに出掛けた兄妹は、亡き父親が残したものを目の当たりして、感動する。嫌がる母親を説得して再度墓参りに。かたくななな母親の心まで溶かす父親の残したもの。

人生は色々あるが、どれが正解かはわからない。ただ、自分に正直に生きられたら、それが一番かもしれない。