久しぶりの森沢さん。

今回も癒された。

ゼネコンに勤めていた忠彦が、山村の神社の前で、嵐の中で遺体で見つかる。そんなエピソードから物語りは始まる。孤独な老人の家族の物語。

趣味の釣りで通うようになった山村。そこで知り合った同い年の青年浩之。彼の家族とも仲良くなり、村が第二の故郷となった。そんなときに知った勤務するゼネコンも加わった開発計画。無理な開発が引き起こす事故を恐れていたが、ただの社員の忠彦にはなすすべもない。そんなときに起きた地滑りを目撃し、親友の家屋や家族を含めた多くの犠牲者がでたショックで、失声症と鬱になった忠彦。やがて、彼は会社をやめ、一人山村に移住。幼い子を抱えた妻は離婚してしまう。

声がでないまま、村の雑用係として生活して、村の名物の古木の桜の世話をし、村外れに桜の植樹をし、世話をして生きた忠彦。

父親を恨み、忘れようと懸命に生きてきた妻と二人の子、兄妹。そんな彼らのもとに、父親の死の訃報が届く。葬式には出なかったものの、墓参りに出掛けた兄妹は、亡き父親が残したものを目の当たりして、感動する。嫌がる母親を説得して再度墓参りに。かたくななな母親の心まで溶かす父親の残したもの。

人生は色々あるが、どれが正解かはわからない。ただ、自分に正直に生きられたら、それが一番かもしれない。