「線は、僕を描く」でデビューした砥上さん。水墨画家である彼が自身の仕事を描いた作品も興味深く、感動したが。次に出したのが、この視能訓練士を描いた作品。視力検査だけでなく、様々な資格能力を検査機器を使って検査し、いち早く眼の以上を見つけたり、改善するための訓練を行う技能職。国家試験もあるものの、一般にはあまり知られていない。
主人公は野宮恭一。国家試験には合格したものの、イケメンなんだが、見かけ倒しで、残念なイケメンと家族にまで言われ続けてきた。不器用で何でもこなすことはできないが、好きなことならひとつのことに打ち込めると思い選んだ仕事。なぜか昔から瞳を見つめるのが好きだった野宮。
なかなか見つからない就職先。そんな野宮が見つけたのは町の小さな眼科医院、北見眼科院。
最初はうっかり測定機械に何度もぶつかるような、おっちょこちょいだったが、患者を見つめ、学びながら、一人前の視能検査士になるまでを描いた作品。
あまり知られていない眼科の様々な病気や症状。それに罹患し、苦しんだり悩む患者たち。そんな彼らに真摯に向き合い、治療の手助けをしながら、成長していく野宮。
すでに続編、「11ミリのふたつ星」も出ていて、先にそちらを読んだのだが、野宮は成長していて、年下のいとこの病をいち早く見つけ出して、家族内での信頼度が増すことになる。