札幌の女子高生、相内蒼は小学時代の男児と再会した。それが運命だったのか?

離婚してシングルとなり、小学生の娘と二人暮らしをしていた母親めぐみは、友人と子供食堂を開いていた。

いつも一人でいた蒼は、それが気にならなかったし、かえってのびのびできると思っていた。嫌いな給食も食べずに済ます彼女から、それをもらって食べていたのが米田だった。彼は父親と二人暮らしの貧しい生活だったから、蒼にシンパシーを感じたらしい。その米田の父親の仕事が夜間街光調査官と聞いて、感銘を受けた蒼。夜になると浮かぶ家々の灯りをカウントすると言う仕事に興味をもち、自分もなりたいと思った蒼。のちに本当の仕事ではなく、空想だと知ってからも、なりたいと願った。

誰とも近づかず、一人で過ごすことが好きだった蒼は、高校で再会した米田や冬子により、少し軌道修正する。それほど熱心にではないが、付き合う。

米田が定時制の生徒ながら、全日制の生徒の野球部にいると知り、彼女も雑用係として関わるようになる。

そんな蒼の卒業までの高校生活を描いた青春物語なのかな。

はじめは読むのが嫌になるかと思ったが、どうにか最後まで読了。

面白かったとも言えないが、悪くもなかったか?

霊が見える、霊の記憶の一部が見える私立探偵天野。

探偵になったものの依頼もあまりなく、知り合った資産家の孫息子の中学生楓の家庭教師を副業にしていた天野。

ある日、楓の家政婦から調査を以来される。彼女の友人の保育園の園長が、園児の一人に不審があるが、なんなのかよくわからないから調べてほしいと。彼女の保育士としての勘だけの不審で、誰にも相談できないと。

夏休みだった楓と共に、ボランティアで、保育士の補助として、保育園で働き始める。

問題の子はよく怪我をするが、本人は気にしてない様子で、虐待の恐れはない。父親と二人暮らしで、父親も怪しいところはなく、親子の仲もよい。

園では少し前に園児が事故死していた。なくなった園児が、園児たちか散歩で事故現場を通りかかると、指差すのを見た天野は、それが何を意味するのか考える。

事故には誰かの意図が絡むのか?

なくなった園児と親しかった園児の一人が問題の園児。話を聞くと、誰かに、たぶん父親に口止めされている様子だが、突っ込んで問いただせない。

なかなか真相はわからないまま夏休みが終わるときに、ようやく問題の園児の秘密が楓には明らかになる。その園児のたわいない言葉により引き起こされた不幸な事故。

真相は明らかになるが、誰も告発できないし、秘密に埋めるしかない。

大事件が起こるわけもないのに、最後まで読まされた。なかなか読みごたえがある。

戦後、栃木県の田舎に暮らす民俗学者、中山太郎のもとを訪れて、彼が見聞きした同時代の偉人たちの逸話を聞くと言う体裁で語られる、少し怪奇めいた事件の話の数々。

最初は中山の師である民俗学者柳田国男。東北地方のおしらさまと呼ばれる神の人形にまつわる逸話。さらに、漂泊の俳人山頭火も関わる。

二番目は明治時代の移植の文化人宮武外骨にまつわる話で、人の頭骨を使う占いの話。

三番目は、森鴎外が少しだけみた百物語に関する話。

四番目は、首切り浅右衛門が遭遇した悪女高橋お伝の遺骸が盗まれた逸話から、江戸川乱歩が見事な推理を見せる。

五番目は、名人生人形師がつくった文部大臣森有礼暗殺者の人形にまつわる怪奇な話。

最後に登場するのは異色の学者、熊楠。彼の異常な記憶力にまつわる話。


なんとか最後まで読んだものの、今一の感じかな。この著者のデビュー作である「三人書房」も、最後まできちんと読めなかった。