サブタイトルが鑑識課警察犬係。

これは警察犬の活躍を描いた話。

幼い頃に警察犬レニーに救われた経験がある新人警察犬係の岡本都花沙。ベテランの警察犬アクセル号とコンビを組み、いくつかの事件に関わっていく。

認知症の高齢者の捜索、ひき逃げ犯の追跡など。それらには警察犬だけではなく、民間の警察犬訓練所の犬も参加し、岡本は何度も出し抜かれる。凄腕のハンドラー野見山と警察犬ブリッツ。

その野見山が警察官時代の話が巻頭に描かれる。今は訓練所の所長をしている秋穂もかつてハンドラーで、ある爆弾事件に遭遇して、愛犬は彼女を庇って死亡し、彼女自信も下半身麻痺で車椅子生活に。その爆弾犯を見つけたのは野見山とレニーだったが、弁護士から再検査を依頼されたときに、野見山は不正をおかし、警察をやめ、レニー号も引退した過去の話が描かれる。

行方不明となった会社社長の捜索により、はからずも爆弾犯の正体はわかる。岡本がアクセル号を病気でなくしたあとに、訓練所で見つけた子犬をレニーと名付け、訓練を始めた矢先に、違法にとある場所を捜索して遺体を発見する。新レニーは爆発物の捜索に優れた能力を持っていた。

年末の夜に読みはじめて、読了したのは日跨ぎして、元日になっていた。

救急車の運転士を勤める機関員生田が主人公の話。

若い頃はやんちゃでバイクを乗り回していた生田だが、今はまじめ。妻子がいて、救急隊員。前の職場では消防車の運転をしていたが、今の職場では救急車に。その運転にはかなり違いがあり、なれないと難しいものだが、彼は器用にこなしている。

その彼が救急出動を二回こなして、給油をしようと戻りかけたときに、道端に血を流して倒れた人物を発見し、救急車に収容し、病院も決まり、走り出そうとしたときに、患者がナイフを出して、救命救急士の森を人質にして、救急車をジャックする。そしてある救急病院に向かえと指示する。

その男は家族三人をある男に人質にされ、言われたままに犯行をしているという。手荷物には爆弾もあり、言うことを聞かないと、人質を殺したり、爆弾をリモコンで爆発させるのだと。

犯人の命じるままに、あちこちの病院に、時間限定で走り回される生田ら。犯人の目的は何か?

後半の救急車が走り回されるのに、生田が懸命な運転でこなしていくのが、なかなか見所。警察が近づくのは拒否しながらも、マスコミが取材車で近づくのを阻止させない犯人。犯人の指定通りの時間内につけるには、回りのマスコミの車が邪魔。遅れたら、人質を殺すと聞いて、なんとしても死者だけは出したくない生田。

息詰まる展開は読みごたえがあるし、生田の操車も見事。

ラストの生田の暴走もカッコいい。彼を支える仲間たちの応援もいいね。

救急車は万能ではない。そのために不幸にも家族をなくした人々が連帯して、社会に実態を知らしめるために起こした犯行だったようだ。

ストーカー殺人がもたらした復讐劇を描いた警察小説。

巻頭のプロローグで幼い頃に大好きな姉を失った佐坂。今は荻窪署の刑事となり、女性が被害者となるストーカー事件をよく調べているため事件マニアと呼ばれる刑事。

彼が関わるのは夫が殺され、妻が拉致された奇妙な事件。誘拐ではない。拉致したのは八十台の老人。

そのあとに、二人の若い女性がしつこいストーカーに苦しむ姿が描かれ、それが佐坂に知られたとき、殺人事件と同じ犯人に思われた。

そして事件マニアの佐坂は、被害者に家族などについて話を聞いていくうちに、彼らが無縁ではないことに気がつく。

二十年前に起きた女性の連続殺人事件。その関係者が今回の事件の被害者だった。二十年前の犯人は逮捕され、裁判により有罪となるも、獄中でなくなった。

その犯人の身内による復讐ではないか?

その気づきにより、捜査は進展する。やがて、関係者たちの過去から意外な繋がりが見えてきて、犯人が浮かび上がり、逮捕されるも、何か違和感を抱く佐坂たち。そしてついに真犯人が特定されたとき、彼は意外な人物の手で、殺されようとするが、刑事の説得により、投降し、事件は解決する。

ラストのエピソードでは、出所して働いている姉の殺人者を探しだし、会いに行った佐坂が、その男の再犯現場を取り抑え逮捕する話が描かれる。