「制服捜査」の続編。
釧路方面広尾署志茂別駐在所勤務二年目の川久保。三月の彼岸の日には北日本を襲う彼岸荒れと呼ばれる嵐。
北海道東部ではこの嵐が暴風と暴雪を伴う。湿った重い雪が大地を吹き荒れて、幹線道路の交通が完全に止まる。
三月末に襲ったその嵐により、除雪もできず交通が麻痺した日に、いくつもの事件が川久保の駐在所管内で起きる。
親分や幹部が留守の暴力団組長の屋敷に、二人組の強盗が入り、組長夫人を銃殺し、金庫の中身を奪い逃走。
同じ頃、川久保は住人の通報で、川べりで雪に埋まった白骨死体を確認する。
地元のある会社では、競馬好きな社長の指示で、会社内の金庫に二千万円がしまいこまれる。馬の買い付けに向かう社長が戻れなくなり、事務員の西田は札束が気になる。
遊びのつもりで不倫した主婦は、男の本性を見抜き、別れようとしたが、男が最後に一どけ会いたいと、やって来ることになる。町外れのペンションで待ち合わせた二人。男を殺すつもりだったが、果たせず、雪のため身動きとれず、二人でペンションで過ごすことに。
夫人が殺され、警察に通報した暴力団。しかし、雪のために警察の捜査もままならない。
白骨死体の所持していた財布から、死体は町の主婦だと判明。しかもサラ金の取り立てにより、札幌の風俗で働くために、サラ金会社の男たちに連れられていったらしい。しかもそれが盗難にあった暴力団の部下らしい。
思わぬ殺人事件になり、主犯の笹原は気が短い佐藤と別れ、別々に逃げるも、雪のために交通が麻痺し、二人とも川久保の管内に向かうことになる。
母親が病気のため入院し、義理の父親と暮らす、高校を卒業したばかりの女性は、性被害を受け家出したものの、バスが運行停止となり、たまたま通りかかった運転者に頼み、のせてもらうことに。
遅々として進まない捜査の陰で、主犯の笹原は女を殺し、車を奪ったものの、事故を起こし雪道で死亡。
一方佐藤はペンションにたどり着き、そこに次々と避難者が集まり、クローズドサークルとなる。おまけにペンションは、ボイラーの故障が直せず、薪ストーブのある食堂で一同が会することになる。
翌朝、ようやく雪もやんだ中を一人逃げ出した佐藤の前に立ちはだかったのは、拳銃を構えた川久保巡査だった。人質の中にいた町民の知らせで待ち構えていた。そして、銃撃で倒したところで終わる。
なかなか読みごたえがあった。