戦後、栃木県の田舎に暮らす民俗学者、中山太郎のもとを訪れて、彼が見聞きした同時代の偉人たちの逸話を聞くと言う体裁で語られる、少し怪奇めいた事件の話の数々。
最初は中山の師である民俗学者柳田国男。東北地方のおしらさまと呼ばれる神の人形にまつわる逸話。さらに、漂泊の俳人山頭火も関わる。
二番目は明治時代の移植の文化人宮武外骨にまつわる話で、人の頭骨を使う占いの話。
三番目は、森鴎外が少しだけみた百物語に関する話。
四番目は、首切り浅右衛門が遭遇した悪女高橋お伝の遺骸が盗まれた逸話から、江戸川乱歩が見事な推理を見せる。
五番目は、名人生人形師がつくった文部大臣森有礼暗殺者の人形にまつわる怪奇な話。
最後に登場するのは異色の学者、熊楠。彼の異常な記憶力にまつわる話。
なんとか最後まで読んだものの、今一の感じかな。この著者のデビュー作である「三人書房」も、最後まできちんと読めなかった。