一代の侠客、胡一刀の遺児の斐は、父が残した秘伝書で、技を磨くと共に、仇かもしれない侠客、苗人鳳と、紅花会の三番差配、趙半山と知り合い、技を伝授される。義によって、農民一家皆殺しをして逃げた広東の実力者鳳をつけ狙うも、何度もそれを阻止する謎の美少女、袁紫

衣を知り、引き付けられる。

仇が恩人かはわからぬままに親しくなった苗が、敵の奸計により、失明の危機になり、それを救うために伝説の毒使い、毒手薬王を探しに旅立つ。そして、亡き薬王の最後の優秀な弟子、程霊素と知り合い、行を共にすることになる。

乾隆帝の私生児で高官である福康安が、北京に天下の武術家を集める大会を催す。胡斐も敵も来るかもしれないと、程と二人で参加する。

そこで起きた騒動のために、敵の一人は死んだものの、追われて逃げ出した胡斐ら。紅花会の面々と出会うも、別れた後、更なる苦境に陥る。

結末はなんかはっきりしない。無事に仇が打てたのかどうかがあいまい。

彼を慕う二人の女性のうち、袁は実は尼になっていたことがわかり別れ、程は同門との争いで、毒を受けた胡斐を助けるべく、死んでしまう。

「雪山飛狐」の主人公、胡斐の若い頃を描いた外伝。十三才で登場した胡斐が、ひとかどの侠客として、成長するまでを描いた、全三巻のシリーズ。

明末の反乱指導者、李自成には四人の忠実な部下がいたが、李自成の死の真相をめぐって対立し、打開しようとしたものの、激闘し、胡一刀は苗人鳳に殺されてしまう。この作品の主人公は、一刀の遺児、胡斐。彼が武術を修練しながら、世間を渡り歩き、侠客として大成していく。

一方、敵の苗は、若い娘と一緒になり、娘まで生まれたものの、妻は若い男と駆け落ちし、そのあとを追う旅を続けていく。

「書剣恩仇録」に出ていた紅花会の面々のその後も出てきて、なかなか興味深い。


吉原裏同心シリーズ最新作の第39作。

吉原会所の裏同心だった神守幹次郎が、八代目頭取に就任し、裏同心との一人二役を勤め始めた。就任前、将来の吉原のためにと京都にいっていた頃に、長吏頭の浅草弾左衛門も代替わりして、九代目に就任したのは、いまだ十五才の若者。

就任早々忙しかった神守は、遅ればせながら挨拶に出向く。若いとはいえ、頼もしい存在に知り合えたことを喜ぶ。吉原の乗っ取りをたくらむ大奥の御台所付の西郷が、弾左衛門にも触手を伸ばしていたことを知り、秘密裏に協力することを取り決める。

一方、老中松平定信の失脚後、景気が悪く、客足も落ちた吉原。その外れの切り見世で、虚無僧が自害に見せかけて殺された。何ゆえに虚無僧が入り込めたのか?なぜ殺されたのか?密かに調べ始めた会所の面々。どうやら背後に糸を引く人物がいる。しかも、それがかつて吉原を支えてきた重要人物と知り、その処遇に迷う神守。

吉原新生のためにと、覚悟を決め、非情にも裁く。吉原の総名主であったが今は隠居した八代目三浦屋四郎左衛門、根郷。隠居したとはいいながら、影で人を雇い、彼らを無情にも殺そうとした。

殺しはしないものはの、老い先短い隠居を一人、遍路旅に追いやる。

吉原を狙う西郷は、奉行所同心の助けを得て、密かに葬り去る。