いつもハートウォーミングな作品で楽しませてくれる森沢さん。今回も間違いない。本文が487ページと、かなり長くて、読み終えるのに手間取ったが、後悔はないな。
倒産間近なバス会社、唯一人気なバスツアーが、失恋バスツアー。
失恋者を集めたツアーで、ひなびた旅館や寂しげな観光地を巡り、食事も質素なもので、落ち込んだ気持ちを底まで落ち込ませることで、最後には上がるだけの心境に至らせることを目指したツアーバス旅行。
企画の発案者である添乗員龍太郎も、今回はなんと失恋者。このツアーにフリーの心理学カウンセラーとして同行していた小雪と、恋人関係だったが、ささいな言葉のやり取りの行き違いから、失恋してしまう。この旅行の最終日が、小雪の誕生日とあって、指輪を用意し、最終日の夜にプロポーズする予定だった龍太郎にとっては、なんとも悩ましい。
しかも、意地悪な上司が選んだツアー客は、一見、一癖ありそうなおかしなものばかり。はたして、無事にツアーはできるのか?
いくつものハプニングにより、戸惑いながらも、進むツアー。龍太郎が気づかない小雪の秘密に気づいた客たちは、意外にも小雪を守るように行動し、最後には二人を結びつけてくれる。
なかなか読みごたえがある楽しい作品だった。