なかなかよかった。女ばかりの話で、多少気後れを感じたが。

父親が残した鎌倉にある洋館で一人暮らす尾内香良。コーヒー好きな父親が脱サラして、自宅の一角で開いた尾内カフェ。

母親は幼い頃に家を出て、父に育てられた香良はいつしか、父にならい、うまいコーヒーを入れられるようになっていた。

そんなある日、福井に嫁いでいた友人三樹子が転がり込んできた。モラハラの夫に愛想をつかし、離婚してきたという。最初は一時泊めてやるつもりでいた香良だったが。

三樹子の思い付きから、空いた部屋を貸して、シェアハウスを始めることに。お互い、貧しくはないが、家族もないアラフォー女子。

コーヒーだけではなく、料理もうまい香良。賄い食もばっちり。

そんな香良のシェアハウス、おうちカフェに集う女性たちの物語。

五十を契機に退職し、気ままに暮らす里子。一見美女なんだが、実は男性として生まれたために、人知れぬ苦渋を味わってきたあゆみ。息子が事業に失敗し、家を追い出された七十の千恵子。

一見気ままに生きているようでも、その背後には様々な事情、気持ちがある彼女たち。

最後には、香良の母親の事情も明らかになり、今は墓の下の母親を思う香良。

「ロンドン・アイの謎」続編とも言える長編ミステリー。

「ロンドン・アイの謎」の作者シヴォーンは、執筆後、数ヵ月で、第二作の執筆契約をしていたものの、急逝。出版社の代筆募集に応じたのが、ロビン・スティーヴンスという女性作家。

シヴォーンの登場人物をいかしたのがこれ。

前作でニューヨークに渡米したサリムと母親グロリア。グロリアは、グッゲンハイム美術館の学芸員に雇われた。主として現代美術を展示する美術館で、アメリカの高名な建築家ライトが設計した円形の美術館。内部には螺旋状のスロープがあり、その点でも異色。そこを舞台にした今回の事件。

改装のため休館していた美術館だが、特別にテッド、カットと母親を、入館させてくれて、なかを案内してくれた。突然、白い煙が現れ、火事かと、みんなが外に飛び出した。消防隊員が来て調べると、ただのいたずらだとわかるが、カンディンスキーの名画が盗まれていた。同じ頃に、搬出口から木箱が送られていて、トラックを手配して、クレジットで支払いをしたのが、グロリアとわかり、叔母グロリアは警察に逮捕されてしまう。もちろん叔母には覚えがないことで否認するも、警察は信じない。

逮捕された叔母に母親が付き添い、子供だけになったテッドら三人は、また謎解きに挑むことになる。

かなり大きな絵画をいかにして、どんなルートで運び出したのか?犯人は、その機会があったもの、しかもグロリアのクレジット情報が盗めるもの。テッドらはそう考えて、最初に選び出した、当時美術館にいた容疑者たちに面会に行き、リストからはずしていった。慣れない街をあちこちと出掛けた三人だが、犯人は見つからない。なにか見落としている?違った角度から見直したら?

特別な能力を持つテッドは、今回も見事な閃きをヒントに、事件を解明し、いまだ美術館内にあった絵画を取り戻し、犯人を警察に引き渡す。

別の作家が書いたものとは思えない見事なミステリーだった。


イギリスの少年が探偵役を勤める長編ミステリー。

12才のデッドは、母親と共に渡米する前に、彼の家を訪ねてきたいとこサリムの希望で、ロンドンにある巨大な観覧車ロンドン・アイに出掛けた。姉のカットと三人で、チケット売り場に並んでいると、見知らぬ男が話しかけてきた。チケットを一枚譲るという。長時間待つのも大変だし、デッドとカットは乗ったことがあるため、サリムをのせて、下で待つことにした。

しかし、一周して戻ってきたカプセルに、なぜか?サリムが乗っていない。

どうして?どうやって?サリムは消えたのか?

警察も乗り出したものの、いっこうに捜査は進まない。やきもきする母親をはじめとして、テッドの家族や離婚したサリムの父親。

身近な人の気持ちを理解したり、単純な行動が苦手なデッドだが、事実や物事の仕組みを考えるのが得意で、特に気象学の知識に強いテッド。

姉を相談役に、いとこサリムの失踪の謎解きを始める。大人は話を聞いてくれないと、二人で出掛け、捜査を始めた。

テッドにより、サリムが企てた狂言失踪の謎が解け、共犯者は見つかったものの、肝心なサリムが行方知れず。

テッドはさらに考察を進め、ついにサリムの行方を突き止め、無事に救出される。

ヤングアダルト向けだが、ちゃんとミステリーしている上に、人物造形がしっかりしていて、とてもよかった。

著者は発表の2年後なくなったが、これの続編の原案はできていて、他の作家により完成されている。

それも借りているので、次に読んでみよう。やはり最後がハッピーでないのは、あまり読みたくないな。


実は市立で借りたはじめての作家さん、新堂冬樹さんの「#刑事の娘は何してる?」を読み始めたものの、あまりの悲惨さに読むのを中断した。ラストまで拾い読みしてみたが、救いがない話で、読むのが嫌になった。

さらに、美輪和音さんの「私たちはどこで間違えてしまったんだろう」も、悲惨な話らしいから、これら二冊は読まずに返すことにした。

図書館の書棚にかなりの数が並んでいると未読作家、読んでみようかと思ったが、迷うな。手にした本がたまたまわるかったのか、そういうものを書く作家さんなのか?

現実逃避とまではいかなくても、どうせ読むなら楽しいもの、感動するもの、読後感がいいものがいいな。