久しぶりの辻堂作品。

読みかけて、読むのが嫌になってきた。中断しようとしたものの、最後には明るいエンディングでよかった。

東大出身で商社勤務の父親から、何がなんでも東大に入れと言われ続けていた高校三年の高志。遊ぶ時間もなく、時間一杯勉強を強いられた高志。短大での母親は父に従い、監視している。そんな虐待に近い境遇を、親心だと我慢していた。

そんな彼の認識を変えたのは、クラスメイトの星さん。美少女ながら、ほとんど授業にも出ず、保健室登校か、一人文庫を読んでいる彼女は、クラスから浮いた存在だった。

そんな彼女がある日、高志に声をかけてきた。パニック障害ではないのかと。さらに、自分と同じ匂いがすると。彼女は母子家庭で、母親は家事もまともにせず、男を取り替えてくらし、パートも変わってばかり。小学生の頃から、彼女が家事をして居た。母が連れ込んだ男に殴られたりしながらも、これが私の人生だと諦めていた。それでも読書などから、これがネグレットという虐待の一種だと気づいていた。

はじめは虐待じゃないと言っていた高志も、彼女と話したりするようになって、親の態度が愛情ではないことに気づいていく。

そんな二人は将来に向けてある計画をたてる。私は、てっきり親殺しではないかと心配になったが。彼らは、親殺しは空想だけにとどめ、真面目な人生設計をしていた。

東大受験の途中でドロップアウトした高志、妊娠してトラックドライバーと再婚した母親を見捨てて、家を出た星。

十八才になるのを期に、二人は親から独立して、我が道に歩み出す。バイトでためた金を資金に奨学金で大学生になった星。父親の弟で一族の鼻つまみものながら、しあわせな家族を持つおじさんの助けで、父親に授業料を出させて、一年後に大学生となった高志。

二人の解放された魂に乾杯。

日中は、十度くらいで日差しもあり、暖かだったが、朝晩は冷える。朝、出勤しようとしたら、車の窓に霜がつき、うすく凍っていた。


仕事帰り、市立図書館分館へ。

五冊返却。四冊は読了したが、一冊は春頃に読了していたことがわかり、読まずに返す。

新たに、また五冊借りた。

今日借りた本


谷瑞恵

「小公女たちのしあわせレシピ」

新潮社、202310


原宏一

「たわごとレジデンス」

祥伝社、202308


長沢樹

「St.ルーピーズ」

祥伝社、2016


長沢樹

「イン・ザ・ダスト」

ハヤカワ文庫JA


麻見和史

「影の斜塔  警視庁文書捜査官」

角川文庫、2019


有名な水滸伝の後日譚。

水滸伝は最後、梁山泊の頭、宗江らが宋に帰順し、方臘征伐にいかされて、百八星の頭領のうち、生き残ったのは三分の一足らず。さらに、宗江らは毒殺されて、仲間はそれぞれ故国などに帰って散り散りになった。

しかし、かつての北の脅威だった遼国が、さらに北の金国に追われ滅び、新たな脅威として宋国を襲う。

宋国の乱暴な官吏や軍人により、平和な暮らしを追われ、再び立ち上がった梁山泊の生き残りたち。

北方の飲馬川と登雲山に結集し、新たな砦を築くものの、金軍に追われ、彼らは南海上の島国に集まる。周辺の海賊や金軍を打ち負かし、島に新たな国を打ち立てる。

宋国も長江に新たな国、南宋を打ち立て、しばらくは金国と対峙することになる。

なかなか面白かった。清時代に作られた水滸伝の続編となる水滸後伝をもとに、田中氏が書き下ろした。