セレブ子女たちの探偵ごっこかと、はじめはあまりいいとは思わなかったが、読み終えてみると、それほど悪くはないか、と思えてきた。

父親の倒産で仕送りを期待できなくなった二神雫。私大の理系女子の彼女は寮暮しだが、もっと切り詰めたいと思っていた。そんな彼女の目に留まったのが、アシスタント兼ラボスタッフ募集のサークルのメンバー募集。食事、住居補助の言葉につられて応募した雫。

部室は学外にある洋館。三年生の会長の叔父さんの屋敷だった。世界的なジャズピアニスト。しかも父親は国内有数の企業の社長で、部員のすべてが関連会社の縁戚で、いわばセレブ子女。

雫は彼らの家政婦兼仲間として受けいられる。

彼らの部はスピリチュアル研究会。会長の綾﨑航太は幼い頃に母が出ていき、その後なくなったことで、今も母親と交信したいという思いから、スピリチュアルの研究に熱心。会長自身は学内でバカにされているものの、部員には優秀な人材があり、親の意向で専門家を雇い、綿密な調査ができる。

入部できるかどうかのお試しとして、雫が最初に直面した事案は、山村の温泉に現れた幽霊の調査だった。

ついで、別の大学で起きた飛び降り刺殺した幽霊の事案。

最後は、航太の母親が、その死後に現れて、何かささやいて姿を消した怪奇現象の解明。死んだはずの母親が屋敷の一階でピアノを弾き、その後彼女もピアノも消失した。部員の親たちが過去に体験したそれの解明を、航太たち子供世代が立ち向かうことになる。

シニア世代のための高級マンション。そこで起きる悲喜こもごもを描いた短編集。

スポーツは悪だと言い張る、もと高校教師の老人に振り回されるスボーツジムの若い女性トレーナー。

居住者の寄贈本で成り立つ図書室でバイトする若者は、脚本家を目指していた。そんな彼に映画脚本を書くように迫る居住者のもと女流監督。

居住者の広告代理店の社長は、奇病のために、見かけは植物状態。それをいいことに、後妻の若い嫁が会社乗っ取りを企てる。

悪辣なマルチ商法をする女性に騙されて、高額商品の買い物依存症になった老女に誘われ、同じように騙されかけたマンションのコンシェルジュの女性。

管理組合の役員になった女性が、新しい理事長に振り回されて、あたふたする。結局は、居住者の無関心が生んだ弊害。


いまいち楽しめなかった。ブラックユーモアなのか、原さんらしい作品なんだろうが、私はこういうのは好きじゃないな。ただ、原作品には、結構好きなものもあり、作品次第だな。

イギリスの児童文学と、そこに登場したお菓子のレシピ。それらが、必ずしも今の自分に満足していなかった人々を結びつけて、しあわせな未来を切り開く。

契約社員として働く三十路独身のつぐみは、自宅を兄夫婦がすめるように改造するため、部屋を片付けるように言われて実家に帰ってきた。本棚に見慣れない児童書「小公女」があり、作品中のお菓子のレシピが挟まれていたことに気づく。

誰がここに置いたのか?

その謎を調べ始めたつむぎ。彼女が発見したのはメアリーと呼ばれた老女だった。つぐみの実家の前には、ブリンのようなビジネスホテルがあり、彼女の家族が経営していた。祖父なきあと、祖母はメアリーと知り合ったことでホテルを続ける気持ちがわき、今は両親と兄夫婦の四人が後を継いだ。

お菓子作りが好きな祖母は、その素性がわからないメアリーさんと知り合い、仲良くなり、一緒に作ったり食べたりしていた。メアリーさんは近くの海岸で発見され、命は取り止めたが、一切の記憶をなくしていた。ピンクのワンピース、麦わら帽子と革製のキャリーバッグしかなかった。バッグの中には児童書が入っていた。ここ十年ほどはつぐみの両親のホテルに滞在していたらしい。なくなったときには、バッグの中にはいくらかの金しか残っていなかった。

児童書はどこへいったのか?

さらに、メアリーさんは海岸で拾ったミニ豚をつれて町を散歩してる姿を人々に目撃されていた。

どこまでいっていたのか?目的地はあったのか?

気になったつぐみはそれらを探してみることにした。さらに、見つけたレシピから、その持ち主と実際につくってみて、食べてみたりするようになる。


「小公女」には、奇跡のぶどうパン

「トムは真夜中の庭で」には、トライフル、最高のつまらないもの

「不思議の国のアリス」では、トリークルタルト

「ドリトル先生のアフリカゆき」には、スエット・プディング

「風にのってきたメアリー・ポピンズ」には、ジンジャー・パン

「秘密の花園」には、オーツケーキ


それらを経めぐって、つぐみが最後にたどり着いたのは、メアリーさんが作ろうとしていた秘密の花園だった。彼女を縁にして知り合った人々を招待し、レシピの菓子を各自がつくって、持ちより、ティーパーティを開く。これこそがメアリーさんが望んでいたものなのでは。