名探偵、浅見光彦と、天才、天地龍之介が出会い、協力して難事件に立ち向かう。

骨髄移植を待つ少女と知り合い、彼女を応援していた浅見は、移植当日、山梨にある病院に見舞いに来ていた。そこで起こったのが、ドナーの女性が知り合いらしき男にさらわれるという事件。誘拐事件として警察に知らせれば、移植が困難になると思い、犯人の要求を飲んで、女性をいち早く取り戻そうとする浅見。

犯人の要求は、女性の実父は山梨の実業家で、戦国時代から続く名家。親子の認知をさせて、莫大な金を得ようとしている。

一方、天地らは観光で、山梨のとある河で、砂金採りをしていた。その近くの崖道にいた車から人が滑り落ち、さらに運転席辺りで火が出て、消火活動をする天地ら。滑り落ちた男は死んでいた。砂金採りを主催していたのが、あの実業家で、死んだ男が従業員だとわかり、近くにある実業家の本宅で天地らはもてなされる。さらに警察が来て、事件捜査が始まり、天地らは足止めされ、調べられる。

実業家の一族は戦国時代、武田家の重臣で金山奉行をしていた。武田家の滅亡後も生き延び、続いてきた。誘拐犯は、一族には何かの秘密があり、埋蔵金のようなお宝をもっているらしいから、その秘密も探るように浅見に命じてくる。

こうして、浅見は天地らのところに至り、出会うことになる。誘拐事件と殺人事件、さらに一族の秘密を巡り、二人の名探偵が協力して、ことに当たることになる。

果たして、無事に解決できるのか?

なかなか面白かった。

内田康彦が生んだ名探偵、浅見光彦と、柄刀が生んだ天才の探偵、天地龍之介が共演するミステリー第二作。

明治時代に幕臣から転身して、明治政府の高官として活躍した榎本武揚。その業績のわりに、現代ではあまり評価されない。それはなぜか?

明治時代に発見された隕石を手に入れた榎本は、そこに含まれる鉄を使って刀を作らせた。含有成分のゆえか、なかなか難航した刀作り。でもついに長短二つづつの四振りの刀が完成。うち一振りは皇室に献上された。また、短刀一振りは縁あって、北海道小樽にある龍宮神社に納められていて、その公開から話は始まる。

小樽の取材を頼まれた浅見と、観光に来ていた天地一行が、奇しくもこの神社で、公開日に出会う。

そして、ここで第一の殺人事件に遭遇する。中年女性が、毒殺される。万引きしたと思われる記念の流星刀を持っていた。のちに、ネット上で誹謗中傷することが好きな女だった。

ついで、海岸に放置された船の中に、頭を強打され死んだ男が発見される。そばに傘とか窓枠という不審物がある。

浅見と天地は別行動をとりながらも、携帯を介して連絡を取り、互いの推理を確かめあい、事件に挑む。

海岸で死んでいた男は探偵で、普段は怪しげな仕事をしていたらしいが、今回は流星刀の謎を求めて、北海道に来ていたらしい。

流星刀の刀鍛冶の岡吉国宗は、武蔵の刻国の助けを得て、無事に四振りの刀をこしらえたとある。しかし、なぜか、その協力者、刻国の事跡があまり残されていない。その一族は後に函館に移住して、刀鍛冶四条流を今に伝えているが、刻国のことは半ば秘密扱いされている。それは、なぜか?

犯人の小細工などで、石川啄木の詩の見立て殺人に見えたこともあったが、真の狙いは刻国の謎、秘密を公にしないことが目的だった。

二人の名探偵がいかにして、謎を解き明かすか?

正直言えば、事件も名探偵の推理もいまいちな気もするが、もはや続編が期待できない浅見探偵に会えるのはうれしいかな。

晴れて、暖かい。

市立図書館分館の本を返しにいく。

新たに借りるつもりだったが、これと言うものが一冊しかなく、前に読んだものを三冊借りた。

今日借りた本


折原一

「ポストカプセル」

光文社、2018


辻真先

「馬鹿みたいな話!

昭和36年のミステリー」

東京創元社、2022


柄刀一

「ミダスの河

名探偵・浅見光彦vs.天才・天地龍之介」

祥伝社、2018


「流星のソード

名探偵・浅見光彦vs.天才・天地龍之介」

祥伝社、2019