昨日借りたものの、昨年の秋に既読だと知った作品。再読してみたら、やはりいい本は何度読んでもいいものだな。

三十代後半で独り者の香良は、父が残した大正時代の洋館で、父に教えられた焙煎で作ったコーヒーをのみ、手作りの食事で一人優雅に暮らしていた。

そんなところに飛び込んできた大学時代の友人三樹子。埼玉出身だが、結婚して福井へ。一人息子もいながら、夫のパワハラ、モラハラに愛想がつきて、離婚しやってきた。実は生前の香良の父親から、ひとりぼっちになったら、娘を頼むと頼まれていた。

彼女の母親は、五歳の時に父親の弟と駆け落ちしたと聞かされていた。

しゃれた洋館に、花や木がある庭。香良は、父が始めたおうちカフェを引き継いではいたものの、客はわずか。

そんな彼女に三樹子は、部屋数もあるし、シェアハウスにしたら、家賃も入るし、賄いをすればいいと提案する。

そうして、広告や知人の紹介で、同居人が集まってくる。五十代で早期退職して暮らす里子。

とびきりスタイルも見映えもよいあゆみは、実は男性として生まれたものの、、意識は女性だった。

息子が脱サラして始めた店がつぶれ、屋敷まで手放すことになり、引っ越し前に息子夫婦から追い出された七十台の千恵子。

それぞれには秘めた過去があり、悩みもありながらも、同居することで、独り暮らしに意義と楽しみを見いだすようになる。

ラストには、父の弟から、すでに死んでしまった母親の秘密が明かされ、母親を取り戻すことができた香良。

心暖たまる、なかなかいい作品だった。

再読だが、一気読み。


警視庁刑事部第三課は、窃盗事件を専門とする部署。玄人の盗人を相手にすることが多いため、刑事も職人気質のものが多い。

第五係のベテラン刑事、萩尾が相棒の女性刑事、秋穂と呼び出された事件は渋谷署。高級住宅街の松涛で窃盗事件が起きた。資産家の屋敷で、趣味の骨董の指輪が盗まれたと言う。

屋敷の主の館脇は、はじめは何を盗まれたかを言わないために、所轄も困り、萩尾が乗り出すことになったが、さすがの彼にも主は盗まれたものが何か明かさない。

ようやく、聞き出したのはソロモン王の指輪で、見かけは価値もない指輪だが、骨董的には貴重な伝説の指輪で、四億もの金を使って手に入れたと言う。

屋敷の鍵や骨董品が納められた棚の鍵を持っているのは、主の他、会社の秘書と自宅の家政婦だけ。長年勤めていて、怪しいそぶりもない。

また、屋敷には不審な人物が侵入した痕跡がまるでないことから、捜査は難航する。

指輪を持っていたことが世間に知れると命を狙われるかもしれないと主は言う。だから最初は指輪だ明かさなかったのだと。

主が雇った私立探偵や知り合いのキュレーター。関係者は少ないが、ソロモン伝説とか、まゆつばの話を聞かされたりして、困惑する萩尾たち。

関係者に話を繰り返し聞いていくうちに、ようやく、事件の全貌が明かになり、結局、指輪は屋敷から出ていないことがわかり、事件ではなかったことになる。

何かいまいち、事件らしい展開かなく、あまり面白くはなかったかな。

大学の院生三人が連続して誘拐される奇妙な事件が起こる。三人とも翌日には解放される。しかし、やがて三人とも激しい頭痛が起こり、入院し、一人が死に至る。

三人とも誘拐されて、手足を縛られて、目隠しをされた状態では、生臭い奇妙なものを飲まされ、その際に、呪いをかけたと言われたと言う。

この事件の捜査に駆り出されたのは、STと呼ばれる科学特捜班。警察官ではない専門人の集団で、キャリア警部百合根が率いる。

第一化学担当の黒崎は化学事故の鑑定が専門で、嗅覚が発達していて、人間ガスクロと呼ばれる。古武術の免許皆伝で武道の達人でもある。

物理担当の結城は露出過多な服装の女子で、聴覚が優れている。

黒崎と結城が一緒にいれば、人間嘘発見器にもなる。

第二化学の担当の山吹は医薬、毒物の専門家。実家が寺で僧籍ももつ。誰もな孤独に研究する仲間のうちで、百合根と世間話をしてくれるのは彼だけ。

文書鑑定担当の青山は、美青年。心理学専門の彼はプロファイリングもする。

STのリーダー赤城は医師免許をもつ法医学専門。

彼らと捜査一課の連絡役を勤めるのだが、筋金入りの刑事、警部補の菊川。


やがて、赤城により誘拐時に、被害者などが何を飲まされ、どうなったかが明らかになる。寄生虫に感染させられ、髄膜脳炎を引きおかされたことがわかる。一人は処置が遅れ死んだものの、二人は生き延びた。

誘拐の状況や犯行の手段、犯行目的などから、身近に犯人がいると判断したSTは、研究室にいるものたちの話を聞くことにより、青山のファイリングにより、犯人を特定し、罠を仕掛けることで、ついに逮捕にこぎ着ける。


なかなか面白かったが、大学の研究室内の人間関係というのも厄介なものだなあ。