日中は少し暑いくらいの陽気だった。夕方には強風が吹き荒れ、車が流されそうになる。岐阜でもサクラの開花宣言が出ていて、全国的に花見日和たが、水曜日には雨になるとか。


仕事帰り、市立図書館分館に。

五冊返却し、新たにまた五冊借りる。

今日借りた本


小路幸也

「マンションフォンティーヌ」

祥伝社、202310


瀧羽麻子

「女神のサラダ」

光文社、2020


畑野智美

「ヨルノヒカリ」

中央公論新社、202309


吉永南央

「雨だれの標本

紅雲町珈琲屋こよみ」

文藝春秋、202310


今野敏

「脈動」

KADOKAWA、202306


ほとんどが昨年でた新刊で、ようやく本棚に戻ってきたもののようだ。

久しぶりに読んだ時代小説だが、なかなか良かった。

天明四年の十三夜に、先手弓組の番方の旗本幣原喬十郎は、道端に男女二人の遺体を見つける。傍らにたつ男は、血がついたあいくちをもち、両目から涙を流して泣いていた。それが二人の出会いだった。

名乗って捕まえようとした喬十郎だが、放心から覚めた男はあいくちを捨て、俺じゃねえよ、と言いながら、身軽に町家の軒に飛び移り、逃げた。

番方として恥をかいた喬十郎は以降、その男を捕まえようと躍起になるが果たせない。その男が盗人千吉だとわかっただけ。

十年後、再会したとき、千吉は、銀字屋利兵衛と名乗る両替商となっていた。盗人として捕まえようとした喬十郎だが、利兵衛の背後にいる幕府勘定方の策略により、逆に喬十郎は頼りにしていた長谷川平蔵にも裏切られ、佐渡へ左遷させられてしまう。

こうして数十年を経て、二人が和解し、仲がよい老人となり、喬十郎が死ぬまでを描いた話。

東京新宿にある都立高校の夜間定時制。年代も境遇も様々な生徒が集う。

そんな学校の理科の教師として赴任した藤竹。大学の研究員でもある彼は、ここである実験をしようとした。

普段科学には無縁な生徒を集めて、何かの研究をする科学部という部活動をしようと。

そうして集められた部員たち。

ディスレクシア、読み書きに困難がある学習障害をもつ柳田。両親にも回りのものにも理解されず、落ち込み不良化した彼の能力に気づいた藤竹は、彼を部長にしようとスカウトする。

フィリピン人とのハーフで、若い頃は学校にも通えなかったアンジェらは、主人との店も成功し、再び勉学したいと定時制へ。

起立性調節障害で、過呼吸で保健室登校をしていた佳純。

子供の成長を見届けて、町工場を廃業した七十台の長嶺。若い頃にかかった肺病で入院する妻をもつ彼は、妻の薦めで定時制に。二人とも田舎から中卒で集団就職した世代だった。

昼間部に柳田と同じ席に座る丹羽は、机に残されたごみらしきものについて、柳田と連絡を取ったことが縁で知り合う。彼が使うコンピュータ室を実験のために使いたいという柳田にはじめは反発していたが、やがて互いに理解し合うようになる。

柳田ら部員が研究していたのは、火星を再現するというもの。火星と同じ重力を作るために、有り合わせのものを利用して、重力可変装置を作り、そのなかで、火星と同じようなクレーターがいかにしてできるかを研究した。

学会で発表されて、優秀賞を受けた上に、装置がJAXAの実験にも採用されることになる。

あとがきによれば、実話をもとにした話らしい。

最初は柳田の不良ぶりに、最後まで読めるかと危ぶんだが、彼の実験へののめり込みやたの部員たちの境遇に、ひかれて、一気に最後まで。

なかなか良かった。そんなに簡単に結果を出せるのか?成功できるのか?と、甘すぎる気もするが、また実話をもとにしたものだから、いいかな。