隠蔽捜査シリーズ第九作。

タイトルの探花とは、中国の科挙試験で、第三位の成績を納めたものをさす。警察庁の入庁試験の成績で、竜崎は第三位だった。ちなみに、竜崎の親友?警視庁の刑事部長、伊丹は第二位だった。

竜崎が刑事部長を勤める神奈川県警に、新たに警務部長として赴任してきたのが、第一位の成績だった八島。福岡県警からの異動だったが、今回の事件には、その福岡がもとの事件だった。

横須賀港近くの公園で、刺殺体が見つかるが、はじめは身元不明だった。目撃者が現れ、証言によると、犯人が近くの米軍基地の軍人かも知れない恐れが出てきて、竜崎が話し合いのために基地に赴く。結果、日系の特別捜査官キジマが、捜査本部に参加することに。

新たに就航が決まった福岡と横須賀を結ぶ船便を利用して、北九州のヤクザが麻薬を送ろうとしたことが原因で、輸送会社の社員とヤクザの間にトラブルが起きたらしい。

目撃者が逃げ出して、、犯人の一味とわかり、手配して捜索。千葉県警、警視庁の協力を得て、確保、逮捕に至る。

今回も本部に詰めて、捜査に活躍する竜崎が描かれる。

それとは別に、竜崎の息子がポーランドで行方不明になるエピソードが描かれる。東大を出て、ポーランドへ、映画の勉強に留学した邦彦。娘の美紀の友人が、ネットで、邦彦が逮捕されたような映像を見つけた。記事はポーランド語で読めず、連絡しても邦彦とは通じなくて、やきもきする竜崎一家。竜崎は知り合いの外務省の官僚に連絡して、調べてもらう。なんの知らせもないまま、ラストになり、邦彦から連絡が。

自分を利用して金儲けをする母親から逃げ出して、広島から東京に家出をした17才の桧山光希。安い漫画喫茶に泊まり込み、18才の誕生日には、母親の戸籍から離籍して独立しようと決めていた。

そんな光希をコンビニ前で見かけた作業着姿のヤンキーぽい男に声をかけられた。それが縁で、その男、ヨーヘイさんが営む足場工事の会社でバイトすることになる。一緒にいた先輩社員、奥さんが遺産相続したアパートの一室に住むことになる。

ただ、その部屋にはひとつ問題があった。心霊現象か?時々電灯が消えるのだと言う。先輩の頭島さんと共に、奥さんの説明を聞いていた光希は、久しぶりに幽霊を見た。と、いきなり、頭島さんがその幽霊を捕まえて、殴り付けた。なんと、頭島さんは幽霊は見えないが、手でさわることができるらしい。

問題の幽霊は逃げ出して、以後心霊現象は起きなくなった。公にはしなかったが、それを知った知人から彼らは、幽霊退治の依頼を受けることになり、三人がコンビをくみ、活躍することになる。

光希は幼い頃から見える子で、両親にしかられたり粗末にされたが、その能力になれ、自由にコントロールできるようになると、母親は幽霊退治を商売するようになり、愛想をつかした父親は離婚して家を出た。

母親の商売と光希の能力が噂になり、孤立化した光希だが、中学時代に親友ができたものの、事故死してしまう。以来幽霊が見えなくなった光希。それを知りながらいかさま商売を続ける母親に愛想をつけて、家出した光希。

親友が死んだのは自分のせいだと悩んできた光希の前に、ラストには親友が姿を見せる。実はずっと光希のそばにいて、見守っていたのだと。

光希に、彼を守ってくれる先輩の奥さんと頭島さんがいることを確認して、彼は姿を消す。

なかなか面白かったし、よかった。

「隠蔽捜査」シリーズの竜崎が大森署を去ったあとに、署長に就任したのは女性キャリアの藍本小百合。竜崎署長に続くキャリア署長だが、前に劣らずユニークな署長だった。まず第一に美貌。男女を問わず、立場を問わず、誰をも一目で黙らせてしまう、反抗や苦情を消してしまうほどの美貌だった。そのため、着任以来、警察の高官たちがひっきりなしに訪れてくる。その美貌を見るためだけに。

そんな大森署に捜査本部ならぬ前線本部がおかれることになる。本部の組織犯罪対策本部の部長が言い出しっぺ。

海外からの情報で、羽田沖の海上で、外国人同士による銃器と麻薬の密輸取引が行われると言う。その捜査の本部を大森署に置くという。売り手は中国人で、買い手は南米人。本部には組織犯罪対策部のほか、外事二課、警備部の特殊部隊や船を持つ東京湾臨海署が協力することになる。

誰もがパニック状態になるなかで、藍本署長はその美貌で、あたふたするものを落ち着かせ、竜崎並みの合理性か、あるいは単純化により、捜査をスムーズにさせていく。

取引日時を調べ、待ち伏せて、犯罪者どもを一網打尽。一人逃げ出した外国人が、小型の核爆弾を持っているとわかり、ラストでパニックになる本部だが、もしもの時は何をしても間に合わないから、単純に逃げた犯人を捕まえることに専念すればいいと、署長が指示して、無事に確保。

小百合署長は肝が据わっているのか、なにも考えてないのか、よくはわからないが、まあともかく事件は解決する。

少し漫画ちっくではあるが、なかなか面白かった。