父親の病院で内科医をしていた家入陽太郎は、高齢者の患者を見たて違いで、死なせそうになったことから、自信を失い患者を診られなくなった。そんな彼を父親は親友である名医三品に頼み、リハビリとして、働かせることに。

内科総合を担当させられ、研修医の束ねまで命じて、過酷な苦行をさせられていた。

そんなある日、腹部を刺された女性が救急に運び込まれた。脾臓まで達する傷だったが、名外科医のお陰で出血は止められたものの、その後急に容態が変わり死亡した。感染症による髄膜炎のようだが、原因となる細菌が特定できず、有効な治療ができなかった。

救急車とともに病院に来ていた女刑事成山有佳子は、手術後に一時的に安定した際に、容疑者の写真を被害者に確認した。被害者は美容研究家で、離婚した夫にストーカーされていて、第一容疑者だった。しかし、被害者は彼を否定した。では誰が刺したのか?

一方陽太郎は院長から、患者の急死の原因追究を命じられる。外科医の処置に過誤はなかったか?謎の原因菌は何か?

陽太郎と有佳子、医者と刑事の互いの捜査の結果に現れたのは誰だったか?


医療ミステリーは専門語や状況がわかりづらく、苦手であまり読まないのだが、これは読みやすくわかりやすいうえに、なかなか面白かった。

でも結局謎を解いたのは、名医三品院長かな。陽太郎たちは彼の手のひらで踊らされただけの印象だな。

交番勤務から川崎中央署の刑事になったばかりの新人村上翼。

公園で薬物症状の男が少女を人質に取った騒ぎに駆けつけたものの、迂闊に手が出せず遠巻きに見守る警官たち。いきなりすぐそばのトイレの屋根に現れた男。見かけない顔だが刑事らしい。犯人に飛び降りて確保。

どんな刑事かと、聞いて回るが、先輩や上司からは関わるなと言われるばかり。事情もわからず、逆に、その刑事影山に引かれていく。

もとは県警本部の刑事だったが、十年前におき、いまだに未解決な事件捜査をしたくて、所轄に異動して、単独で捜査しているらしい。上司も見て見ぬふりをしている。

そんな影山に呼ばれて、勤務外に手伝うはめになるも、嫌々ながら付き合う翼。調べてみると、以前仲間の刑事を監察官にちくって、退職に追い込んだことがあり、そのために嫌われている様子。

十年前に深夜帰宅途中の女性が襲われて殺された。ストーカーがいたと言う情報から捜査されたものの、結局アリバイがあり、その後、これといった情報もなく未解決のまま。

影山をそこまで追い込んだのはなぜか?

個人的な事情らしいとはわかるが、詳しいことは誰も知らない。

そんなときに身元不明の男の死体が見つかり、翼もその捜査にかかりきりになる。

やがて、影山を通して知り合った者からの情報で、死体の身元がわかる。なんと影山と因縁のある男だった。暴対課の刑事、中内が暴力団と繋がっていたのを告発した影山。死体は、その暴力団側のチンピラだった。

刑事をやめさせられた中内は今はどこで?何をしているのか?

さらに、中内は十年前の事件にも関わっていたとの情報を得た翼は、うかつにも影山に知られてしまう。

勝手に影山が何かしないか心配な翼は、すべてを報告し、中内と影山の行方を追う。

はたして結末はいかに?



隠蔽捜査シリーズ第八作。

警視庁の所轄、大森署の署長から、神奈川県警の刑事部長に異動した竜崎。不正事件で信用が落ちている神奈川県のてこ入れのための異動らしい。

着任早々の竜崎は、東京の町田市に隣接する神奈川県の公園で見つかった身元不明の死体の捜査本部を引き継ぐ。

その際中に、彼の妻が自動車事故を起こし、警察につれていかれたとの知らせが入る。新しい官舎が山の中にあり、ペーパードライバーだった妻が、教習を受けに行った際の事故。普通なら責任は教習所にあるはずが、所長は弁償しろと強硬。新任の刑事部長と知りながら、竜崎にたてつく所長は、元警察官。腰掛けの幹部より、OB警官の方がえらいんだと鼻息が荒い。

事件は警視庁、神奈川県警合同で、馴染みの警視庁刑事部長、伊丹とならぶ竜崎。神奈川県の刑事から、神奈川は中華街もあり、中国人も多い。被害者は中国人かもしれないと。

妻の事故に強硬だった教習所の所長だが、神奈川県警では優秀で、広いこねもあると聞いた竜崎は、中国人に関して仲介を頼むことで、彼の警官魂を思い出させて、協力者にすることに成功し、妻の事故も解決する。

そして、事実、被害者は中国人とわかる。中華街で受け入れを拒否されたことがあるとわかり、犯罪者か中国を脱出した思想犯の恐れも出てきた。

公安部が張り込んでいたこともわかり、対処に苦慮する伊丹に対して、何事も率直に、捜査する竜崎は、中華街のボスや公安部の刑事の心まで動かし、第三の中国人の話を聞き出して、ついに犯人にたどり着く。

中国の情報部の男による抹殺だとわかる。事件は解決したが、マスコミへの発表はどうするか?外務省への遠慮から、話を作ろうとする公安部長に対して、竜崎はありのままに発表。結果的には、警視総監にもほめられた処置だった。