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睡眠の量だけでなく、質も低下しやすく、不眠に悩む人が多くいます。どうして眠りの悩みは、女性に多いのでしょうか?
「不眠の悩みにもいろいろあります。不眠にはおもに、寝つきが悪い(入眠困難)、中途覚醒がある、早朝覚醒(朝早く目覚めてしまう)がある、という3種類があるのですが、特に更年期世代の女性に多いのは、入眠困難。寝つくのに時間がかかるという人です。
女性の睡眠が変化しやすい理由
更年期には、交感神経と副交感神経のバランスが崩れます。
更年期世代は夜、副交感神経が優位になりにくい状態に見舞われます。また、自律神経が乱れることで、深部体温が上がらないことも不眠の原因になります。
上がっている深部体温が睡眠時に下がることで入眠しやすくなるのですが、元の深部体温が低いと、体温がうまく下がらず、眠りづらくなります。
不眠は、“日常生活に影響して困る”が週3日以上あるかどうか
不眠とは、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒のいずれかによって、“日中の日常生活に影響ある”と感じる状態が、週3回以上ある場合を言います。
「大事なことは、生活に支障があるかどうかです。なかなか眠れないと感じたり、朝早く目覚めてしまったとしても、起きたあとの日常生活に影響なければ、病気ではありません。必死に不眠をなんとか改善しようとしなくても大丈夫です。不眠かどうかの判断には、本人が“困っているかどうか”がいちばん大切なのです」(井坂先生)
睡眠誤認
女性に不眠が多い理由には、“睡眠誤認”というものがあります。これは、意外と寝ているのに、寝ていないと誤認してしまうことです。
睡眠日記
ベッドにいた時間と実際に寝た時間を自分で書く睡眠日記をつけましょう。想定以上に寝ていて、不眠でないことがわかると、それだけで悩みがなくなる人も少なくありません」(井坂先生)
良質な睡眠には睡眠直後の90分が大事
睡眠の役割
睡眠の役割は、まず休息です。ほかには、記憶の整理、気分の調節、免疫力の増強、日中のパフォーマンスをあげることにも関連します。
「入眠時の90分間に深い睡眠が出現すると、それに続く睡眠の質が良くなり、明け方に睡眠が深くならず、目覚めがよくなります。
まさに入眠直後のノンレム睡眠は、“黄金の90分”。この90分で自律神経が整い、成長ホルモンが分泌し、細胞増殖や代謝促進、美容、アンチエイジングにも関係します」と井坂先生。
睡眠の質を高めるために重要なのは、入眠直後の90分間のノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)をいかに深くするかです。
不眠によるリスク
肥満になりやすい、血圧が上りやすい、糖尿病や認知症などにもなりやすくなるとされています。
黄金の90分を手に入れるには
人は起きている間は、深部体温のほうが皮膚体温より最大2℃高くなっています。入眠時に深部体温を下げて、皮膚体温と深部体温の差を縮めておくことで、良質の睡眠が得られます。
けれども女性(特に更年期)は、冷え症の人が多く、睡眠中もなかなか皮膚の末梢血管が拡張しないので、熱の放散がうまく起こりません。そのため、うまく深部体温を低下させることができず、寝つきに時間がかかるのです。
深部体温を下げるには
「そこで深部体温をうまく下げるために、入浴を活用する手がおススメです!入浴で深部体温を上げておき、その後、深部体温が低下するタイミングで眠りに入ります。すると、寝つきが良くなり良質の睡眠が得られます。深部体温は、90分かけて下がりますので、眠る約90分前に入浴するといいでしょう」
不眠対策のための生活習慣
良質な睡眠をとる(不眠対策)ために、心がけたほうが良いことと、やってはいけないこと
・平日と休日の睡眠時間のズレは2時間未満にします。
・スマホやPCのブルーライト は寝る1~2時間前から浴びないように。
・寝室は室温25~28℃、湿度50~60%を目安にして快適と思う状態にします。
・深部体温を下げるために、寝る90分前に入浴を。
・電気毛布や締めつける靴下は避ける。電気毛布は先に温めて切ってから寝る。湯たんぽはOK。
・カフェイン(コーヒー、紅茶、お茶)は就寝6時間前までに。
・昼寝はなるべくしない。どうしてものときは15時までに20分程度。
・寝られないときは、ベッドや寝室から離れます。ベッドで寝る以外のことをしない。
・運動習慣をつける。運動は20時までに行うのがベスト。就寝前はストレッチ程度に。
・ナイトルーティンをつくります。
ナイトルーティーンとは
「ナイトルーティンとは、寝るための自分なりの儀式です。たとえば、好きな音楽を聞く、結末を知っている本を読む、手作業をする、ストレッチ、瞑想をする、ハーブティを飲む、いつものパジャマに着替えるなど、自分なりの睡眠スイッチを決めておきましょう。
睡眠のための生活習慣を整えることは、サプリメントや薬よりも効果があります。睡眠のための薬は、漫然と飲むのでなく、“この薬があればいざというときに寝られる”というお守りとして持っておきます。
お話:Dクリニック東京ウェルネス 睡眠・SAS外来睡眠センター長井坂奈央(いさかなお)先生による
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