コレがなかなかの怪作らしい。
フュリオサで期待しすぎて割とガッカリしてテンション下がっていたので見てみようと思う。
アウシュヴィッツ収容所の近くに豪邸があり、そこに住む家族の日常を淡々と描いていくというもの。
楽しく幸せそうに過ごしている家族の横でアウシュヴィッツ強制収容所からずっと何かしらの音が聞こえている。
主人公は強制収容所勤するルドルフという男。
しかし関心がない家族たちはそれが日常。
誰かの金歯や誰かのコートを手にして観察したりするのだが
「果たしてこれは本来誰のものなのか、、、?」
その事には気にも留めない。
「妻は自分たち以外には関心がない」
ユダヤ人の誰かが苦しんでいても「近くでおかしな人がいた」と笑い飛ばし、
彼女の母は強制収容所の異様な光景に恐怖し出ていくのだが何とも思わず出ていったことに怒り悪態をつきながらご飯を食べている。
召使いの女性が横に居ようが空気の様な扱い。
とにかく夫の仕事を含め「関心がない」こと。
正直ゾッとする。
だがそれがいい(慶次)
なかなか面白い撮り方をしていて、キャラクターの寄り画がほぼ存在しない。
オッペンハイマーの様にメガネに照明が反射する様な寄り画は一切ない。
寄っても第三者目線よりもちょっと寄ったくらいのサイズで進んでいく。
大半は引いたサイズの画だった。
寄り画といえばイメージで綺麗な花に寄ったと思いきや虐殺されたであろう人の悲鳴や銃撃の音がじわじわと聴こえてくるシーンくらいだろうか?
赤ん坊の泣き声と思いきやジワリジワリと叫びに置き換わっていく、、、。
建物内であれば部屋の四角い空間の中でキャラがずっと移動している。
あえて日常生活感出すために人物に寄る事はなかったらしい。
人によっては動きがなくて退屈に思うかもしれない。
のっぺりした空間の中に気味の悪い音がずっと聞こえてきている。
あまり音を移動させてはおらずドセンターで音が構築されているが逆にそれがいい。
そして最後の最期に閉鎖的な空間で撮影し続けた理由が分かるんだがそれに驚いた。
あーーーーー!「ルドルフ・ヘス」ね
そういう事だったのかー!?
なんか最後のパーティーシーンがやたらうるせーなと思っていたんだがパーティー中に考えていたことを電話で告白した時に驚きw
あの「箱」ね、、、
なるほどなるほど、、、
関心領域というタイトルには恐れ入ったわ。
確かに今現在ロシアとウクライナが戦争中だが
「関心あるか?」と聞かれれば大多数はそうでもない。
なるべく関わりたくないというのが大半の意見であろう。
しかし、いくら目を塞ごうが見ないふりしようが「声や音」は聞こえてくるわけだし。
塞ぎたくても塞ぎ切れない音という目に見えないメッセージ。
色々と想像を巡らして見ないとなんのこっちゃ全然判らんまま映画が終わる。
この映画にも関心を巡らせられるかどうか?
考えさせられる映画って珍しいけどそれが良かったな。
正直フュリオサよりも満足度が高い(笑)
これこそ映画館で見たほうがいい。