白川公園では、毎朝のラジオ体操の前後に園内をゆっくりと周回し、季節の移ろいを楽しんでいる。

 

 

園内ではビアカンサスの花があちらこちらで咲き始めていた。

すらりと伸びた茎の先に咲く淡い紫色の花は涼しげで、蒸し暑い梅雨空の下でも爽やかな印象を与えてくれる。

初夏の訪れを告げる花として、毎年この時期になると目を楽しませてくれる存在だ。

 

 

また、科学館庭園に植えられているニュートン由来のリンゴの木も、たくさんの実を付けていた。

春先に比べると実はひと回り大きくなってわずかに色づき、順調な生育ぶりがうかがえる。梅雨時特有の湿度の高い空気は人間には不快だが、植物たちにとっては成長に欠かせない恵みなのだろう。

 

 

午前中は、先日から取り組み始めた千手観音像制作の下準備を進めた。

三角柱状に加工した檜材に、完成形をイメージしながら要所ごとに墨線を描き込み、外形を定めていく作業である。

 

 

今回挑戦する千手観音は、頭上には化仏を戴き、足元の岩座には地蔵菩薩が納まる構成となっている。

 

 

さらに中央には合掌する両腕と蓮華を捧げる両腕の二組があり、そのほか胴体の左右には二十本以上の手が配される。

省略と力強い造形を特徴とする円空仏としては、加工箇所の多い難しい作品である。

 

写真の陰影や濃淡を読み取りながら、必要な部分を残して不要な部分を削り落としていく。そのため、最初の墨付けは完成度を左右する重要な工程だ。

一本一本の線に完成像を思い描きながら、慎重に材料へ描き込んでいった。

 

千の手を持つ慈悲深い観音様の姿が、檜の中から少しずつ現れてくることを想像すると、これから始まる本格的な彫刻作業への期待が膨らむ一日となった。

 

毎月第二土曜日の午後1時から4時まで、荒子観音寺所蔵の円空仏が、境内の本坊客殿で公開される。
荒子観音寺には、高さ3メートルを超える仁王像から、わずか2〜3センチほどの小さな木端仏まで、1,250体余りの円空仏が現存している。

その数と内容の充実ぶりは全国屈指とされ、円空仏の宝庫として多くの人々に知られている。

 


 

真夏日の今日も公開日ボランティアとして参加し、各地から訪れた拝観者の案内や、無料体験彫刻の指導などを行った。

 

 

 

 

梅雨時らしい蒸し暑い一日だったが、団体ツアーの参加者や個人客の方々が次々と訪れ、境内や客殿は終日賑わいを見せていた。

 


 

体験彫刻では、初めて彫刻刀を手にする方も多く、皆さん真剣な表情で小さな仏像作りに取り組まれていた。

完成した小仏像を手にした時の満足そうな笑顔が印象的である。

参加者には記念として円空仏ストラップも贈られ、それぞれが自作の小仏像とともに良い思い出を持ち帰られた。

 


 

円空上人の温もりあふれる仏像に触れ、その精神の一端を感じていただける貴重な機会として、これからも多くの方に足を運んでいただきたいと思う。

 

 

 

 

早朝は薄い雲が空を覆っていたが、白川公園でのラジオ体操が終わる頃には雲も切れ、青く澄んだ夏空が広がっていった。

 

 

お昼頃には入道雲を思わせる積乱雲が湧き上がり、一雨来るかと思われたが、結局雷雨にはならず、気温はぐんぐん上昇して真夏日となった。

 

 

 

午前中は家で円空仏づくりに取り組んだ。

先日木取りを終えた千手観音立像に、飛騨国府「清峰寺」所蔵の千手観音像の写真を参考にしながら、頭部や胴体、腕の位置などの要所へ墨線を入れた。

その後、鋸と鑿を使って大まかな形を削り出し、頭部と胴体の輪郭づくりを進めた。

 

 

清峰寺に伝わる千手観音立像は、円空仏の中でも最高傑作の一体と称される名作である。

円空が1690年頃にこの地へ滞在した際、等身大の檜材から彫り上げた三尊像の主尊であり、その力強さと慈悲深い表情は多くの人々を魅了してきた。

 

千手観音像は、円空が残した数多くの作品の中でも数体しか確認されていない極めて貴重な存在である。

そのため美術的・歴史的価値ともに高く評価され、円空仏を語る上で欠かせない作品となっている。

 

数年前に清峰寺を訪れ、聖観音像・竜頭観音像と共にこの三尊を拝観したことがある。

清峰寺は現在無住の寺で、事前に連絡すると地元の方が収蔵庫を開けてくださり、間近で拝ませて貰うことができる。

静寂に包まれたお堂で対面した千手観音像の迫力と存在感は今も鮮明に記憶に残っている。

 

寺は深い山間部にあり、近年なら熊に遭遇しても不思議ではない場所であった。

当時はまだ熊の出没が今ほど頻繁に報じられておらず、心配することなく参拝できた。

今思えば、それも貴重な機会だったのかもしれない。

 

最高傑作と称される千手観音立像に挑むのは大きな目標だが、写真を見ながら鑿を進めていると、少しでも円空の息遣いに近づきたいという思いが湧いてくる。

完成までの道のりは長いが、焦らず一歩ずつ形にしていきたい。

 

今朝も青空が広がっていたが、空の一角には鰯雲がたなびいていた。

 

 

鰯雲は秋の空を代表する雲として知られているが、梅雨の最中に現れると、上空に湿った空気が流れ込み、翌日以降の天気が崩れる前触れともいわれている。

 

 

 

 

毎週木曜日は円空仏彫刻「木端の会」の稽古日で、午前中は荒子観音寺内の教室で仏像彫刻の準備をした。

 

 

材料置き場から、長さ60センチほどの檜材を四分割したうちの一本を選んだ。

やや節や割れが目立つ材だったが、その部分を避けながら細身の観音菩薩像を彫る予定。

 

まずは鉈を使って余分な出っ張りやささくれを削ぎ落とし、像の基本となる三角柱の形に整えた。

これから材に頭部や胴体、手足の位置を描き込み、鑿や鋸を使って少しずつ仏の姿を浮かび上がらせていく。

 

観音菩薩は、悟りを開いて如来となる前に、人々を救済するため修行を続ける菩薩であり、衆生を救うためにさまざまな姿へ変化すると伝えられている。

 

代表的なものには、慈悲の姿を表す聖観音をはじめ、多くの手で人々を救う千手観音、十一の顔で世の声を聞く十一面観音、煩悩を打ち砕く馬頭観音、福徳を授ける如意輪観音などがある。

それぞれに異なる功徳や信仰が受け継がれてきた。

 

これまでいくつかの観音像を彫ってきたが、まだ千手観音立像には挑戦したことがない。

無数の手を持つ複雑な姿だけに難しさもあるが、いつか自分の手で彫り上げてみたいと思っていた。

 

 

教室の窓からは見ごろを迎えたアジサイや若葉を見ながらほっと一息が付ける。

 

快晴の青空から初夏の日差しが降り注ぎ、雨上がりの澄んだ空気が心地よい朝となった。

 

 

↑白川公園

昨日までの湿った空気とは打って変わり、ラジオ体操中も、ひんやりとした風が肌を撫でて心地がいい。

東海地方は梅雨入りしたばかりだというのに、早くも梅雨の中休みだろうか。

 

 

天気予報によれば、朝は爽やかでも昼に向かって気温が上昇し、午後には真夏日になるという。

朝夕と日中の気温差が大きいこの時期は、体調管理にも気を配らなければならない。

 

昨年の六月、畑仕事の最中に熱中症になったことを思い出す。

水分補給を怠ったわけではなかったが、気づかぬうちに体力を消耗していたようだ。

点滴を受けて回復したものの、その後しばらく体調が優れなかった。

 

今年も眩しいほどの六月の太陽を見ると、あの時の苦い経験がよみがえる。

無理をせず、こまめな水分補給と適度な休養を心掛けて、この夏を乗り切りたい。

 

 

午前中は彫刻用の鉈と包丁の研ぎ作業をした。

刃物研ぎは単純な作業のようでいて奥が深く、集中力と根気が求められる。

特に出刃包丁は刃こぼれがあり、欠けた部分を整えるのに思いのほか時間がかかった。

 

 

ようやく研ぎ終えたものの、刃先を光にかざしてみると、まだわずかにムラが残っている。切れ味に大きな問題はなさそうだが、納得のいく仕上がりにはもうひと手間必要だ。

時間を見つけてもう一度研ぎ直しをして、さらに鋭い刃を付けたい。