フツーの仕事がしたい |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

true-叫びっ
いやだ~~~っ!


と、叫ぶべき時代なんじゃないかな、今。

紙を丸めてゴミ箱へポイするみたいに、
簡単に人間が捨てられている現代です。
フケーキだから、
「派遣切り」をセンセ方はしたり顔で説明するけど、
わかってないなぁ。
「奴隷制度」なんよ、問題は。
“人間らしさ"を はく奪されている人たちがいるってこと。
だいたい、丸めた紙でさえ、
人はその昔、哀れに思ったものを…。
「涙が枯れた時代」なんじゃないか、そんなふうにも思う。

『フツーの仕事がしたい』を観たのは、
昨年の10月、東京の「ポレポレ東中野」。
関西圏ではこれから公開されるので、
ぜひ、観てほしい。夕方のMBSのニュースで、
この映画が取り上げられてた。
まさにタイムリーな映画だからでしょう。
東京でも今後、アップリンクで公開予定です。
ちなみに、ドキュメント作品でシナリオはなく、
あるがままの映像で構成されています。

主人公は車好きが転じて
長距離ドライバーになったフツーの男性。
彼はフツーの労働基準を超えて働かされている。
その痛々しさときたら!
一日の労働18時間、マジですか。
精密な機械でも壊れるだろう。

映画には「リアル暴力」が写ってる。これが恐い。
演技じゃない現実の暴力って、
こんなに恐ろしいんだ、と身震いしてしまった。
俳優さんが演じる「怒り」って、なんだったんだ?
そんなことすら思った。

リアル暴力の犯人は、青年を雇っている企業で、
青年に対して、正気とは思えない嫌がらせを繰り返す。
ほんとに こんなことがあったなんて! 人間じゃない!

やがて、男性は奴隷から逃れる糸口を見つける。けど、
それをよく思わない企業の嫌がらせが待っていた、それでも
「こんなのいやだー!」
声を上げた男性の表情は映画が進むにつれ変化する。
いい顔になってよかった!

この映画を観ようと思ったきっかけは
ずっと応援しているお店「ベルク」の迫川副店長が
映画のチラシにコメントを寄せていらしたから。
『不謹慎かもしれないが役者もそろっている』。

この映画と「ベルク退店問題」は、とても似ていて、
ベルクはよくぞ、声をあげてくださった、
そう思わずにいられない。
大企業などの巨大権力の前では、
人って生き物は、ついつい諦めてしまうもの。けど、
諦める前に、誰でもいい、どこでもいい、
「これって変です!」と言わなければ何も始まらない。

チラシにはこんなコピーも。
「リアル『蟹工船」」。
現実の『蟹工船』を映像で知ったなら、
「私たちは、人間です!」
叫びたくなるはず。

ちなみに私は一日18時間の労働はざら。
でも、誰かに強制されているわけじゃない、
すべて、自分が蒔いた種であって、奴隷じゃない、
だからストレスは少ない。
つまりフツーじゃないんよね、ワタシって。


★★★★★☆☆ 7点満点で5点
「リアルドキュメント・フィルム」としての星です。
映画としては、ごめんなさい…4点。

監督の土屋トカチさんもベルクを応援してくださっています。
この作品を撮影中、監督ご自身にも
企業からの「嫌がらせ」と「暴力」があったらしい。

フツーって何だろう?
フツーという言葉を前にすると、いつも悩むけど、
この映画では「人間らしく」じゃないのかな。
「人間らしい仕事がしたい」。
そんなメッセージが込められた1本だと思った。

2008/10/14 ポレポレ東中野にて鑑賞
~イラストは昨年の某日に描いた~


●『フツーの仕事がしたい』公式ブログ
土屋トカチ監督ご自身が更新なさっています。

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