あるいは裏切りという名の犬 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『あるいは犬という名の裏切り』


ノワール。フランス語で黒。闇。
ノワールときくと、
私がまっ先に浮かぶのは・・・
白黒テレビ時代のウルトラマンのイントロ部分。
墨を水にたらして ぐるぐる回したようなマーブル模様、
やがてそれが「ウルトラマン」
というタイトル文字に変化するというアレ。
グルグルグルルルルルル.......
子どもの頃、アレが怖くて怖くて、しかたなかった。
自分の胸の“悪だくみ”を見せつけられた気がして。
静かに静かに変化する、その静けさが嫌な感じだった。

そのノワールにフィルムがつくと
「暗い映画」となる。
行き場のない閉息感、静かな悪の世界、
影を帯びた映像と神経を切る音楽⋯
救いのないラスト⋯
ふと、目を閉じる。
わが殿、ヴァンサン・カッセルの出世作、
『憎しみ』はノワールだったわぁ。
あぉ~ん! ヴァンヴァン! どないしてるんやー!
『ブルーベリー』は日本ではやらんのか~い!


ま、あれもノワールではないみたいやけど。



【映画】 衝撃の実話を基に、権力志向の強い野心家の刑事と、彼の策略で投獄された正義感あふれる刑事の運命を描いたフレンチノワール。監督は元警官という異色の経歴を持つオリヴィエ・マルシャル。ハリウッドではロバート・デ・ニーロ製作によるリメイクも決定した話題作だ。フランスを代表する名優のダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューが、主人公の刑事2人を燻(いぶ)し銀の魅力で演じる。骨太なサスペンスと男のダンディズムが堪能できる。(シネマトゥデイ)

★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
鼻のおじさんダニエル・オートゥイユが好きで、
タイトルが気に入ったので観に行った。
フランス映画らしいフィルム・ノワールときいてたけど、
明るい。明るいわ、私には明るいっ
ダラダラダラーとしたフランス映画っぽい
暗~くジメジメ ウェットなものを想像したけども・・・
ある時、音楽がガンガン鳴りっぱなしなのに気が付いて、
それ以降は音がジャマでジャマで不機嫌になったがな。
映画を交響曲っぽく見立てているのかなぁ、
そういえば、物語が楽章ごとに分けられていた気もする。

映像美という点では美しかったり、
カメラワークっていうのか、
流涎的な動きが綺麗だったりしたけども、
全体的にコントラスト弱いし。
おフランスというよりハリウッド映画っぽい感じ。
善と悪がパッキリ分かれてるもん。
鼻のオジサン・ダニエルおじさんは多少ノワールだけど、
敵役のジェラール・ドパルデューは良いとこなし、
まるっきりの悪者やん。
奥歯にモノが挟まったような、
煮ても焼いても食えない「闇の」を期待した私には
かなり物足りないノワール犯罪映画であった。

タイトルも おフランスっぽくて好きは好き、
でも、この映画には重厚すぎるかな。
仏題はパリ警視庁の住所だそうで⋯。

しかしこの映画、実話ですか。
となると、実際の事件がどうだったのか気になってくる。
ここまでエンタメになっているということは、
パリ警視庁の汚点を警鐘するべく、
広い層にアピールするのが狙いだろーか。
監督が元警察官というだけあって、
リアルな警視庁内部が見られるのは面白い。

ほぉ。ハリウッドでリメイクするのか、
デニーロですか。ハイハイ⋯。

~'06年 銀座テアトルシネマにて観賞~


*TSUBUYAKI ZOO*



●『あるいは裏切りという名の犬』公式サイト