A girl
もっとも私が影響を受けた人物、
それは漫画家のくらもちふさこ氏。
氏は間違いなく、いえ、まぎれもない天才。
私がくらもち作品に出会ったのは中学校のときで
歯医者の待合所で たまたま手にした
「別冊マーガレット」という漫画雑誌。
『赤いガラス窓』という読み切りの後編は
あまりに新鮮で、鮮烈で、
都会のセンスにあふれ、みずみずしかった。また、
自分と同じ目線でドラマが綴られていることの、
嬉しさと驚きを この時 初めて感じたのだった。
あのとき、心臓を丸ごと どこかに盗まれたような
そんな電気ショックを受け、
歯医者で私は同じ話を三度は読み返し、
こんなに すごい感動をくれる人が
世の中にいるんだと ため息をついたものだった。
私は またたくうちに
「くらもちふさこ」の大ファンになった。というか、
神さまだった。
とうぜん単行本はバイブルだし、全部持ってる。
（けど、実家に置いてあるものは
半分ぐらい母親が処分してしまった…くそー）
あの御方の感性、才能、プライドの高さ、
すべてに共感した。彼女の価値観は私のお手本だったし、
作品で交わされる台詞のひとつひとつが、
私には どの大人のことばよりも強く響き、
熱く胸うたれ、本気で涙し、心の底から笑った。
もしも「くらもちふさこ」という作家が、
この世に存在しなかったら…あるいは、
「くらもちふさこ」と出会わなかったら…
私は「今の私」ではなかったろう、
もっとヒガミっぽく、ずっとずっと鬱々と
小さなコップの底に沈んだままだったかもしれない。
そんな私のもとへ
ビックリ情報が友だちのメールで届いた。
くらもちふさこ先生の代表作、
『天然コケッコー』が なんとっ！！！！
映画化されるとなっ！！！！！！！！
いや、なんとなく「この名作は映像化されるかも」
と うっすらな予感めいたものはあったけど、
心のどこかで それを否定してた。というのも
「“くらもちふさこの世界”は
ぜったい映像という手段では表現できない。
原作のイメージが壊れるのがオチだ」
と強く思っていたし、くらもちふさこ先生自身も、
「映像化を許さない」
という話を某筋からきいたことがあって、
それは信憑性が高いと思っていた。
“くらもち作品”を敬愛しているファンだから分かる、
彼女のパワーの源は「プライド」だ、
1作ごとにガラッと物語の切り口や
キャラクター設定を変えてしまうところからも、
それは伺えるし、同時に そこには、
ご自身の幅広い感性をアピールするかのごとく
負けん気の強さも表れている。
なんといっても、くらもちふさこ先生は
少女漫画というジャンルの可能性を強く示唆した人、
そう易々とは映画化は認めないだろうと思ってた、
ホントに、つい最近まで。
その くらもちふさこ先生が映画化を認めた！！！
「ついに その日が来たかっ！！！」
“くらもち信者”である私の心境はというと
不安の方が勝ってる。けど、
楽しみであることには違いない。いや、
いや、いや、やっぱり不安・・・。
くらもち先生は映画制作に参加されるのだろうか。
先生がＯＫを出された監督さんなら、
間違いないとは思う…でも。う～～～、
監督は『リンダリンダリンダ』の山下敦弘さん、
よく知らない・・・世間の評判はいいみたい。
もっと分からないのが、
主人公“そよちゃん”を演じる夏帆という女の子と、
相手役の“大沢君”の岡田将生という少年。
これって、ナイス・キャストなん？？？
わからん、わからん、わからんー！
分かっているのは脚本を手掛けるのが
今も私の胸に深く残っている映画
『ジョゼと虎と魚たち』の渡辺あやさんで、
彼女なら『天然コケッコー』で描かれる
ツヤツヤ光る田舎の情景と個性豊かな登場人物を
活き活きとかいてくれるだろう、ということ。
映画『天然コケッコー』の公開は来年、
来年の いつなのかは まだ未定。なんだか、
はやく観たいような、観たくないような、
なんとも複雑な気持。
いったいぜんたい、自分のことを「わし」という
田舎育ちのヒロイン“そよちゃん”を、
世間は、私は受け入れるのか？ それとも…？
あ、音楽は誰が担当するんだろう、
くらもち先生の音楽センスはバツグンだ、
ページから本当に音楽が聴こえてくるんだから。
いったい、どんなアーティストが選出されるのか、
これも楽しみであり不安でもあり…。あ、
“そよちゃん”のお父さんは佐藤浩市さんだそうで
これは合ってるかも。いやいや、
単に私がコーイチ・ファンだけなのかも…。
とにかく、ファンとはフクザツなものです…ね。
映画化のニュースから1年！
『天然コケッコー』がついに公開されました！
私も観ました。期待を裏切らない傑作です。
くらもちふさこ先生の幸運に乾杯♪
映画を観た私の感想はこちら
●『天然コケッコー』公式サイト
●Amazon くらもちふさこ著『天然コケッコー』