テロルの季節 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

3絡み

love × 3


『現代好色伝 テロルの季節』を観た。

平淡で静かなピンク映画だったから、
たいくつに映る人もいるだろうけれど、
私は惹かれるものがあった。
それは、ピンク映画界のアヴァンギャルド・
若松孝二監督作品ということ、
主演の好色男・吉澤健がハマリ役だったこと、あと、
全共闘活動家と二人の女との情事という対比、
これらが毒っぽくて、面白いと思った。

【あらすじ】1969年作品。全共闘活動家の男が二人の恋人との同棲生活を謳歌することで、公安警察の監視を欺く。性と政治を織り交ぜた小水一男脚本の独特のブラックユーモアによって、あまりに特異な政治的ピンク映画が完成した。 初DVD化(ニューテレシネ・デジタルマスター)『現代好色伝/テロルの季節』DVD内容説明より抜粋


2人の女と同棲生活を謳歌って、
つまりは男1と女2の3人で
情事を明けても暮れても繰り返すという
エロチックというか、淫らな行いを意味する。
3Pね、3P!!!!

きっと、男にとっては飾り物の正義も、
ふたりの女を同時に抱くことも
まったく同等の背徳行動なんだなぁ~。
男は下の世話まで女に委ね、
寝間ではふたりの女に身体を拭いてもらい、
昼間はゴロゴロゴロゴロ寝っ転がるか、
テレビを見るか、散歩をするか。

そうして女たちは そんな男を共に愛している、ようだ。

この映画は69年の佐藤首相の訪米阻止闘争に合わせ、
絶妙のタイミングで公開されたと、
新文芸坐のチラシに書かれていて、
実際に映画を観たところ納得した。
この映画制作の意図は大政批判と
ヒトの本能の対比。これはアングラ系アートだ。

私はというと、
性に溺れて暮らす男を汚れてるとか、変態だとか、
堕落してるなどとは、まったく思わなかったし、
むしろ、共感しているところがあった・・・
などと書いたら、全女性を敵に回すだろうか、
男は女をヒトではなく雌でもなく、
生活のための道具として扱っているというのに。
けれど私には男がひどく純粋で、
汚れのない理想を貫いているように思えてならない。

たぶん絵描きだ、アートだ、美意識だと
好き勝手に言い放っている私こそ、
3Pよりも全然、背徳の人、
えらそうに美意識を語ったところで
睦言と同じことなんだろう、これが。


★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
エロ場面がぜんぜんエロくない。
モノクロがぜんぜん美しくない。
女優の演技が まったくド素人。
気に入らないことは多々あれど、
異色な場面が続々、淡々とおもしろい。
1969年公開当時は異彩を放っていたであろうが、
今観ると平凡に映ってしまう。
アヴァンギャルド・ピンクの悲しいサガかしらん。

モノクロ作品なのに、
日の丸と星条旗がひるがえる場面のみカラーになって、
3人の情事が重なるのは この映画の主題だからだ思う。

~池袋・新文芸坐にて観賞~


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7/17(Mon) まで 東京・代官山アートラッシュにて
TEL 03-3370-6786 ●詳しいお知らせはこちら



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