ホラ映画『押し入れ』 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

悪いことをしたら ここへ入れられる、
というバツは今でも生きているのだろうか。
あたしは子どもの頃、叱られると思ったら、
先回りして、自主的に ここへ入ってたけど。


子どもの頃から あたしは
「嘘つき」だと後ろ指をさされた。
嘘といっても誰かを陥れるとか、
そういう手合いのものじゃなくて、
すぐに嘘だとばれてしまう「大ボラ話」を吹いて、
人を喜ばせるのが楽しかったのだけど、
度重なるホラに友だちは疲れてしまい、そのうち、
「またアホなことを言ってる」と
相手にされなくなってしまった。
いったい どんなホラかというと、

「あたしの毛ぇは寝てる間に
 足首まで伸びるので、
 朝、バッサリ毛を切ってから学校へ来てる」だの、

「実は、ピアノの鍵盤と同じだけの音域が
 あたしにはあるけど、
 人がいると緊張して出ないので、
 家で こっそりと
 “鍵盤”を歌ってるねんで。ほんまや。
 ウソやと思ったら親にきいてみぃ~!」

という具合で、なかでも我ながら自信作の大ウソが、
『押し入れ話』シリーズ。
シリーズというからには「押し入れネタ」で、
何本もホラを吹いているわけで、
以下、その中から いくつか抜粋。

「うちの押し入れはアメリカに繋がってる」

「あたしの家の押し入れには
 タヌキの親子が住んでて、ときどき
 あたしの家族に化けたり、
 あたしの代わりに学校へ行ったりするから
 ヤヤコシイことになる」

「うちの押し入れをガラッと開けたら、
 びっくりするで。
 ハンバーグ工場になってるねんで!
 今日のお弁当のハンバーグも、
 押し入れの工場で作ってきたやつや」

「ええかげんにしぃや。
 ウソばっかりついてたら、
 そのうち舌を抜かれるでっ!」



友だちや学校の先生はヤレヤレという口調で、
こぼしたものだけど、大抵の場合、
口元が笑っているので、
「あ。おもしろがってる!」と、
あたしの方は心の中で嬉しがっていた。

押し入れのホラ話が多かったのは理由がある。
母に叱られ、お尻パンパンされたあと、
母は真っ暗の押し入れをガラッと開け、
「出ていいと言うまで、そこに入ってなさいっ!」と、
独房のように、そこへ閉じ込められたから。
監禁されていたのは短い時間だったけど、
子どもの時分のあたしは暗闇が怖くて、
「押し入れにはネズミが住んでいて、さらに、
 人間をかじろうとヤツらは待ち伏せしている」
という話をきかされていたので、さらに怯え、
できるだけ快適な押し入れタイムを過ごそうと、
必死で楽しい話を思い、恐怖心を忘れようと努力した。
そのかいあって(?)押し入れは、
アメリカへの入り口になったり
タヌキの親子の家になったり、
押し入れは「ウソワールド」が広がっていた(?)。

子ども時代の思い出のせいで、
あたしは今でも押し入れには格別の思い入れがあり、
時おり押し入れが ちょっと開いてたりすると、
その奥から誰かが呼んでいるような
別の世界があるような、そんな気がして
しばしボーッと見つめてしまう。

今日もそうだった。押し入れが細く開いていたので、
またしても無駄な妄想をしてしまった。
押し入れをピシャッ! と閉めたあと、
「信じられない事実がこの奥では広がっている!
 ‥‥のかもしれない」
なんて、あたしゃ 子どもの頃から精神世界に変化なし?
ああ、ここらで生き方を反省すべきかも、
と真面目に思ったときだった、
「新宿にタヌキが住む森があった!」というトピックが、
ラジオから こぼれてきた。
「ぇえー! 東京砂漠の中心、新宿にタヌキが?」
と目をパチクリさせたけど、すぐに、
「ほら、あたしの想像を超えた事実が
 ちゃんと現実にあったりするやん」と、ニヤニヤ。
そのとき。
「カタン!」と押し入れで物音が‥‥!
ん? さっき閉めたはずの押し入れが開いてる!
ホラホーラ、やっぱり、タヌキ!

        ホラ映画『押し入れ』<完>

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相方への呼びかけ





一日一善

改め!

一日一毒

ええか、わかったかーっ!

他に、何かでこに言おうとしたけど、
忘れてしもた。
どうせ大したことではないねん、またいずれ。
いや、大事なことのような気もするねん、
うーなんやったかなー気持わるぃ~。

●やっぱり親父を描かせたら敵無し!
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