笑いの大学と映画の笑い |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

ずっと昔に流行った“笑い袋”。注:唇は付いてません。
少し前にも流行ってたらしく、お店で見かけたけれど 今はいずこ。
狂ったように笑っていた声の主は どこの誰?


少し前に書いた『涙の壺』の
反対のような つづきのような、“笑い”について。
そうなん、あたしは壊れた蛇口みたいな涙腺を
瞳の奥に持っているぶん、娯楽作品では笑わない。
映画に限らず、漫画本でも小説でもテレビでも、
「笑わせてやろうという作者の魂胆が見える」と、
もうアカン、笑ってやるもんかと
どっかと その場に構えてしまう、実に かわいくないヤツ。
映画の場合だと、あたしは決まって、
斜にスクリーンを見上げ、絶対に腕組みと足組は忘れない。
いや、たとえ忘れたとしても心構えとしては
「さぁ、観せてもらいまひょ」という高飛車で
いけすかない客であることは間違いない。
といっても、こういうパターンは、
「この映画には笑いの要素が含まれてますよ」と
あらかじめ唱っている作品のみ。
昨年だと、『いかレスラー』とか『ゼブラーマン』が、
その類い。であるのに、いや~あたしとしたことが、
クスッと笑ってしまった部分があったりなんかして、
実に、実に、口惜しいっ!
また、こんなにカスカスに乾いている あたしでも、
ついつい油断して笑ってしまった、こういう作品もある。
たとえば、観るつもりのなかった『シュレック2』なんぞは、
足元を救われたように笑ってしまった。
失敗の原因はバンデラスの声色の、
“うるうるネコちゃん”、あいつに吹き出してしまった、
なんという体たらく。今後は充分に気を引き締めたい!

そうして、忘れちゃならないのが『笑いの大学』!!!
コイツが問題多し、タイトルに堂々と「笑い」を掲げ、
しかも「大学」、最高学部の大学まで付けやがって、
まったく国立だか私立だか、分かったもんやないが、
とにかく、あたしゃ「絶対に笑うまい」と口を真一文字に結び
満員の客席へ座ったのだった。のに、一緒に観たツレが、
よぉ笑う よぉ笑う‥‥おまけに満員の客が一丸となって、
津波みたいにドドーンと笑うからして、
おいおい、そんなに可笑しいのかと、こっちまで感化され、
なんというか、不甲斐ないことに
「ぷっ」と吹き出すことの連続、オーノー!!
まるで笑い袋、だ。

あたしは子どもの頃、“笑い袋”という
小袋を大人からもらった。それは、袋のボタンを押すと、
オッサンがアホみたいに笑い続けるという玩具で、
初めは、勝手に笑うだけのオッサンの声を聞いて、
ただ呆れていたあたしも、あまりのバカバカしさに、
そのうち アハッと笑いが込み上げてきた。
けれど、それも何度か同じことを繰り返すうちに、
今度は笑いを強要されているような気がして、
スーッと冷めてしまい、
やがてボタンを押すのを躊躇するようになった。

『笑いの大学』は愉しい映画だった、感動もあった。
でも、“笑い袋”。「笑い」という大看板に加え、
「大学」という大きな門まで開いたわりに、
ドッカンドッカンと笑える山場はなかったもん。
それでも、客席の多くの人は(あたしのツレも)
ボタンを押したっきり、勝手に笑い続ける“笑い袋”みたいに
アハハと笑っていたけれど、
あくまで あたしには“東京の笑い”で、言葉遊びに過ぎなかった。
“東京の笑い”は「粋であること」に重きを置いているから、
「笑いでヒ-ヒ-言わせたろ」という
関西の“お笑い芸”で育った あたしのような人間には、
『笑いの大学』は「笑い」ではなく
芸能人によるスマートな「コミック・ショー」。
能のない芸人、つまり“アホ道”を突っ走る人間が
笑いを突き詰めて仕上げた作品でなければ、
あたしは「笑い」という大看板の前に冷めてしまう、
二度とボタンを押さなかった“笑い袋”のように。

でも、ふと今 思った。
『笑う蛙』という映画はどうなんだろう。
その映画、あたしは観てないけど
「笑う」と「笑い」は別物だと
笑わない泣き上戸のあたしは思うのだ。
だから『笑いの大学』も、『笑う大学』だったなら、
あたしは もっと可愛げのある客になれたかもしれない。
それでも、観た直後の感想は、確か
★★★★★☆☆ 7点満点で5点だったと思う。
いずれにしても、カエル描きとしては観ないと! 『笑う蛙』を。

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相方の でこ吉が、あたしの誘いに乗ったせいか、
無理してイチビってしまい、またしても撃沈している模様。
いや、もしかしたら‥‥“NHK二悪”の たたりか????
チキショーッ! 庶民を いじめるの、たいがいにせーぃ!
あ、それとも あたしの麦チョコが具合悪かったか?
でこ吉く~ん! 早よ、「笑いのでこ吉くん」に戻ってやー。

●相方・でこのブログ