コーヒー関連のyoutubeの動画を見ていて幾つか気になる点があったので、つい嫌味を言いたくなってしまったので箇条書きにしてみました。もっとも最近はもうコーヒー動画は見ないことにしてますが。

 

ハンドピック
 

焙煎する前は釘、石などの異物はもちろん取り除くが素人が神経質に見た目が悪いのを取り除いたところであんまり意味ないと思う。焼いてみないとわからない豆(色がつかない死豆とか)もある。

焙煎すると真っ黒になった豆とか逆に色がつかない死豆がまず目につく。そういう豆はおいしくないのは確かだけど果たしてそれが数粒混じっているからといってコーヒーの味に影響するとは思えない。ただ、コーヒー全体の品質がいいかどうかの目安にはなる。均一に焼けてないコーヒーでおいしいコーヒーに出会ったことはない。よく貝殻豆を取り除く人がいるけど、貝殻豆だけ集めて飲んでみてもさほど味に違いはなかった。ましてやそれが数粒混じっているからといって何だというのか。

というわけで、ピックアップは自家焙煎では焙煎前に異物は取り除く(石とか入ってたらグラインダーがぶっ壊れるので)程度で神経質にやる意味はなく、焙煎後のばらつきも単にコーヒーの品質がいいか悪いかの指標にはなるが時間をかけてそれをピックアップしたところで自己満足でしかないと思う。いや味が違うというなら目隠しテストでもわかるほど自信があって言ってるんだろうか。

エージング
 

焙煎したてのコーヒーは角があって3日ほどたつとまろやかになるとか言われているので焙煎したてに飲んでもおいしくないと言う人がいるが、コーヒーは焙煎したてだと盛んに揮発成分を放出していてそれが嫌いという人は基本的にコーヒー自体が好きではないのではないかと勘ぐりたくなる。

コーヒー屋さんが豆を売るときに在庫管理の都合で言ってるとしか思えない。いくらエージングしたコーヒーがよいといっても1ヶ月ぐらいたってしまえば気の抜けた埃味になるだけではないのか。確かに焼きたてより数日たって容器に鼻を近づけるとコーヒーの甘い香りがより引き立ってくるが揮発した成分が容器の中に貯まっているからいい匂いがしてくるだけでコーヒー本体からは香りが抜けていることを意味する。それを熟成してるからとか、一体どんな科学的根拠で言ってるのかわからない。コーヒーは焙煎したてから徐々に香りが抜けていくので1週間か10日程度で飲み切るのが一番よくて、エージングと称してわざわざ置いておくとか、それはコーヒー屋さんが在庫管理しながら売っていくのに都合がいいだけでしょとしか思えない。

 

エージングを推奨しているブログから引用しますが、何言ってるかわかります?私はわかりません。

・焙煎0日〜3日
香りや味わいがバラバラで一体感に欠けます。少しフラットな印象を受けたり、さらっとしてすっきりした味わいになりがちです。飲みやすさはあります。

・焙煎7日〜14日(約2週間)
甘さとコクを多く感じ、香りとのバランスが整います。膨らみは弱くなりますが、コーヒー豆の状態が悪いわけではありません。カップクオリティは確実にアップしていることを感じられると思います。


もっと細かく日にちを分けて解説しているが香りと味のバランスって何?それってバランスが取れていなければいけないものでしょうか。このコーヒーはいい香りですねとか、このコーヒーは味わい深くてコクがありますねというのは個性であって、それぞれに優れているのならいいものでしょう。香りが好きな人もいればコクがあるほうがいいという人もいて、どちらもいいものでしょう。要は好き好きの話でそれがなぜバランスが取れていないといけないのでしょうか。中庸の美徳ですかね。エージングすることでそうなるかは知りませんけど。

 

驚くべきことに販売用は2週間しっかり当店でエージングをしたものを売っていますとのこと。何の冗談かと。こんなところでコーヒーなど買う気はしないです。抽出するときに焙煎したては二酸化炭素の泡が抽出の邪魔をする?見てきたようなことを言ってますが科学ですらない。要は、焙煎して時間がたったものも悪くないから買ってねということでしょ。要らんわ。

 

百歩譲って、エージングでおいしくなりますというなら、売るときは焙煎したてのものを売るべきでしょう。そうすれば味の変化を日を追って楽しめる。2週間かけてエージングしてやったからこれを買えと言われても今すぐ飲むにはいいとしてあとは劣化の一途じゃないですか。

冷凍保存

 

必要悪だと思う。コーヒーを大量に入手してしまってすぐには飲み切れないときにやむを得ず冷凍保存するしかないときはある。1週間から10日程度で飲みきれる量なら密封して常温保存でいい。買ってすぐ何も考えずに冷凍するとか正気の沙汰かと。コーヒーを飲むために冷蔵庫から容器を取り出すたびに湿気を呼んでまずくなるだけ。

 

特に気になるのは、コーヒーの動画を出してる人ってやたらと酸化が酸化がとうるさい。コーヒーが酸化すると酸っぱくなると勘違いしてるのか。コーヒーが酸化するというと酸っぱくなると思ってしまうが古くなると香りが抜けて埃っぽい味がするだけで、ほんとに酸化して酸っぱくなるとしたら酸化が云々どころかそれはもう腐ってるわけで、どんだけ長期間放置したんだよというレベルの話ではないか。見てるそばから酸化が始まって酸っぱくなるとでも思っているんだろうか(そりゃ科学的には酸化はすぐに始まるだろうけど)。コーヒーには本来の強い酸味があって私はむしろ酸味は新鮮さの指標にしてるくらい。これを酸味が嫌いな人が酸化が酸化がとすっぱいのを酸化のせいにして騒いでいるような気がしてしようがない。

ラテアート
 

きれいな絵を描くためにはスチームミルクを多めにつくらないといけない。絵を描いたあと、あまったミルクは捨てるのか? 「安心してください。ちゃんと飲んでますよ」ということだったとしても、あの泡牛乳は正直言ってあんまりおいしくないよね? パフォーマンスでやるならともかく家庭でコーヒーつくるときに毎回やることか?

 

焙煎機

 

大型の業務用の何百万円もする焙煎機は複雑な工程を経て焙煎される。でも個人でたかだか数百グラムの豆を焙煎するだけなら、要は「大体」でいい。やれ蒸らしがどうのタンパー機能がどうのとか複雑な温度管理とかいちいち温度を測ってグラフに書く必要があるか?私は必要ないと思う。

 

アウベルクラフトはその点、本格的な焙煎機とは一線を画していて家庭用焙煎機として余計なものは足していない。おもちゃだと言う人もいるがおもちゃではない。屁理屈ばかり言うマニアはやれタンバー機能がついてないだの温度管理が大雑把だのいろいろ文句を言うが、たかだか数百グラムの豆を焼くなら十分な機能を持っている。

 

これは日本酒の造り酒屋の作業工程にも似たところがあって、専門の造り酒屋の各工程にはちゃんと名前もついていてその工程はものすごく手間がかかっているが、家庭でどぶろく(いや、これは違法なので甘酒ということで)をつくるには水と米麹と炊いたご飯を瓶の中にぶっ込んで放置して保温しておけば簡単に甘酒になる(どぶろくはこれにイーストを混ぜるだけ)。でも、専門業者がつくる場合はもっと複雑な工程がある。それを各個人が家庭でつくるのに同じ方法でつくったところで、つくる量も少ないし意味がないと思う。それこそおままごとでしかない。家庭用には家庭用としての作り方がある。

 

コーヒー焙煎もそれと同じで、やたら難しく考えて工程を複雑にしたところで意味がないと思う。焼き上がりは当然専門的な業者が本格的な大型機械と方法で焼いたものとは全くの別物かもしれない(私は毛が3本足りない程度だと思っているがw)。そこをわきまえてさえいれば個人として十分楽しめるものだと思うし家庭用としては十分なのではないかと思う。

 

私はアウベルクラフトでもう十年以上コーヒー焙煎しているが、単純なカゴ焙煎だから故障したこともない(網が焼き切れて穴があいたので一度だけ交換したぐらい)。四角いカゴなので豆もよく撹拌されるのでムラもなく焼き上がりにも満足してる。もうかれこれこれで100kg以上は焙煎しているだろうか。高価な家庭用焙煎機なんかよりよっぽどいい。チャフが飛び散るのが唯一の欠点だけど、私はアルミ板の天ぷらガードで囲うようにしてから掃除がかなり楽になった。