【書評】筒井康隆『わたしのグランパ』 | うんちくコラムニストシリウスのブログ

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とにかく読みやすい!、しかも読ませる小説!
筒井康隆の第51回読売文学賞受賞作品ぴかぴか(新しい)

★三つにしたのはシリウスさんが単にひれくれているだけで、★5つでもおかしくない作品ぴかぴか(新しい)

祖父=グランド・ファーザー=グランド・パパ=グランパ

発想の豊かさに感動した\(^o^)/ハート

ところで、一般的に「読みやすい」作品にありがちなのは、

1展開が急すぎる。
2語り手が混在しており、かつ作者と語り手との距離がほど良く保たれていない。
3本の内容的にある程度の情景描写が必要とされているのに、情景描写が拙い。
4本の内容的にある程度の心理描写が必要とされているのに、心理描写が拙い。

という欠点ですが、本書にはそれがありません。
正確に言えば、本書は1・3・4が執拗に要求されない作品になっているのです。

ここに、絶えずユーモアかつ読み応えのある作品を創作し続けてきた筒井康隆の職人芸を見せつけられた気がします。

「いやいや、グランパの設定がありえないでしょ」

さてさて、そんなあなた

「でも、読みやすかったよね」

そう、この小説は読みやすさとスピードを活かして、グランパの設定の突飛さを毒抜きしているのです♪

これぞ、職人芸ハート

ここまで褒めながらも、★3つを付けた私はさぞかしひねくれ者でありまする\(^o^)/

最後は好きな一節から♪

●好きな一節
 珠子はまた、大声で泣いた。家族全員が、いつか大声で泣いていた。
「珠子が、おじいちゃんのために今からできることはだな」恵一が言った。
「幸せになることだ。おじいちゃんがそう願っていた通りにな。不幸せになることは、おじいちゃんを裏切ることになるんだぞ」
 珠子は泣きながら、何度も大きく頷いていた。幸せにならなければ、と、思った。グランパを喜ばせるために。
「一本、筋の通った人生だったなあ」恵一が溜息まじりに、しんみりとそう言った。(145頁)

手軽に読書したい方にオススメです(^^)♪