【3日目】民事訴訟法過去問練習 | うんちくコラムニストシリウスのブログ

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 本問では、固有の訴えの客観的併合である予備的併合が行われている。固有の訴えの客観的併合とは、1人の原告が1人の被告に対し、訴えの提起の当初から1つの訴えをもって数個の請求をする場合のことである。そして、予備的併合とは、主位請求が認容されることを解除条件として、これと両立しない副位請求を併合する場合である。こうした固有の訴えの客観的併合および予備的併合が認められるのは、訴訟の最初の段階から併合され訴訟の遅延や被告の防御の困難のおそれがなく、また審級の利益を考慮する必要もないからである。
 もっとも、予備的併合の場合には、両者の請求は法律上両立し得ない関係にあるので、もし両請求を分離して審判すると両請求が認められるという矛盾した判決がなされる危険がある。よって弁論の分離は許されない。また主位請求のみを棄却する一部判決も許されない。
 なお、主位請求認容判決に対して控訴があった場合は、全請求が控訴審に移審し、控訴審が主位請求認容判決を不当と認めれば、両請求が密接に関連しており副位請求も一審において実質的に審理済みであり、かつ審級の利益も害しないことを考えれば、当然に予備的請求が審判の対象になると解するのが相当である。

*なお、固有の訴えの客観的併合の訴えの要件は、①数個の請求が、同種の訴訟手続によって審判されるものであること(民事訴訟法136条)、②請求の併合が禁止されていないこと、③各請求について受訴裁判所に管轄権のあること(民事訴訟法7条)が必要である。