【刑法】第一行為後の第二行為の介在と因果関係 | うんちくコラムニストシリウスのブログ

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・行為後に異常な事情が介在しても、直ちに相当因果関係が否定される訳ではなく、一定の範囲においては相当因果関係を認める。

・折衷説・客観説ともに、行為後の異常な事情が生じた場合には、その異常な事情を判断基底から排除して行為から結果が生じることが相当といえるかを判断する。

・判断基底を設定せず、因果経過全体を判断対象として「行為の危険性が結果に実現したか」という観点から相当因果関係を判断する

・「行為が結果発生の危険を創出したか、創出された危険が結果にどのように実現したかによって客観的な帰責を問う」(客観的帰属論)(山口厚、山中研一先生ら)

山中研一先生「そもそも死因の概念が医学的な観点のみを基準としており、一般的な因果判断にはなじまない」

批判 刑事責任は、現に生じた事実について行為者を処罰してよいかを問うものであり、結果発生に至る経過を無視することが許されるものではない。仮想の事実によって既遂処罰を根拠づける。


「異常な事情を判断基底から排除できる」範囲
→基準を一義的に設定することは困難。だが、事案を抽象的に捉える(もっとも、行為態様・死亡態様・死亡時期・死因等の観点は考慮する)ほど異常な事情は排除しやすい。
→例 第一行為で銃を打ったから結局その人は死んだ

第一行為後に第二行為が介在している場合の書き方
→「経験則上(社会通念上)、当然予測できない訳ではない」


個人的には、大判昭和5・10・25は誤った判決だと思う。
→なお、判例百選解説(中森喜彦先生)は、古い条件説的な判断方法を採るものであると指摘

大阪南港事件
→第一行為によって既に被害者の死亡原因が形成されており、第二行為(角材での殴打)は死の発生を早めたにすぎない。


にしても、行為無価値論者である京都大学副学長の中森喜彦先生の相当因果関係の解説は誠に素晴らしい(こういう判例解説こそ真の名文というべきであろう)キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ


この判例解説見て、相当因果関係折衷説で、ある程度理論的整合性、実質的整合性をつけられましたニコニコひらめき電球



結果無価値論の旗手、刑法学者の中では名高い山口厚先生には、申し訳ありませんが、やっぱり客観的帰属論は、折衷説論者からすれば、明らかに「こじつけ論」にしか思えません(笑)


もっとも、私は刑法各論ではダントツで山口厚先生支持者ですがww(笑)


山口先生の刑法各論は、分かりやすい基本書だと私は思ってます(^-^)