【資料用】小沢一郎氏の有罪、無罪に関する刑法知識 | うんちくコラムニストシリウスのブログ

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あくまで客観的な判例を、小沢氏無罪論者の方・有罪論者の方にも分かりやすく説明していきます。

なお、おおざっぱに言えば、小沢氏の「共謀共同正犯」は要件をいくらでも緩められるので(むしろ緩めて黒幕を罰することに力を入れてきたともいえる)、正直小沢氏の有罪の可能性は大きいと私は見ております。

小沢支持者として、せめて無罪を勝ち取って、師匠田中角栄氏のような晩節を送って頂きたくないと思っていましたが、残念です。

なお、本日記の原案は、以前のmixi日記「【仮判決編1】さぁ小沢一郎の話をしよう~共謀共同正犯」(2011年02月02日)http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1667281337&owner_id=23011700 です。

●小沢氏の有罪、無罪についての検討
[検察審査会起訴事実推定]:小沢氏は、大久保元秘書、石川議員、池田元秘書らと共謀して、石川氏ら3人に虚偽記載行為{①04年10月、小沢氏の自宅(都内世田谷区)に近い土地を約3億5000万円で購入しながら、土地購入の事実を04年ではなく05年の報告書にずらして記載したこと、 ②土地購入の原資となった小沢氏からの借入金4億円を、04年の報告書に記載しなかった(07年に4億円を小沢氏に返済しながら記載しなかった)}を実行させたことに伴う政治資金規正法虚偽記載罪の共同正犯(共謀共同正犯)が成立する。




共同正犯(共謀共同正犯)=2人以上の者が犯罪の実行を共謀し、そのうちのある者が共同の意思に基づいて犯罪を実行した時、自ら実行しなかった他の共謀者も全員共同正犯として、直接の実行犯が実行した罪を直接には実行してない者にも被せる刑法の考え方(刑法60条)
→背後の大物を正犯として処罰する必要から生まれた考え方


<裁判例>
練馬事件(1958年)(労働組合の争議中に起こった事件)
→共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって、互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなし、犯罪を実行した事実が認められなければならない。


山口組若頭補佐が、ボディーガードに拳銃持って警備しろという指示を直接下していないのに、ボディーガードが拳銃を所持して警護したことにつき、若頭補佐に共謀共同正犯が認められるかどうかの事件(2003年)
→①共同して犯罪を実行する意思の連絡は黙示的なものでよい(若頭補佐が、ボディーガードが拳銃を所持していることを概括的とはいえ確定的に認識・認容し、ボディーガード自身もそのことが承知していた場合は認められる)、②実行行為者に犯行を行わしめたと評しうるような関係が必要(犯行時の正犯(黒幕)と実行行為者の行動、正犯が実行行為者との関係で有していた地位、立場を具体的に考える)


不法投棄をすることを確定的に認識していたわけではないものの、不法投棄に及ぶ可能性を強く認識しながら、それでもやむを得ないと考えてその処理を委託した事件(2007年)
→未必の故意(実害の発生を積極的に意図するものではないが、自分の行為により結果として実害が発生してもかまわないという行為者の心理状態=故意がある)による共謀共同正犯の責任を負う。



<昨日の判決知識の補足>
・起訴状に訴因として記載されていない事実をもって、被告人を有罪にすることはできない場合、検察官は、当初の訴因では有罪判決を得ることが困難であると考えたときに、訴因の変更を求めることができる。

刑事訴訟法は、訴因の変更が許される範囲について、以下の規定を置いている→312条1項(裁判所は、検察官の請求があるときは、「公訴事実の同一性」を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない)

●公訴事実の同一性とは?
→公訴事実の同一性=公訴事実の単一性または同一性が必要
→犯罪事実が2つある場合は原則として2回の(別々の)訴訟で解決すべきであるが、行為又は結果が共通であれば、実定法上同じ罪で問うことができる以上認められる(訴因を変更して、1回の裁判にすることができる)

<裁判例>
殺人の訴因を重過失致死の訴因に変更すれば有罪になる事案において、例外的に他の訴因に変更すれば有罪となることが証拠上明白であり、かつ犯罪が重大である場合は訴因変更命令義務が認められる(判例)



<弁護士と有名な担当被告人、事件>
●石川議員
木下弁護士:許永中氏・田中守一氏(石橋産業事件)、泉井事件など

●小沢氏
弘中弁護士:三浦和義氏(ロス事件)、村木厚子氏(郵便不正事件)など
→他にも代表的事件多数、通称「無罪請負人」