とりあえず、現状では判決文が出ていないので、判決以前の事件の内容について整理していきます。ここでは、小沢氏・石川氏有罪論者、小沢氏・石川氏無罪論者の方、どちらの立場にもたたず、できる限り、判決までの事実と裁判の内容について、整理します。
もっとも、公平性を期すために、筆者の立場を申し上げると、筆者は個人的心情では小沢氏・石川氏支持者ですが、法律的見解では全面無罪の可能性は少ないと考えていたものです(もっとも大久保元秘書は無罪の可能性大だと思っていたが)^^♪
ですので、個人的心情としては残念であり、無罪を勝ち取ってほしかったなと思っております。
なお、今夜18時から、判決を受けて、石川知裕議員の記者会見が開かれますので、
関心のある方はそちらもご覧ください。
→http://live.nicovideo.jp/gate/lv64776626
なお、今夜夜遅くか、明日の朝には、①今回の判決内容(及び事件の整理)と、②小沢氏の裁判における影響(小沢氏は有罪か、無罪か)について法律的観点を説明できればと思っております。
ちなみに、かなり長いので、興味が深い方だけ最後までご覧になられることをオススメします。
【検察側の主張】
起訴事実:①04年10月、小沢氏の自宅(都内世田谷区)に近い土地を約3億5000万円で購入しながら、土地購入の事実を04年ではなく05年の報告書にずらして記載したこと、 ②土地購入の原資となった小沢氏からの借入金4億円を、04年の報告書に記載しなかった(07年に4億円を小沢氏に返済しながら記載しなかった)ことに伴う政治資金規制法違反事件
→被告人ら(大久保元秘書、石川議員、池田元秘書)が①、②の行為をしたのは、土地購入の原資である小沢氏の4億円の一部が、水谷建設からの裏金1億円であったことを隠すためである。
*なお、大久保元秘書は、西松建設」から計約3500万円の違法な企業献金を受けたにもかかわらず(裏金)、同会の収支報告書には西松OBが代表を務める政治団体からの献金であるとの虚偽を記載したとされる罪でも起訴された。
【被告側の主張】
<大久保元秘書>
(①、②について)会計責任者となったが、収支報告書の作成には関わっていない。
(被告人らとの共謀関係について)名目的な会計責任者で指示も了承も与えたことはない。
(水谷建設からの裏金)受け取っていない。
<石川議員>
(①、②について)借入金に「小沢一郎4億円」と記載しており、不記載はない。みずほ銀行からの4億円の融資は書く必要がないと考えた。
*みずほ銀行からの4億円の融資とは、陸山会の定期預金を担保に、陸山会の名義上の代表者である小沢氏が自らみずほ銀行から借り入れた後、陸山会事務所に貸し付けた4億円で(なぜ、陸山会が直接借りなかったのかという疑問は大した問題ではないので省略)ある。
なお、実は小沢氏も一番最初の頃、土地購入の原資は何かという問いに対し、定期預金を担保にしたみずほ銀行からの融資であると主張していた。しかし、小沢氏がみずほ銀行から4億円を借り入れたのは、なんと土地購入を行った後であった。そこで、小沢氏は原資について、「父親(佐重喜氏)の湯島の自宅を売った時の資金」であると主張を転換した。
◎石川議員の裁判上での主張を法律的に解釈すると・・・
→借入金は、みずほ銀行から小沢氏経由で借り入れた4億円ではなく、小沢氏が貸し付けた単なるポケットマネー4億円である。みずほ銀行からの4億円の融資を記載しなかったのは、この融資自体が、同額の陸山会の定期預金を担保にしており(実質的に使える資金の増減はないのに=ちなみに普通の会社の簿記ではこれはout、ただ、政治資金収支報告書は特殊な簿記だから書く必要はないという主張)、記載すると計8億円の借り入れとなり、実態に反すると思ったからである。
(被告人らとの共謀関係について)→会計責任者である大久保元秘書に報告したり、了承を受けたことはない。
(水谷建設からの裏金)→一切聞いたことがない。
<池田元秘書>
(①、②について)小沢氏から土地購入前に借りた4億円は、陸山会の一時的な預り金で、会計上返済を記入する必要はない。
(被告人らとの共謀関係について)→会計責任者である大久保元秘書に報告したり、了承を受けたことはない。
(水谷建設からの裏金)受け取っていない。
【論点】①水谷建設からの裏金授受はあったか。
水谷建設元社長 川村氏
平成16年(04年)10月15日と平成17年(05年)4月中旬に5000万円ずつ渡した。
鹿島JVが工事を落札したのは04年10月7日。
その前日、大久保秘書と5000万円の現金の受け渡しについて議員会館で話し合った川村氏は、10月13日まで北京出張であることを伝え、受け渡し日を15日にしてもらったという。
そのカネの作り方、三重県津市から東京支社まで現金を運んだ方法、川村氏の13日から15日までの詳細な行動について質疑がなされた後、受け渡しは、所要ができた大久保秘書に代わって石川秘書が全日空ホテルに現れることになり、約束の時間にフロント前ロビーで待っていたら、何度か面識のある石川秘書が現れた。
→裏金授受はあった。10月15日に全日空ホテルで石川議員に5000万渡したという主張
引用:http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/0c56daf4098807a7f5b8e328892faf1d
水谷建設元会長 水谷氏(公判での証言)
川村元社長が「04年10月に石川さんに手渡した」と証言した現金5千万円について
→「私が手配したが、大久保さんに渡したと報告を受けていた」
→「石川議員に渡したことになっていてびっくりした」
→「手配したが、報告と違う点もあり(実際に渡ったかは)分からない」
ダム関連工事の受注をめぐり、小沢元代表の事務所側へ1億円を提供することになったとの報告を川村元社長から受け、了承した。ただ、自分の指示で5000万円を本社から東京支店に運んだ元専務を「見届け人」として、立ち会わせるつもりだったのに、前社長が単独で渡した、授受には「不明朗な点がある」と述べた。
水谷建設元運転手の証言
04年10月15日に川村社長を全日空ホテルに送ったという覚えはない。
石川議員
04年10月15日どこにいたのかの石川秘書のアリバイは石川側からは出てこず。
【論点②】調書不採用
・38通の供述調書の11通について任意性を認めず(証拠能力がない)採用を却下。なお、調書の全部が採用されたのは7通である。
●裁判で証拠として不採用にされた主な供述内容
<石川議員>
・4億円は小沢氏が政治活動の中で蓄えた簿外資金で表に出せないと思った。
・土地取得の原資が収支報告書に記載されれば、原資の不透明さが報道されるなど、党代表選に不利に働きかけない。原資を仮装するため、銀行の定期預金を設定した。
・土地を取得した後、大久保元秘書と小沢氏にその旨を説明し、了解を得た。
<池田元秘書>
・毎年3月ごろ収支報告書の原案を作成し、大久保元秘書に報告して決済を受けた。
・収支報告書提出前には、収入支出の総額を小沢氏に報告し、決裁を得ていた。
→その中には大久保被告との共謀を認めた石川、池田両被告の供述もあり、陸山会事件での大久保被告の関与を示す直接証拠はほぼ失われた。
●裁判で証拠として採用された内容
<大久保元秘書>
・西松建設事件での供述調書(前田元検事の供述調書は除く)
→収支報告書作成について報告を受けた。
●その他情報
・検察側は調書不採用を受けて、裁判官による勾留質問調書を大幅に盛り込むなど論告の修正を迫られた。検察官調書に代わる材料として重視したのは、客観証拠や法廷証言だ。大久保被告が、土地購入について小沢氏に提案していた点や、土地の登記時期の延期について自ら不動産業者と交渉したことなどに着目。大久保被告が会計責任者として、小沢氏からの4億円の借り入れが政治資金収支報告書に記載されているかどうか確認した上で、「虚偽記入を認識しつつ、了解を与えたものと推認できる」と主張した。
資料:http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110720/trl11072020520011-n1.htm
・岡崎彰文・元西松建設取締役総務部長の証人尋問
→同社OBを代表とした二つの政治団体について、「西松建設のダミーだとは思っていなかった」
岡崎元部長は、裁判官の尋問に対し、「二つの団体については、対外的に『西松建設の友好団体』と言っていた。事務所も会社とは別で、家賃や職員への給料も団体側が支払っていた」と説明。前任者に引き継ぎを受けた際にも、「ちゃんとした団体で、問題はないと言われていた」と答えた。検察側は、同社が信用できる社員を政治団体の会員に選び、会員から集めた会費を献金の原資にしていたと指摘したが、岡崎元部長は「入会は自分の意志だと思う。私自身は、社員に入会を強要したことはない」と述べた。
資料:http://unkar.org/r/newsplus/1263469950
*なお、元西松建設社長の国沢幹雄氏は陸山会(小沢氏側)への違法献金を認め、裁判所はその事実を元に禁固1年4月、執行猶予3年(求刑1年6月)を言い渡した。また、この判決では、小沢氏側への偽装献金について、岩手・秋田両県の公共工事受注業者の決定に強い影響力を持っていた小沢氏の秘書らと良好な関係を築くためだったと指摘し、小沢氏側のゼネコン談合組織への影響力を認定した。ただし、判決では、岩手・秋田両県の公共工事で、ゼネコンの談合組織に本命業者を指定する小沢事務所の「天の声」については認定されなかった。
・検察が西松建設事件の起訴内容に陸山会事件を加える訴因変更を申請したが、これに対して弁護側は「訴因変更は違法」と主張。6月16日に最高裁判所は訴因変更を認めた。
◎要するに・・・
→西松建設事件に伴う政治資金収支報告書の虚偽記載で大久保元秘書を罪に問えない(負ける)と考えた検察が、同事件での調書や裁判資料などを使って、今回の水谷建設事件に伴う政治資金収支報告書の虚偽記載を立証しますという主張をして、それを裁判所が認めたということ
資料
1http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%B4%E5%9B%A0#.E8.A8.B4.E5.9B.A0.E5.A4.89.E6.9B.B4.E3.81.AE.E8.A6.81.E5.90.A6
2http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E8%A8%B4%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E3%81%AE%E5%90%8C%E4%B8%80%E6%80%A7
3http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%B9%85%E4%BF%9D%E9%9A%86%E8%A6%8F#.E8.A5.BF.E6.9D.BE.E3.83.BB.E9.99.B8.E5.B1.B1.E4.BC.9A.E4.BA.8B.E4.BB.B6
4http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/05/post_569.html