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1 フォロー講義
行政法は、知識優位型の典型科目ですから、問題を沢山解いて知識を拡散させるのではなく、知識
を集約化していくことが大切です。
問題は、どのように知識を集約化していくかです。
資格試験の勉強の場合、当然のごとく、本試験で問題が解けること、かつ、合格点を取ることが「目
的」となります。
したがって、本試験では問われないような知識をいくらインプットしても、「目的」を達成することはでき
ません。
講義の中で、行政書士試験の「過去問」を検討しながら、出題の「ツボ」をお話ししているのは、まさに、
このためです。
アウトプット(過去問)
↓
出題の「ツボ」の抽出
↓
インプット(サクハシ)
したがって、櫻井・橋本「行政法」を前から順に、ただ読んでいく勉強法ほど、効率の悪い勉強はない
のではないかと思います。
このように、本試験で合格点をとるために、集約化しておくべき知識の見極め(メリハリ付け)をするた
めのツールが過去問です。
もっとも、最近の行政書士試験は、 行政書士試験の過去問では出題されていないようなところも数
多く出題されていますから、「分析」の対象を過去問以外にも広げる必要があります。
特に、行政法については、過去問では出題されていない、最新判例が数多く出題されていますから、
櫻井・橋本「行政法」で、最新判例を確認するのが効果的です。
基本書フレームワーク講座では、
どのようなテーマから、
どのような内容の問題が、
どのような視点から出題されるのかについて、
出題の「ツボ」を伝授しています。
このように、過去問は、出題の「ツボ」を抽出していくためのツールですから、一度、出題の「ツボ」が
抽出できれば、もう過去問を「解く」意味はほとんどありません。
出題の「ツボ」が抽出できれば、あとは、直前期に、この出題の「ツボ」を記憶していけばいい訳です。
そのためのツールが、つぶやき確認テスト行政法です。
今年も、この櫻井・橋本『行政法』(第5版)に準拠した、2018年版☆つぶやき確認テスト行政法を、
当ブログにアップしていきますので、復習の際に、ご活用ください!
受講生の皆さんは、
行政法において、二肢まで絞れたのに症候群にかからないためにも、是非、知識の集約化と定着化
を意識した復習をしてほしいと思います。
2 復習のポイント
① 行政行為(4)
まずは、総整理ノートp30で、取り消し得る行政行為と無効な行政行為について、①区別の基準、②
区別の「実益」の点から、知識を整理しておいてください。
行政行為が無効の場合の処理については、最近の本試験において頻出している重要テーマですの
で、無効な行政行為の争い方についても、知識を整理しておいてください。
このテーマは、昨年も出題されていますが、受験生の出来はかなり悪
かったです。
無効な行政行為については、行政事件訴訟法の無効等確認訴訟とリンクしていますので、事前→行
政行為→事後のフレームワークを使って、知識を集約化してほしいと思います。
詳しくは、行政事件訴訟法のところで、お話ししていきます。
次に、パワーポイント(第7章行政行為⑰)、総整理ノートp33で、行政行為の撤回と職権取消の要件
と効果について、知識を整理しておいてください。
このテーマについても、2年連続で出題されていますが、次は、記述式での出題もあるかもしれませ
んので、昨年得点出来なかった方は、よく知識を整理しておいてください。
行政法は、民法の事例問題のような問題が少しずつ増えてきていますので、この事例問題について
も、対策を立てていく必要があるのかもしれません。
択一式☆ナビゲーション講座行政法の肢別ドリルには、司法試験と予備試験の事例問題を入れてあ
りますので、少し練習をしてみてください。
② 行政上の義務履行確保(1)
まずは、パワーポイント(第13章行政上の義務履行確保②)で、行政上の強制手段の全体構造を、各
レベルの相違点を中心に知識を整理しておいてください。
行政法(総論)は、講学上の概念中心の科目ですので、細かい「葉」の部分から学習すると何をやって
いるのかわからなくなり、たいていの場合、迷子になってしまいます。
受講生の皆さんは、
行政法の復習をする際には、必ず、パワーポイントのツリーや櫻井・橋本「行政法」の目次で全体構
造を確認しながら、細かい「葉」の部分の復習を行ってみてください。
森から木、木から枝、枝から葉へ
行政法が苦手な方は、一問一答式で、葉から葉、葉から葉、葉から葉へというような勉強をしている
方が多いのではないかと思います。
パワーポイントのツリー図は、タイトルだけ残してすべて空欄にして、中身がきちんと埋まるかどうか、
是非、復習の段階で試してみてください。
次に、行政法p167、総整理ノートp65で、司法的執行について、宝塚市パチンコ条例事件の判例を、
「財産権の主体」と「行政権の主体」に着目しながら、もう一度、読んでおいてください。
この宝塚市パチンコ条例事件の判例を素材にした問題は、昨年、記述式で出題されていますが、受
験生の出来は散々足るものでした。
3つの要素ともに、きちんと書けていた方は、出口調査で、わずか10%
程度でした・・・
憲法と同様に、行政法においても、判例のサビと結論だけを記憶するのではなく、判例のロジックや
理由付けもきちんと理解しておくことが必要であることを実証した問題とも言えます。
なお、講義中にもお話した宝塚市パチンコ条例事件(最判平14.7.9)は、とても興味深い判例です
ので、「事案」と「顛末」を少し詳細にコメントしておきます。
憲法学読本の宍戸先生曰く、この判例は、3バカ判例の1つと云われているそうです。
(1) 事案
宝塚市は、パチンコ店の建設計画に対する地域住民の反対運動を契機に、昭和58年に、本件条例
を制定。
本件条例には、パチンコ店を建設する者は、①市長の同意を要し(3条)、②市内では商業地域以外
は、市長は同意をしないとし(4条)、③同意なく建築を進めようとする業者に対しては、建設等の中
止などの措置を命ずる制度(8条)が置かれていた。 パチンコ業者Ⅹは、市長の同意なく建設工事の
続行したため、宝塚市は、Ⅹに対して、条例8条に基づいて、建築工事の中止命令を発したが、本件
条例には、業者が中止命令に応じないとき、刑事罰を含めてこれに対する制裁措置は何ら規定され
ていなかった。
そこで、宝塚市は、Ⅹに対して、建築工事の続行禁止を求める仮処分を申し立て、申立てを認容す
る決定を得たのち、建築工事の続行禁止を求める民事訴訟(司法的執行)を提起神戸地裁(第1審)・
大阪高裁(第2審)は、本件条例は、風営法・都市計画法・建築基準法が許容しない規制を定めてい
ると理由で、本件条例を無効とし、宝塚市の請求を「棄却」
これに対して、最高裁は、国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の
義務の履行を求める訴訟は、「法律上の争訟」に当たらないとして、訴えを「却下」
本件事案には、
① 行政上の義務の民事執行(司法的救済)の可否
② 法律と条例との関係(上乗せ条例・横出し条例)
③ 法律上の争訟(司法権)の意義 という、
憲法と行政法とに関連する点が問題となってきますので、皆さんになりに、今までの学習の復習も兼
ねてよくフォローしておいてください。
なお、講義中にご紹介した、櫻井先生の「行政法のエッセンス」は、合格コーチが、行政法を面白い!
と感じるようになった貴重な1冊でもあります。
「行政法のエッセンス」は、サクハシの入門書とも言えますので、お時間のある方は、ざっくりと読んで
みるのもいいかもしれませんね。
かなり面白いです!
(2) 顛末
神戸地裁が、宝塚市によるパチンコ店の建設工事禁止の仮処分で、営業ができず損失を受け たと
する業者Ⅹの訴えを受けて、同市に対して、3億2500万円の支払いを命令。
この点については、2007年2月、最高裁は、宝塚市の上告を棄却したため、同市に3億4800万円の
支払いを命じた大阪高裁判決が確定し、同市は利子分を合わせて約4億8700万円を支払うことに。
宝塚市が、約4億8700万円も支払わなければならなかったのも、そもそも、本件条例に、義務違反に
対する措置が何ら規定されていなかったことが原因です。
この部分は、昨年の復習ブログにも書いていましたので、この復習ブログを使って、この判例をよく
復習していた方は、昨年の記述式でも、3つの要素がすべて書けたのではないかと思います。
ちなみに、昨年は、基本書フレームワーク講座の受講生の合格者のうち、3人の方が、記述式で60
点(満点)を取っていました。
記述式で満点は、なかなか取れないですが・・・
最後に、パワーポイント(第13章行政上の義務履行確保③)を参考に、行政代執行のプロセスを、条
文のポイントを押さえながら、もう一度確認しておいてください。
条文は、ただ素読するのではなく、手続のプロセス、5W1Hとキーワードを意識しながら、戦的に読み
込みを行ってみてください。
③ 行政上の義務履行確保(2)
まずは、パワーポイント(第13章行政上の義務履行確保⑤)で、直接強制と即時強制の相違点について、もう一度、知識を整理しておいてください。
本試験では、「直接強制」と「即時強制」との相違点を問う問題が、手を変え、品を変え出題されていま
すので、出題の「ツボ」と押さえておいてください。
次に、行政法p183以下、総整理ノートp73以下で、即時強制について、直接強制との比較の視点から、知識を整理しておいてください。
行政法は、制度と制度の比較を問う、いわゆる図表問題が多く出題されていますので、総整理ノート
の比較の図表を上手に使ってみてください。
≪民行チャレンジ模試(無料)≫
6月29日(金)~
辰已法律研究所各本校及び通信にて
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